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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

第2期OP主題歌「傍若のカリスマ」は、メロディから作品の世界観が強く感じられた「カオスが極まる」に比べて、歌詞に『ブルーロック』のキーワードがより多く散りばめられていると感じました。
例えば、一触即発ではなく<一蹴即発>となっているのはサッカーだからでしょうし、<and going!>は“エゴい”に聞こえますし、<今ちょうどいいとこなんだから ほら 邪魔すんじゃねえよ>はまさに本作らしい台詞です。
そんな本楽曲のタイトルである<傍若のカリスマ>はきっと作中の誰かを表しているはず。では一体誰を指すのか──その視点で私は第2期を見てみました。
傍若=傍若無人とは周りに誰もいないかのように自分勝手に振る舞うことを意味し、まさにブルーロックで潔たちが磨いてきたエゴさのこと。これまでエゴイストであることを求められ続けてきた彼らは、閉鎖的な青の監獄においてはほぼ全員が<傍若のカリスマ>になれていたと言えるでしょう。
しかし、ブルーロックプロジェクトの存続をかけたU-20日本代表とのビッグマッチでは、これまで経験したことのない規模の観衆の多さや熱気の強さ、さらに完全アウェーである状況を前に、潔をはじめ多くの選手たちが怯んだ様子を見せていました。
そんな中、唯一その空気に呑まれていなかったのが糸師凛。彼は兄である糸師冴を超えることしか眼中になく傍若無人っぷりを貫き、「呑まれんな潔。お前は俺だけを見てろ」の一言で気圧される潔を引き戻します。さらに、プレーでもチームを引っ張る姿にはカリスマ性を感じずにいられません。
そして、凛のプレーのエゴさが他の選手たちにも伝播し、次々にエゴイストっぷりを取り戻していきます。そうしたなか、チームをけん引する凛の過去が明かされ、今では憎き兄も、昔は大好きだったことが判明。いや、むしろ大好きだったからこその憎悪でしょうね。
スペインで冴に一体何があったのかはわかりませんが、大きな挫折があったのだろうことは想像できます。私は冴の言い方から、自分の夢を弟に託そうとしたように感じました。しかし、自分の憧れである兄が世界一のストライカーであること以外を受け入れられなかった凛。
凛は純粋に夢を諦めてほしくなかったのでしょうが……現実を見たうえで夢を書き換えた冴にも絶対に大きな葛藤があったはず。それを慮ることなく自分の理想の兄像を押しつけてくる弟に、冴は心を閉ざしてしまったように見えました。
結果としてお互いが憎み合うようになってしまいましたが、心の奥底では違う思いも抱えているのではないでしょうか……。
楽曲のサビ部分に<どこまでものめり込め お前が挑んだゲームだ 炎が猛るような 眼差しがチケットだ>というフレーズがあるのですが、糸師兄弟の回想シーンで幼い凛がその瞳に初めて炎を灯しています。歌詞を受けて、凛はこんなに幼い頃からゲームのチケットを手にしていたのだと感じました。
しかしながら、兄弟仲が良かったころは2人で最強のストライカーになるという楽しいゲームだったのに、兄と決裂してからは兄を倒す憎しみに満ちたゲームに変わってしまったのがとても切ないところ。
こうして考えてみると、<傍若のカリスマ>に見えた凛も実はそうではなかったことに気づかされます。凛は、潔たちがスタジアムを埋め尽くす観衆を意識する以上に、冴という存在を強く意識して行動しているからです。
最終話でFLOW(挑戦的集中)に入った凛は、兄と潔を強く意識してはいるものの、自分を縛る全てを壊すことの方に重きを置いており、真の<傍若のカリスマ>へと覚醒を始めます。
冴の「お前は俺を理由にしなきゃサッカーもできないゴミ弟だ」を聞いて私が想起したのは、前半戦が終わった際の絵心の言葉「己が主役であることを放棄するな」でした。
凛は仲が良かったころも決裂した後も、天才・糸師冴の弟としてしか生きてきておらず、ここに来てやっと「エゴイスト・糸師凛」として主役になれたのです。また、それを見た冴のハッとした表情から、彼は自分に縛られ続ける弟のサッカーを解放したかったのではないかと思いました。
スペインでより高次元のサッカーを目の当たりにしたからこそ、弟の方に世界一のストライカーとしての才能を感じ、自身がMFとして弟を活かすことで弟と自分の夢を叶えようとしたのではないでしょうか。原作最新話に追いついていないので、この先がどうなっているのかわからないのですが……頼むそうであれ……。
そして、最終プレーで兄に競り勝った凛が弾いたボールで決勝ゴールを決めた潔。このシーンで私の脳裏に浮かんだのは、オープニングで使用されていない2番の<青に染まってく答えをずっと待ってる 世界を変えるのさ これが最終定理だ>と大サビ前、Cメロ部分の<連なる選択よ 美しくあれ>です。
決勝ゴールは、この試合でずっと思考を続けていた潔が辿り着いた答えであり、彼自身の未来と日本サッカーを変えるもの。そしてこのゴールは、潔や凛だけではないエゴイストたちの選択が連なった先に生まれた最高に美しいゴールでした。
試合後のインタビューで「俺が日本をU-20ワールドカップで優勝させます」と言い切れたのは、彼が間違いなく<傍若のカリスマ>として覚醒を遂げたから。
一方、自身でゴールを決められなかった凛ですが、潔の覚醒は彼の存在とプレーがあってこそ。兄の呪縛から脱却し、潔をライバルとした彼もまた、更なる覚醒を遂げることでしょう。
物語の中心であった糸師凛と潔世一。楽曲からも彼らの面影が強く感じられ、『ブルーロック』第2期は彼らが<傍若のカリスマ>として覚醒していくストーリーだと私は感じました。楽曲をフルで聞いた事がない作品ファンの皆様にもぜひ一度歌詞を観ながらフルで聞いてみていただきたいです。
以前から『ブルーロック』とUNISON SQUARE GARDENはベストタイアップだと聞いてはいたものの、ここまで最強の化学反応だったとは……! 勝手な解釈ですが、「傍若のカリスマ」のアニメーションで楽曲タイトルが表示されるシーンで潔、凛、凪の三人が描かれていましたが、ここが三人なのはユニゾンを意識してのことだと思っています……(涙)。
第3期の制作も決定している本作。ユニゾンは活動休止中ですが、作品そのものを好きになってしまっては観るしかありません。ユニゾンの活動再開と第3期の続報を気長に待とうと思います!
