
リボ払いより怖いのは「明示されない強制徴収のルール」!?――弁護士が解説する、アニメ『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』の面白さと怖さ!
魔力を【強制徴収】するスキルの真に凄い部分とは?
──「断空の剣」のメンバーは200万MP以上の魔力を借りてしまいます。現実でリボ払いの沼にはまってしまう人の表現として、「断空の剣」の描写は前野さんにどう映りましたか?
前野:上手い表現だと思いますね。たとえば、第1話でガイがレントに対して「お前から魔力を借りれば、魔法やスキルを使い放題だ」と言うシーンがありましたよね。
この「借りれば」というのがポイントで、借りれば確かに使い放題なんですけど、リボ払いはさっき申し上げたように「借金が増えている」という実感が薄いわけです。その結果、お金(魔力)を際限なく使えるかのような錯覚に陥りがちです。
作中ではその過程は省略されていましたが、ガイもおそらく次第に「魔力を借りている」という実感が薄れていったのだと想像します。つまり、「借りれば使い放題」から「使い放題」という感覚に変わっていってしまったのでしょう。この心理的な構図は、現実でリボ払いにハマってしまう人と似ていると感じました。
──第2話で、エムピーが「魔力リボ地獄」に陥りやすい人について解説していました。実際にリボ払いの沼にハマってしまう人の特徴としてはどのようなものが挙げられますか?
前野:なかなか一概には答えづらいご質問ですが、やはり借金が増えている実感が薄いという点が、リボ払いのポイントになります。その意味では、借金の残高をあまり見ないタイプの方は、危ない傾向があるかもしれませんね。
──作中でエムピーは「リボ払い自体は計画的に使えば怖くない」といった趣旨の説明もしていました。リボ払いを適切に使うにはどうしたらいいのでしょうか?
前野:まず、基本的には、むやみに使わないのが一番というのが前提です。ただ、毎月の返済額が一定になることで、無理なく返済していけるという点はリボ払いのメリットでもあります。
ちゃんと返済状況を確認し、安易に追加で借入れをせず、毎月の支払額を低くし過ぎないなど、管理をしっかりと行えるのであれば、エムピーの言うようにメリットのある制度ともいえますね。
──まさに「断空の剣」のメンバーが怠ってしまったことばかりですね。
前野:そうですね。たとえば、自分たちの毎日の魔力回復量を把握して、適切な上限で借入れをするといった計画を立てていたら、ガイたちはリボ払いを上手く活用しながら、着実に冒険者のランクを上げていけたのではないかと思います。
──そんなレントのスキル【強制徴収】の凄さと恐さについて、改めて弁護士の視点から解説していただけますか?
前野:アニメ第2話では、エムピーがレントに、あの伝統的な解説方法で、リボ払いを解説するシーンがありましたよね。あの説明は、リボ払いを伝える演出として非常に上手だなと感じました。
実際のリボ払いでも、毎月の支払額が一定に固定されているため、支払額が少ないと、利息等の割合が大きくなり、元金が減りにくいという性質があります。作中では完全に元金が減らないという形で説明されていましたね。作中の設定と現実の仕組みが上手くリンクしていると思います。
ちなみに、作中ではエムピーが「10日で8%」という利息を設定していますが、これは年率で換算すると300%くらいになります。利息制限法上の上限は元本に応じて年15-20%なので、その10倍以上の数字です。これを簡単に設定しているエムピーは、とっても恐ろしいですね(笑)
こういった契約を勝手にされた上で、毎日、魔力が強制徴収されているところに、このスキルの凄さと恐さが表現されていると思います。
──演出の勢いで普通に見ていましたが、確かにこのスキルはとんでもないですね(笑)。
前野:特に弁護士目線で気になるのは、レント自身もリボ払いの仕組みを知らないことですね。作中でも、エムピーが契約を成立させた後に説明を受け、初めてリボ払いがどんなものかを知り、「そんな条件で契約が成立したの⁉」と驚くシーンがありました。つまり、貸主本人であるはずのレントも知らない契約を、第三者であるエムピーが勝手に成立させている。このあたりも不気味で、ゾクゾクする恐ろしさを感じますね。
あとは、やはり「強制的に徴収できる」という点です。先ほども触れましたが、現実では裁判を起こして、裁判所に認めてもらう、そういった法的手続きを踏まないと強制執行による回収はできない仕組みになっています。
しかし、作中のレントのスキルは、未払いがあるかどうかをスキルで判定し、相手の意思に関係なく直接魔力を回収してしまうんです。これはとんでもないことで、「リボ払い」の契約以上に凄いことかもしれません。相手の同意無しに回収できるというのは、非常に強力な能力ですね。
現実の話で恐縮ですが、お金を貸したりして請求権がある時に、一番頭を悩ませるのが「どうやって回収するか」なんです。「こういう条件で返しましょう」と合意することができたとしても、差し押さえられる財産がなければ、現実には回収が非常に難しい。
レントの場合は、それをスキルの力で自動的に毎日回収できてしまうわけです。とても怖くて、強い能力だと思いますね(笑)。
──確かに「リボ払い」に目が行きがちですが、貸し付けた魔力の徴収方法にスキルの強さを感じますね。現実で例えるなら、相手の銀行口座から勝手に徴収しているようなものですから。
前野:もちろん、リボ払いの契約を一方的に成立させる力も凄いのですが、弁護士目線では、なにより、この回収能力が強力だと感じますね。
現実であれば、裁判所のお墨付きを得て、その後、相手の銀行口座などを探し、そこに資産が残っていて初めて回収できるわけです。それが、日々生まれる魔力から勝手に持ってこられるわけですから。
繰り返しになりますが、これは本当に凄い能力ですよ。






































