
上田麗奈さんがTVアニメ『MAO』第2クールエンディングテーマ「揺蕩う」で描く幽羅子の「一途な執着」――「キャラクターソングではなく、上田麗奈が幽羅子の気持ちを代弁」【インタビュー】
高橋留美子先生の最新作『MAO』(小学館「週刊少年サンデー」連載)がTVアニメ化。現在、各配信プラットフォームで配信中だが、その第2クールのエンディングテーマとなっているのが上田麗奈さんが歌う「揺蕩う」だ。
その「揺蕩う」と対になる曲「結ぶ」を収めたシングルが9月30日にリリースされた。上田麗奈としてのCDリリースは約4年ぶり! 彼女の表現力、そして世界観が感じられるシングルについて、話を聞いた。
上田麗奈の世界観と『MAO』の世界観の融合
──アーティスト活動では、四季をテーマに作品をリリースしてきて、前作『Atrium』(2022.10.5リリース)では、上京についてなど、これまでの自分の人生を描いていくような作品だったと思います。そこで音楽活動もひとつの区切りのような雰囲気があり、今回のリリースまで、約4年の月日が流れました。アーティスト活動をするにあたって、お芝居にもいい影響を与えたらいいなと考えていたと思うのですが、実際どうでしたか?
上田麗奈さん(以下、上田):そうでしたね。アーティスト活動は「お芝居にきっと返ってくるから、できるタイミングがあるならやってもいいと思うよ」と先輩に言っていただいたのがきっかけで、悩んだ末に始めたんですけど、それはどうだったんだろう……。お芝居のほうで学んできたことが生かされた、という印象のほうが、もしかしたら強かったかもしれないです。
──上田さんの歌からは、役者・上田麗奈を強く感じることがあったので、それはすごくわかる気がします。その逆の実感はあまりない?
上田:表現というところだと、どちらかと言えばお芝居から歌というイメージが強く、それぞれが少しずつ成長していったという印象があるんです。
ただ、イチからみんなでものづくりをするというのは、なかなか声優のお仕事では体験できない部分なんですよね。声優は、作品に関わる時間が(制作時間に比べて)すごく短いんですけど、アーティスト活動では、「テーマをどうしよう」「どういう物語にしよう」とか、「ビジュアルはこういうふうにして…」など、ひとつひとつに最初から関わっていくので、その楽しさとか労力とか、どのくらい時間がかかるのかとか、そういう部分が体験できたんです。それがあったので、アニメなどでも、作品に携わる皆さんの顔が浮かびやすくなったと思います。それがお芝居をする上では大きかったですし、音楽活動をやれたからこそなのかなと思います。
──それは良いことかもしれないですね。上田さんの音楽活動は、制作に携わっていくスタイルでしたが、それが面白いという感覚はあったのですか?
上田:考える時間というのは苦しみも伴うんですけど、考えている間に、一つ一つ、自分の内面から出てきた言葉が見つけ出されるたびに、ちょっと楽しかったり、それが形になっていくのが面白かったりしました。
──思い描いているテーマや伝えたいメッセージが音楽から伝わっていましたからね。
上田:それならば良かったです(笑)。
──少し時間が空いてしまいましたが、久々の新曲のリリースとなります。周りの皆さんからは、どんな反応がありましたか?
上田:どうなんだろう。でも、また私の歌を聴きたいと言ってくださる方は多かったと思います。ただ私としては、ランティスさん提供のラジオ番組でお知らせすることがないというのに、申し訳なさがあったので、いつかはちゃんと「何かをやらなきゃ」と思っていたんですね。いつかはやらなければと思っていた中、そうこうしているうちに約4年が経ってしまっていたという感じなんです……。
──機会があれば歌う可能性があったのですね。
上田:ありました。ただ、自分発信でテーマを決めたり、物語を決めたりという体力と時間がなかなかなくて難しかったというのがあるので、逆に誰かがおすすめしてくれるテーマや楽曲というのに乗っかっていくほうがやりやすいのかな、と思っていたタイミングではありました。
──どのくらいの時間と体力が必要なのかがわかっているからこそ、安易に自分発信で踏み出せないところがあったのかもしれないですね。
上田:そうですね。あと、音楽活動で描きたいことがいっぱい描けてしまったので、「これ以上生まれなかった」というのも大きいんですけど…。
──たしかに集大成的な感じはありましたからね。
上田:20代の全部というか、10代〜20代の総まとめみたいなシリーズだったので、もし次やるとなったら30代の総まとめみたいな形になるかもしれないですね(笑)。自分で作るのは、また何年か先になると思うから、30代のうちに、もしかしたら何かあるかも?という感じかもしれないです…。
──ちょっと気長に待たなければいけないかもしれないですね(笑)。上田さんは、TVアニメ『MAO』に幽羅子役として出演されていますが、今回の「揺蕩う」のオファーは、急だったそうですね。
上田:急でしたね。アフレコを終えて、しばらく経ってオファーをいただきましたので。でも嬉しかったですし、アフレコを終え、そこでの皆さんの空気感とか、スタッフさんがこういうふうに作りたいとおっしゃっていた想いとかをいろいろ知れた状態だったので、どういう世界観の融合になるのかが想像しやすかったですし、想像上では上田麗奈の世界観とすごく合いそうだと思ったので、迷わずお受けしました。
──それは、自分のやってきた音楽の雰囲気に合いそうということですか?
上田:どちらかと言えば、私が持っている仄暗さと『MAO』という作品が持っている仄暗さの相性が良さそうだと思った、ということですね。
それと、歌を台詞みたいに歌っていきたいという自分のアーティスト性?みたいなものと、『MAO』にある言霊とか呪詛といったもの。『MAO』って、“900年”に及ぶ他者への強い執着とか、人間臭さみたいなものが描かれていたりするので、その相性も良さそうだなと思ったんです。
──幽羅子という仄暗さを持ったキャラクターを上田さんが演じているという意味でも、親和性はありますね。
上田:はい。幽羅子がちょうど第2クール目から活躍し始めるということもあったので、印象をよりつけられるというか。幽羅子って登場すると、物語の中のキャラクターたちも、視聴者の皆さんもドキッとしたり、惑わされたりする“場を動かす”キャラクターなんですよね。
それでいて、敵か味方かどちらかわからないようなキャラクターなので、その幽羅子の声を担当している私がエンディングテーマを歌うというのは、より意味を見い出しやすかったです。とは言え、幽羅子になりすぎるとキャラソンになってしまうので、そこは調整していきつつだったんですけど。

































