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『ガンバレ!中村くん!!』監督が明かすクラスメイト全員の設定に込めたこだわり【インタビュー】

春アニメ『ガンバレ!中村くん!!』梅木葵監督×吉邉尚希監督補佐インタビュー|36人のクラスメイト全員のデザインを描き起こして名前や出席番号も決めました

内気な男子高校生・中村くんの同級生・広瀬への“片想いをめぐる妄想と暴走”を、どこか懐かしい80~90'sタッチでコミカルに表現した「ガンバレ!中村くん!!」。本作のTVアニメが、2026年4月1日(水)より放送・配信中です。

アニメイトタイムズでは、アニメのスタッフに制作秘話をお聞きするインタビュー連載を実施。第2回は梅木 葵監督と吉邉尚希監督補佐に、カッティングや、クラスメイト全員のデザインを描き起こしたこだわりなどについてお聞きしました。

 

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この作品のためにできることがあるなら何でもやろう

──最初に、本作の監督オファーがきたときの心境を振り返っていただければと思います。

梅木 葵監督(以下、梅木):あるとき、知人経由で「ガンバレ!中村くん!!」が映像化されることを小耳にはさんだんです。私は作品も、先生の絵もすごく好きだったので、(本作プロデューサーのひとりである)宮腰さんに、「この作品が好きなので何かしらの形で携わりたい」と直談判させていただきました。最初はキャラクターデザインとして関わる予定だったのですが、制作が進んでいくなかで、コンテや脚本の打診があり、監督も担当することになったんです。「この作品のためにできることがあるなら何でもやろう」という一心で、お請けしました。

──「ガンバレ!中村くん!!」だから引き受けたと言っても過言ではない。

梅木:そうですね。この作品が映像化されると聞いたときに、自分が参加しなかった世界線を想像してみて、関わらなかったら、絶対に後悔するなと思ったんです。もちろん、自分から手を挙げるからには責任を負わないといけない。相応の覚悟が必要です。それでも、どういう形でもいいから関わりたかったんですよね。監督のお話をいただいたときも、ちょっとした怖さはありましたが、作品のためになるならばと、前のめりでお請けしました。

──吉邉さんは今回、監督補佐という役割で作品に参加されています。具体的にどういう役割を担っていましたか?

吉邉尚希監督補佐(以下、吉邉):文字通り監督を補佐する役割で、監督の手が届ききらないところをサポートするイメージです。監督から意向や方向性を聞いて、それを実現するために自分で作業をすることもありました。具体的な作業としては、第2話以降のレイアウトの多くを僕がチェックしています。ときには監督と一緒に見て、作業者へのフィードバックをまとめたり修正を入れ、場合によっては自分の方で再構築するなどといったことをしていました。

梅木:吉邉さんには色々な打ち合わせに同席していただいて全体の状況把握、レイアウトチェック、BGなどの素材確認、ときには原画チェックや作画もしてもらったりと、「本当にお願いしていいのかな?」と思うところまで担っていただきました。実は、吉邉さんは私が新卒で入社した会社の先輩なんです。自分が映像の仕事に携わりはじめたときからの関係だったこともあり、何気ないことでも相談ができました。

──なるほど!

梅木:吉邉さんは、目指したい絵に持っていくためには何の素材が必要なのか、今は何が足りていないのかを同じ目線で考えてくれるんです。また、私が何でもやるつもりで取り組んでいたところ、「それは誰かにお願いしないと事が進まないよ」と、ある種のストッパーみたいにもなってくれて。

吉邉:何かを作る時って、悩もうと思えば無限に悩めるんですよね。でも、それだと成果物が出せなくなるかもしれない。放送スケジュールもありますからね。監督に「こっちで何とかするから」と言って作業をひきはがしていたので、ある種、残酷ではあったかもしれないです。

梅木:よく色々なところで耳にしますが、本当に締め切りがあるから作品ができあがるんだなと痛感しました。きっと、ストップされていなかったら永遠に悩んでいたと思います。吉邉さんが制作を前に進める推進力としても機能してくださって、本当に助かりました。

 

塗り方はCMYKをイメージ

──実制作を進めていくなかで、具体的にどういう話し合いをされたのか教えてください。

吉邉:色々とありますが、いまぱっと思い出したのがカッティング(各カットをつなぎ合わせる映像編集作業)。基本的には編集の上野(勇輔)さん、各話の演出さんの意見も交えつつ進めるのですが、時に周囲を置いてけぼりにしてふたりで議論に発展するようなこともありました。

梅木:吉邉さんはアニメーターをずっとやってきたこともあり、動きの気持ちよさやタイミングを大切にされているんです。それもあって、私が編集のタイミングで「ここは間のお芝居があるから、間を取りたい」と提案したら、「これは通しで見たときに気持ちよくない。前のカットでここまで自転車がきているから、次カットでこの辺から自転車がきたほうが動きとしては気持ちいい」と意見を出してくださったことがあって。何が正解かということではなく、よりよくするためにどうしたらいいのかをふたりで議論していました。

──その他、例えばどのシーンで議論をかわしていましたか?

吉邉:後半の話数だと、第12話の教室にひとり残った中村が立ち去るあたりでの間の取り方とかですね。

梅木:配信全盛の今だと静寂や間があると、すぐシークバーを動かして飛ばしてしまうという傾向があるらしく、通常だとそういった間を避けてしまうんです。実際、私もここではもう少し間を短くしてもいいのではと提案していました。

吉邉:ただ、やはりあのシーンでは中村が残酷な現実を受け止めるまでの感傷や内面を、中村も去って誰もいなくなった教室の空舞台を見せることで表現したり、見ている人が想像できたりするのではないかと思い、逆にもっと間を伸ばしたいなと。

梅木:絵が持つのか怖い部分もありましたが、劇伴も合わせながら編集を調整していたら、これでもいけるかもと納得して、ご覧いただいた形になりました。

──絵や音はもちろん、間の取り方ひとつでも印象が大きく変わる。

梅木:変わりますね。重要なセクションです。

──本作はレトロな雰囲気が特徴だと感じています。色彩設計や撮影処理ではどんなこだわりを持って制作されましたか?

梅木:原作の絵柄が持っている懐かしさや作品の持つ雰囲気をきちんとアニメに落とし込みたいと思っていたので、ルックはこだわったポイントのひとつです。今のアニメのフローで可能な範囲で本作に「似合う」画面を模索しました。

吉邉:その監督の意向を踏まえて、色彩設計の段階で、原色はパキッとした色を使いつつ、撮影で画面全体にほんの少しだけ色収差を乗せたり、線の処理にアナログ感を出したりしていただいています。

梅木:主線(輪郭線)もあえて少し太めに残すような処理にしています。原作のペンの筆致のよさを意識しつつ、デジタルならではのクリアさも残すという、結構なわがままオーダーでしたが、現場のみなさんが見事に形にしてくれました。

吉邉:色の面でいえば、最初にキャラクター表を見たときに、個人的には黒が強いなとも感じたんです。中村の黒髪の感じとか学ランの黒さが潔くて、カッコいいなって。先ほど監督から話のあった線の太さも含めて、力強くて絵のルック(映像の雰囲気や質感)がいいなと思いました。

梅木:色彩設計でいえば、(担当の)大野(春恵)さんに、RGBよりもCMYKをイメージして塗ってほしいというリクエストもしたんです。実際はRGBで塗るのであくまでイメージではあるのですが、そうすることで、印刷っぽさが出る塗り方になるというか。ビビッドじゃなくてカラフルなんだけど、目に優しい色でやりたいという話をして、それを形にしてくださいました。

 

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