【TAF2009】今年もノイタミナは見どころ満載！『東のエデン』神山健治監督×『東京マグニチュード8.0』橘正紀監督合同会見レポート。押井守監督もSPゲストで登場！

　お台場・東京ビッグサイトで、3月18日から21日までの4日間にわたり開催された「東京国際アニメフェア2009」。18日には新作発表会も数多く行われたが、フジテレビジョンブース（No.G-01）では4月のノイタミナ枠新作となる『東のエデン』の監督・神山健治さん、同じく７月スタートの新作『東京マグニチュード8.0』の監督・橘正紀さんの合同会見が行われた。ノイタミナとは、フジテレビが“連ドラみたいなアニメ”をコンセプトにする深夜アニメ枠。2005年4月から始まり、5年目の4月から初のオリジナル作品がスタートすることになったのだ。『東のエデン』では、『ハチミツとクローバー』の原作者・羽海野チカさんをキャラクター原案に迎え、川井憲次さんが音楽を担当する。『東京マグニチュード8.0』はボンズ、キネマシトラスが制作を担当している。
　そして、会見ではSPゲストとして、押井守監督が駆けつけてくれ、2人にエールを送ってくれた。ここでは、当日の模様を紹介しよう。

●まずは両作品の映像が公開！

　会場となったフジテレビジョンブースでは、まず2作品のPVが上映された。『東のエデン』は、2010年のごく近未来の物語。日本に10発のミサイルが落ちるが、1人も犠牲者がでなかった奇妙なテロ事件「迂闊な月曜日」が発生。その3ヶ月後、大学生の森美咲は、卒業旅行先の米国でトラブルに巻き込まれるも、全裸の青年・滝沢朗に助けられる。だが滝沢は記憶をなくしており、手には拳銃と82億円の電子マネーがチャージされた携帯電話・ノブレス携帯を持っていた。彼は日本を正しい方向に導く使命を課せられているらしいのだが……。

　そして『東京マグニチュード8.0』は、“もし東京に巨大地震が起こったら？”をテーマしたもの。ある夏休み、中学1年の未来は、弟の悠貴とお台場のロボット展に来ていた。しかし、反抗期真っ盛りの未来は。退屈そうにケータイをいじり“こんな世界壊れちゃえばいいのに”と考える始末。だがその時、東京を大地震が襲い、レインボーブリッジは崩れ、東京タワーは倒壊し、全ての様相が一変してしまう。未来は弟の手を引き、途中出会ったバイク便ライダー・真理の力を借りて、世田谷の自宅へ向かうのだが……。起こりうる恐怖をリアルに描き、非常事態下での人と人の繋がりをを描いたスペクタクル作品となっている。

　続いて、会場には、神山健治監督、橘正紀監督、押井守監督が勢揃いし、作品の見所等を語ってくれた。


●オリジナルで勝負する2人の監督が意欲を語った！

　神山監督いわく「今回、ノイタミナの初のオリジナル作品ということで、1年の準備期間をいただいて、心地いい緊張感とプレッシャーを感じながら作品を作っております。今作では少女漫画家の羽海野チカさんの絵柄で、僕が作品を作るということが大きな見所です。羽海野さんの作品では『ハチミツとクローバー』がアニメになっていますが、スタッフからも“『ハチミツとクローバー』の様なアニメを作るのか？”と随分質問されました。でも、またそれとも違った空間が存在しながら、羽海野さんのキャラクターを最大限に生かすという、新しい試みになると思います。画の部分、ビジュアルの部分も注目していただければと思います」とのことだ。

　そして橘監督は「神山さんの後に続いて、僕もオリジナル作品ということで緊張しています。過去に阪神淡路大震災が起こった時、“まさかこんな場所で、こんな大きい地震が起こるとは”ってみんな思っていました。今回は、巨大地震が東京に起こったらどういう対処をするのか、っていうことをシミュレートしていこうという企画です。主人公はごく平凡な姉弟でして、すごく恵まれた環境に住んでいるけど、世の中に不満があるというか、自分の物差しでみています。でも地震という大きな災害が起きた時に、自分が信じていたものが無くなって、その中で自分がどういうところで生きていたのか、気づかされていく。そういう事を丁寧に描けたらいいなと思っています。これをみた後に、親兄弟のことを思い出してくれたらいいなという気持ちで、作品を作っていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします」と話してくれた。


●巨匠・押井氏が2人にエール！

　そんな2人の監督に、押井守氏が大先輩として応援メッセージを語ってくれた。「『エデンの東』は、神山くんの初めてのオリジナル作品ということで、でも、オリジナルであるという事をあまり意識する必要はなくて、今までやってきた作品と同じ様にしていけばいいんじゃないかと。それよりも与えられたテーマで、自分がどう判断するかの方が、むしろ自分が出やすい。だからあまり考えずにいけばいいと思う。『エデン』は、意外にもかなり大それた作品になってると思います。僕は正直、アニメーションでここまでやっていいのかなっていう気がするんですが、かなり緻密な構造でできてるようなので、僕も楽しみにみたいと思います。昨日、出来上がったばかりの1話を観たんですが、シリーズの1話としては申し分ない。『マグニチュード8.0』は、全然中身を知らないので、頑張ってとしか言えないんだけど、こういう社会性のあるテーマを、アニメーションでやるのは大事ですよ。みんなの需要ではないけども、流行ではないけれども、それがいいんじゃないかと思います。是非、この2作品を注目していきたい。僕は、アニメーションは、ほとんど観ないけども、この2作品については、観てみようと思います。よろしくお願いします」とまとめてくれた。

　4月以降のノイタミナはオリジナル作品が連続で目が離せない！どちらも乞うご期待だ！なお、『東のエデン』は、TVシリーズ完結後、劇場版も予定しているので、今後の情報をチェックだぞ。


TVアニメ『東のエデン』
＜放映情報＞
フジテレビ・ノイタミナほかにて4月9日（木）スタート　24：45～
ほか
※今冬、テアトル新宿ほかで劇場公開予定

＜STAFF＞
原作・脚本・監督：神山健治
キャラクター原案：羽海野チカ
音楽：川井憲次
キャラクターデザイン：森川聡子
副監督：吉原正行
総作画監督：中村悟
美術監督：竹田悠介
色彩設計：片山由美子
CGI監督：遠藤誠
撮影監督：田中宏侍
アニメーション制作：プロダクション I.G


TVアニメ『東京マグニチュード8.0』
＜放映情報＞
フジテレビ・ノイタミナほかで7月放映予定

(C)東のエデン製作委員会　イラスト：羽海野チカ