音楽
花冷え。が届けたい音楽|激しい曲を聴いたことがない人でも【インタビュー】

花冷え。がアニメタイアップで大切にしていることとは?|『対ありでした。』OP&『転生したら剣でしたII』EDインタビュー

メタルコア/ハードコアを昇華させたオリジナルジャンル「原宿コア」を核に、切れ味のあるヘヴィネスとキャッチーなポップネスを自在に行き来する4人組ガールズ・ラウドロックバンド、花冷え。

2026年夏に放送されたTVアニメ『対ありでした。〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』のオープニング主題歌「命短し対する乙女よ」では、ユキナさんのラウドとキュートを行き来するボーカルが、お嬢さまと格ゲーが融合した作品の世界観を見事に表現していた。

さらに花冷え。の新曲「バリバリBuddy」が10月7日から放送がスタートしたTVアニメ『転生したら剣でしたII』のEDテーマを担当! 今度はみんなで歌えるキャッチーな楽曲で、アニメ界に殴り込む。

今回は、アニメ好きだという花冷え。のメンバー、ユキナさん(Vo)、マツリさん(Gt & Vo)、ヘッツさん(Ba)に、好きなアニメ作品や、アニメタイアップ楽曲について話を聞いた。

※チカ(Dr)は活動休止中のため、本取材は不参加

 

魔法少女、ロボット、ラノベ系……メンバーの好きなアニメは?

──アニメタイアップが続いていますが、ラウドロックとアニメの親和性はあるような気がしています。その点について、どう思われていますか?

ユキナさん(以下、ユキナ):私たちの楽曲は激しさもあるんですけど、ポップな要素を入れていることも多いんです。そこでカオス感も出ていたりするので、そうなると作品の賑やかで楽しい雰囲気も表現できますし、戦闘シーンがあるような作品だと、音楽のアグレッシブな部分がマッチしていると思うので、アニメの世界観に合った曲も提供できるのかなと思っています。

マツリさん(以下、マツリ):それこそ、アニメ『DEATH NOTE』(マキシマム ザ ホルモン)や『寄生獣』(Fear, and Loathing in Las Vegas)で、先輩のラウド系バンドがアニメのタイアップを担当していたんですよね。それもあって、私たちがやっているジャンルに合うアニメは絶対にあると思っていたんです。しかも花冷え。はガールズバンドで、メンバーみんなアニメ好きなので、女の子のキャラクターがたくさん出てくるアニメであれば、女性ならではの世界観も表現できると思っていました。なので、これまでやってきたアニメも、花冷え。の音楽性と、すごくマッチしていたなと感じています。

──たしかに、アニメに合っていますよね。

ヘッツさん(以下、ヘッツ):花冷え。っていろんな曲調があるので、それに合うアニメは絶対にあると思っています。

──こうやってアニメタイアップが続くのは、バンドにとっても喜ばしいことですよね。

ユキナ:すごくうれしいです! 私たち、そもそもアニメ好きなので。それこそ「いつかアニメのタイアップをしたい」とずっと思っていたので、TVアニメ『もめんたりー・リリィ』で、はじめてのアニメタイアップが決まり、そこでアニメーションと私たちの曲「おいしいサバイバー」が合わさった映像を観たとき、嬉しすぎて、普通に泣きました。

マツリ:感動だったよね!

ユキナ:そのときヨーロッパにいたんですけど、パソコンを開いてみんなで見て、「嬉しい〜!!」って喜んでいました(笑)。

──『もめんたりー・リリィ』の映像もすごかったですけど、『対ありでした。 〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』のアニメーション映像も、ものすごく曲に合っていましたね。

マツリ:今回も音と映像のハマり具合が、めちゃくちゃ良かったです!

──3人ともアニメが好きという話でしたので、アニメイトタイムズ的には、3人が好きなアニメを聞かせていただければと思ったのですが……。

ユキナ:私は魔法少女系が好きで、作品で言うと、『美少女戦士セーラームーン』とか『おジャ魔女どれみ』、あとは『プリキュア』シリーズや『プリパラ』『東京ミュウミュウ にゅ〜』など、少女向けアニメだったり、女の子が戦うアニメが大好きなんです。だから『もめんたりー・リリィ』も大好きでした! 小さい頃から観ているアニメが、今もそのまま好きなんです。

それと『ラブライブ!』シリーズも好きですし、『けいおん!』も好きだから、女の子が出てくるアニメが好きなのかもしれないです。

──音楽性から考えると、意外といえば意外ですね。

ユキナ:そこのギャップがあるんです(笑)。

──マツリさんは?

マツリ:私は、結構いろんなジャンルのアニメを観たいタイプなんですけど、好きなのは『新世紀エヴァンゲリオン』とか『ガンダム』シリーズ、『アルドノア・ゼロ』とかなんですけど……。

──ロボットものがいけるんですね!

マツリ:ロボットは好きですね。カッコいいものが好きなので。でも『ガンダム』シリーズは、全部観ているわけではないので、いつか制覇してみたいです。

──ロボットアニメが好きな女性って、あまり多くない気がするので、それも珍しいと思いました。

マツリ:本当ですか? それも父親の影響というのはあります……。その他にもいろいろ観ていて、『PSYCHO-PASS』とか、シリアスな作品もよく観ています。

──ヘッツさんはいかがですか?

ヘッツ:私も幅広く見ていて、一番好きなアニメと言われると決められないんですけど、作品を挙げるとしたら『ソードアート・オンライン』シリーズかなと思います。ラノベ系の作品は通っているので。あとは少年漫画系も、兄の影響で通ってきているし、『カードキャプターさくら』とか『プリキュア』シリーズとかも大好きですね。

──影響を受けた作品と言うと?

ヘッツ:一番オタクしていたのは『ソードアート・オンライン』です。ありとあらゆるイベントに行き、小説を読み漁って、アニメも観ていたので、青春でした。

──キリトが好きなのですか?

ヘッツ:いや、推しキャラとかはいなくて、お話が好きみたいな感じで、仮想空間に憧れを持っていました(笑)。

マツリ:中学時代から一緒なので、よくアニメイトに行ったり、学校の帰りにアキバに行っているのを目撃していました(笑)。

ヘッツ:用がなくてもアニメイトに通っていたよね。

ユキナ:それこそ4〜5人で行って、それぞれのフロアに散るみたいな(笑)。

──花冷え。の「O・TA・KUラブリー伝説」は、オタク文化へのリスペクトを感じましたけど、もともとその資質があったのですね(笑)。

ユキナ:でも、オタク文化へのリスペクトは、海外へライブに行くようになってから、より肌で感じるようになったんです。こんなにみんな日本のアニメを観ているんだ!と思って、嬉しくなってしまって。

ヘッツ:よりオタク文化を好きになったよね。

マツリ:だから、オタク文化ってすごい!と思って、作った曲です。

──それと、ジャケットがイラストなのも気になっていました。

ユキナ:それは海外に行く前からなんですけど、やっぱりそういうカルチャーが好きだから、というのはあると思います。

 

楽曲制作をするためにまずは、作品の理解度を高める!

──TVアニメ『対ありでした。 〜お嬢さまは格闘ゲームなんてしない〜』のOP主題歌「命短し対する乙女よ」は、作品の世界観にすごくマッチしていましたが、アニメの主題歌の場合、どのように曲を作っていくのですか?

マツリ:原作があるときは、まずみんなで原作を読み、どういう作品なのかをちゃんと理解してから曲を作り始めます。この作品は格ゲーに向き合う女の子たちのお話で、私はゲーム好きだけど、格ゲーの知識は浅かったので、そこもめっちゃ調べました。それに『EVO Japan』という格ゲーの大会も見ましたね。やっぱり実際の大会の熱量をわかった上で作ったほうがいいと思ったので。

そこから私がデモを作ってみんなに渡し、全員で揉んでいくという作り方なので、その後は他の曲と同じ流れになります。なので最初に作品理解を高めるというのが、他の曲と違うところです。

ユキナ:しかも実際にゲームもやったよね。

マツリ:やりました(笑)。これを機に格ゲーを始めました(笑)。

ヘッツ:前も、ちょっとやってたよね?

マツリ:でもちゃんとした経験はなかったから。実際にやってみて、「これを作品の中の女の子たちはやってるんだな!」と思いながら曲を作りました。

──実際にやってみると違いますよね。僕はコントローラを投げつけるタイプでしたが、どうでした?

マツリ:私は全然、台パンしますね(笑)。やっぱりその悔しさを知らないと、キャラクターたちの悔しい気持ちは理解できないですからね。

──理解を深めるというのは、前作もですか? 

ユキナ:そうですね。ただ『もめんたりー・リリィ』はアニメオリジナル作品だったので、先にお話を見せてもらって、最後は泣きながら書いていました(笑)。

──アニメ好きなメンバーだから、そこまで考えて曲を書いているんですね。

マツリ:原作があるものだと特にですけど、やっぱり原作ファンの方たちも見るじゃないですか。そこに失礼にならないようにしたいんですよね。

ユキナ:自分たちがアニメ好きだからこそ、視聴者の方の気持ちもわかるので、アニメの世界観やキャラクターのことを理解した上で曲を作りたいんです。

──その真剣な向き合い方と、音楽の雰囲気がマッチしていないところがものすごく良いですね(笑)。特にユキナさんのパートは、ぶっ飛んでいるユニークな歌詞ですけど、ちゃんと作品を理解した上で書いているというのは、かなり感じますし。

ユキナ:本当にそれぞれのキャラクターの気持ちになったり、世界観に入り込んで歌詞を書いているんです。原作がある場合は、よく出てくるワードで気に入ったものや、キャラクターがいつも使っている言葉などを、読みながら書き出し、そこから歌詞を考えたりもします。

最初の〈パナせ〉とかも、キャラクターたちが使っているからですし。たとえばアニメを観たときに、OPテーマの“パナせ”って、このことか!となってくれたら嬉しいなと思ったりします。そういう作品にちなんだワードって、それを知らない人にとってはマニアックな言葉なのかもしれないけど、アニメ主題歌なのだから、わかる人に響くことが一番面白いじゃないですか。なので、〈前前前へ〉とかもそうですけど、私のパートは、かなりそういう用語をちりばめています。ただ、マツリが歌うサビは、誰にでもわかりやすいようにしています。

マツリ:そうだね。

ユキナ:あと、アニメの舞台は女子校で、彼女たちはゲームに夢中になっていますが、私たちも女子校で音楽に夢中になっていたので、そういう共通点も、私たちなりに曲に込めています。

──ヘッツさんは、どんなアプローチでベースを弾いているのですか?

ヘッツ:ユキナとマツリがプリプロで歌詞とか曲を考えているんですけど、可憐な女の子たちが攻撃的な感じでいくところが曲にも出ていたので、私もベースで前へ前へと攻めていく、戦闘に向かうような気持ちで弾いていました。

──この曲は演奏も攻め攻めなんですね。

マツリ:そうですね。攻め攻めだけど、サビでは青春感を出すような感じでやっていました。ちょっとエモーショナルな気持ちになりながら、いろいろ組み込んでいます。

──普段、こういうジャンルの曲に触れていない人に、聴いてほしいポイントなどはありますか? 個人的には、ユキナさんのデスボイスとキュートな歌声の切り替えは、かなりインパクトがあると思ったのですが。

ユキナ:そこのギャップ感だったり、激しい声と高い声が交互に来るカオスな感じは飽きない楽しさがあるのかなと思っています。

──ラウド系ロックでは、ユキナさんみたいなボーカルはあまりいないのですか?

マツリ:タイプによるかもしれないです。使い分ける方もいるし、完全にクリーンの担当の人が別にいて、シャウトだけする人もいますし。

ユキナ:逆に、クリーンなサビだけを歌う人もいるし。

──スクリーム系(シャウト、デスボイス、スクリームなど)担当のボーカルをゲストとして立てるバンドもいますよね。

ユキナ:ただ、サビ以外の部分で、ここまでコロコロと歌声が変わるボーカルは、少ないかもしれないです。そもそも女性が少なめなので。

ヘッツ:歌っているのは2人だけど、声としては何種類もあるので。

──そこは花冷え。さんの特徴ですよね。ツインボーカルだけどツインボーカルとは思えないくらい多彩な声があるというのは新鮮でした。

ユキナ:たしかに、こういうジャンルに触れてこなかった方は、結構新鮮に感じてくれるとは思います。激しいメタルっぽいジャンルの中でも、新鮮で面白いと思ってもらえるはずです。

──その他だと?

マツリ:だいたいアニメのタイアップでは、89秒という尺があるじゃないですか。それを聴いたら何となく花冷え。のことがわかるようにはしているので、そこでちょっといいなと思った方は、フル尺を聴いてみてほしいです。後半にかけて、花冷え。らしさが濃くなっていくようにしてあるので。「命短し対する乙女よ」は特にですけど。

──それは、ラップっぽくなったりするところとかですかね?

マツリ:ラップっぽくなって、その後にまたサビが来て、サビが来たと思ったら、なんか試合のアナウンスが始まったぞ!?みたいなカオスさがあるので、それをぜひ体感してほしいです。ちょっと様子がおかしくなってくるので。

ヘッツ:ほんとに戦っている部分が出てくるからね(笑)。

──いろんな仕掛けが入っていますからね(笑)。

ユキナ:ストファイをやって、ちょっとイラッとしたら、フル尺を聴いてもらって、最後に笑顔で明るく叫ぶところがあるので、私と一緒に叫んでスッキリしてくれたらいいなと思います。

ヘッツ:この曲に限らずですけど、いろんなジャンルの楽曲をやっているから、どれかは刺さると思います。デスボイス、シャウトで重たいサウンドだから、入りづらいかと思いきや、めちゃめちゃクリーンが入ってて聴きやすかったり、パンクっぽい曲とかもあるので。逆に「命短し対する乙女よ」よりさらに重たいのがいい!という方には、そういう楽曲もあるので、いろいろな曲を聴いて、お気に入りを見つけてほしいです。

 

──確かにサビもキャッチーだし、すごく聴きやすいですよね。

マツリ:このジャンルの中では入りやすいかもしれないです。聴きやすいと思うので、そこからどんどんこのジャンルの沼にハマってもらいたいです。

ユキナ:激しい曲を聴いたことがない人でも、私たちの曲を聴いてもらえたら嬉しいですね。入門になれるように頑張ります!

 

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