
「だから原作も面白い、アニメも面白い、両方見てね!となったらありがたいです(笑)」──アニメ『うちの弟どもがすみません』第15話放送後:難波日登志 監督インタビュー
新米長女と個性豊かな弟4人とのにぎやかな毎日が織りなす、スイートホームラブコメ、TVアニメ『うちの弟どもがすみません』も、2クール目へ突入。糸と源の関係は、どうなっていくのか……?
第15話後は、難波日登志監督に登場いただき、アニメ制作に対してのこだわりや、ここまでに放送されているエピソードで印象に残っているものなどを語ってもらった。さらに、映像化するにあたってこだわったことなど、監督視点ならではのお話も。監督がアニメでもしっかり描きたかったシーンとは?
こだわったキラキラのエフェクト
──原作を読んだ印象を教えてください。また、アニメ化する際にどんなところを軸にしていこうと考えられたのでしょうか。
難波日登志 監督(以下、難波):少女漫画原作の監督をやらないかと声をかけていただいたんですが、実はちょうど少女漫画の監督をやってみたいと思っていたんです。ただ、世代的に自分が好きな少女漫画というと、萩尾望都先生までは遡らないけれども、大御所の方々の少女漫画なんですね。
だから今の『別冊マーガレット』がどんな感じなのか全然わからなかったし、4兄弟の中に、姉として1人の女の子が入っていくって、ハーレムものなのかな?と思って。僕にできるか不安だったんです。でも実際に原作を読ませていただくと、ラブコメのコメディ部分が多く、各兄弟との絡みが面白くて、笑いながら読むことができました。
何と言っても家族の描き方が独特で、成田家に来て一生懸命きょうだいになろうとする糸を皆がサポートするんですよね。そこにキュンキュンしてしまったんです。で、何を軸にするのかという部分で言うと、やはり家族ものとしての部分を丁寧に描いていきたいと考えて、監督を引き受けました。
あと、原作のオザキアキラ先生のキャラクターはデッサンがしっかりしていて、筋肉の付き方がしっかりわかるように描かれていましたので、ある意味アニメに向いている絵柄だなとも思いました。
──ラブコメだけでないところが面白いですよね。
難波:そうですね。で、家族をしっかり描くとなると、きょうだいの家族に対する考え方とか、そういう部分を補強しつつアニメ化することになるのかなと思いながら、最初に集英社さんとお話をしたんです。そこで「家族ものとしてしっかり描いていきたいんです」という話をしたところ、「コメディの部分も大事になるので、そこもしっかり描いてほしい」というお話をいただきました。
──コメディは、やはり大事だったのですね。
難波:もちろん、オザキ先生の描く糸の百面相を見れば、どれだけコメディに力を注いでいるのかはわかるので、そこも丁寧に拾いながらアニメーションにしていきたいとお話しました。
──監督は、なぜ少女漫画をやりたいと思っていたのですか? 監督というと、『ゴールデンカムイ』などのイメージもあるのですが。
難波:もともといろんなことをやってみたいタイプで、過去を振り返れば『ぼのぼの』みたいなファミリーものから、SFだと『YAT安心!宇宙旅行』、バトルものだと『グラップラー刃牙』など、何でもありみたいな感じでやってきたんです。ただ、少女漫画原作はやったことがなかったので、チャレンジしがいがあると思い、引き受けることにしました。
──2クールでのアニメになります。原作はそれ以上続いていますので、どこまで描くのかということ含め、シリーズ構成部分で何か苦労したことはありましたか?
難波:最初に「1クールで」というような話もあったのですが、読んでみたところ、盛り上がるお話が2クール目のほうにあると思ったんです。原作を読まれている方ならわかると思いますが、洛のラブストーリーや柊も絡む体育祭などのところですね。
1クールまでだと、どうしても糸と源に焦点を絞ることになるけれど、洛や柊、そして類の話を拾うためには2クールまでないと、成田家全員を盛り上げることはできないなと思い、「2クールでやりたいです」という話を逆にこちらからしました。
シリーズ構成の清水 恵さんとも「2クールまであると、やれることは増えるよね」という話をしていたので、シリーズ構成も2クールでたたき台をお願いしたところ、見事に原作のポイントを押さえ、各話ごとの見せ場もあるように組んでくれたので、僕が悩むことはあまりなかったんですよ(笑)。
──原作ものでのシリーズ構成の難しさはどういったところにあるのでしょうか?
難波:まず原作は1話の中で起承転結があるのですが、アニメの30分尺にすると、だいたい原作の2~3話分を、アニメ1本に構成し直す必要があるんです。そこで改めて起承転結になるようにして、最後に盛り上がるように落とし込まなければいけないので、そこが大変なんですけれど、清水さんが的確にそれをやってくださったので、すごく助かりました。
──尺を調整するだけでなく、少し膨らませたりしたところもありましたよね?
難波:原作で描いていない部分だと、第5~6話あたりのゲーム画面内のバトルシーンなんかは原作にはないので面白おかしくやらせていただきましたし、それ以外でも漫画の1コマだけで終わっている心情描写の部分をカットバックしたり、情景を入れながら描いたり、アニメ的な技法を入れて膨らませるなど、いろいろやっていました。
──脚本から絵コンテにするところでも、そのあたりは補強されるところかと思いますが、絵コンテには、普段監督をやられている方も多く参加されていることに驚きました。
難波:あははは(笑)。そうですよね。第8話の「どうなる文化祭!?」の桜井弘明さんは本当に助かりました。お声掛けしたら「やるよ」と言ってくれたんですけれど、こちらが想像していた以上にコメディ部分を頑張ってくださったんです(笑)。原作にないリンゴマンも、あれはもう桜井さんのコンテのアイデアでして、こちらからお願いした部分ではないんですよ。
──確かに、演劇にいましたね……(笑)。
難波:「おいしいよ」しか言わないんですけどね(笑)。そのあたりもアニメならではだと思います。その他の話数でコンテを描いてくださった方々も、しっかり作品の世界観を踏まえて独自のものを出していただいたので、あとはこちらでしっかり映像化するだけでした。
──映像化するにあたっての色彩や撮影でのこだわりを教えていただければと思います。特に今作だと、キラキラの表現が特徴になるのかなと思ったのですが。
難波:映像化する上で難しかったのは、ファンタジーとリアルの割合です。漫画のコマで省略されている部分もアニメでは描かなければいけないし、でもそれをずっと描けばいいかというと、それだけだと原作の雰囲気が出なくなる可能性もあるんです。
そこで考えたのはエフェクトですね。少女漫画と言うとキラキラした背景があるので、キラキラ部分をどうするのか。そこを撮影でキラキラさせる処理の仕方もあるんですけれど、この作品に関してはLay-duceの3D班にお願いして、キャラクターの周りを回り込む、キラキラしたエフェクトを作っていただいたんです。
撮影だけになると、このような立体的なエフェクトにはならないので、撮影班ではなく3D班にも協力してもらいました。結構いろいろなところで使っているんですが、キャラクターごとに色を変えてもらったり、実は関係性の変化に応じて、色を変えたりもしているんですよ。
──そうなんですね!
難波:これは観ている方はあまり意識しないところでもあるのですが、第2話のラストは青系の光で、そこから糸と源の2人の関係性が進むにつれて、黄色くなり、赤くなり、ピンクと暖色系に色が変わっているんです。そこは作り手のこだわりではあるのですが、そういう細かいこだわりが、この作品にはあったりするので、ぜひ観返していただけると嬉しいです。
──第7話から宇田川真冬先輩がオープニングアニメーションに出てきたりもしていましたし、細かいこだわりはアニメを観る醍醐味だと思っています。
難波:ありがとうございます。1クール目はキャラクターの登場に合わせて、そういうこともしましたが、2クール目からの新キャラはもったいぶらずに、逆に出てくるゲストがわかるようになっています。そこはもう作品の雰囲気もわかってもらえていると思うので、こんな子が出てくるんだ!と楽しみにしていただければと思います。



































