Kalafina『After Eden』大ヒット記念インタビュー

新境地をみせた3rdアルバム『After Eden』は「何度も聴きたくなる作品」――進化を続けるKalafinaが語った13の物語、新たなサウンド、次なる目標……スペシャルインタビュー

 梶浦由記プロデュースによる女性ボーカルユニット・Kalafinaの進化が止まらない。アニメ『黒執事II』の劇中歌、『魔法少女まどか☆マギカ』のエンディング曲、NHKで絶賛O.A中の『歴史秘話ヒストリア』のEDテーマでもある「symphonia」(初収録)などを収録した3rdアルバム『After Eden』は、これまでの神秘的、幻想的な世界観は継承しつつも、よりリアルで温かみのある"新たなKalafina像"を追求した13の物語が刻まれている。この次なるページを開いたきっかけは何だったのか──3人にじっくりと話を聞いた。


●「今回のアルバムは私の中で"リアル"なイメージだったんです」(Wakana)

──今作『After Eden』は前回のアルバム『Red Moon』から約1年半振りの作品となります。その間にシングルの制作はもちろんですが、それにまつわる全国ツアー、約2年振りとなる米国凱旋ライブ"Anime Expo 2011"があったりと、ライヴに集中していた印象がありますが、この期間は3人にとってどんな時間でしたか?

Wakana:とにかくライヴをたくさんやらせて頂いた1年半でしたね。刺激もたくさん受けたし、皆さんとの一体感も感じられたし、この3人の力も確信できたし……「ライヴって凄いんだな」と改めて感じることが出来た時間になったと感じています。その1年半で学んだライヴや経験を今作の『After Eden』に込めたいなと思っていました。


──じゃあ、それがアルバムのイメージに繋がっていった感じですか?

Wakana:そうですね。今回のアルバムは私の中で"リアル"なイメージだったんですよ。ライヴをたくさん経験したことが大きかったと思うんですけど、人間味にグッと近づいたアルバムになってるんじゃないかなって思ってるんです。そういう意味でもこの1年半の、皆さんと近づける時間(ライヴ)は私たちKalafinaにとってはなくてはならない時間だったんだなって思います。その経験を通して出来たアルバムなので、また新しいKalafinaを見せらたんじゃないかなと。


──結果的に今お話してくれたことがアルバムのテーマに繋がっていったと思うんですが、制作当初コンセプトみたいなものはあったのでしょうか。

Hikaru:制作当初は明確なコンセプトは聞いていませんでした。「Magia」(TBS・MBS系アニメ「魔法少女まどか★マギカ」エンディングテーマ)と「輝く空の静寂には」(2010.9.15リリース/TVアニメ「黒執事II」劇中歌)という異色の楽曲を経てのリリースだったので、最初は本当に想像がつきませんでした。でも、結果的には想像を上回ったアルバムになったんじゃないかなと。


──アルバムのことは梶浦さんからはどんな風に聞いてたんでしょう?

Keiko:梶浦さんからは事前に「Kalafinaの1年半のライヴ活動を見て、少なからず刺激を受けたんだよ」っていうお話だけ聞いていました。というのも、今回のアルバムでは、新曲9曲のうち8曲が生バンドで収録しているんです。生のグルーブ感をバックにCDでKalafinaが歌えるようになったことっていうのは、今までとの大きな違いになったんじゃないかなと。激しくて熱を持っているんだけどどこか冷静だったり……っていうクールな楽曲が今までのKalafinaの世界観であり、その世界観を生きた感じに変化させていたのが私たちのライヴだったと思うんですけど、そのライヴの世界観をCDで再現しようと思ってくれたことがとても嬉しかったです。私たちもここまで来ることが出来たんだなって。


──本当に、ライヴの経験が大きかったんですね。

Wakana:この1年半の間は、バンドさんにサポートして頂いて歌う機会が多かったので、そのおかげもあって "生音との楽しみかた"みたいなものを凄く学んだ気がします。この1年半があったからこそ、自分たちも生音ならではのグルーブ感をもって歌えたんだと実感していますね。


──情熱的な「in your eyes」(M-5)は、まさに生音ならではのダイナミックさが顕著に出ている楽曲ですよね。

Keiko:そうなんです(笑)。「in your eyes」は、このアルバムだから入れられたって梶浦さんがおっしゃってました(笑)。

Hikaru:「in your eyes」はパーカッションやドラムの生音の雰囲気が曲を盛り上げてくれている曲で。この曲を始め、楽器のグルーブ感や音を感じとってもらえる楽曲が凄く多いアルバムになっていると思うので、そういう意味ではKalafinaの楽曲は今まで以上にバックの音色も大事なんだなって思ってもらえるアルバムになったんじゃないかなって思います。


●「"Magia"はKalafina史上最強にマニアックなシングルだと思っていたのにたくさんの方に聴いていただけて、凄く嬉しかった」(Keiko)

──では楽曲のことを具体的に聴いていきたいんですが、オープニングナンバーの「Eden」がまず、本当に素晴らしいですよね。今までになかった明るいサウンドの音色や〈今始まるよ〉という未来が広がっていくような歌詞が印象的で、まさに"新しいKalafina"を象徴しているような曲になっていると思います。しかも、イントロではファンタジックな"梶浦語"(独特の造語)が炸裂しているという"らしさ"も残しつつ。

Wakana:そうなんです。イントロ部分ではファンタジックな雰囲気なんですけど、造語が終わった瞬間にパンッと明るくなって──森の草原を駆け抜けるようなスピード感もあるし、〈今始まるよ〉〈明るい景色を描けるといいな〉っていう今までのKalafinaにはなかった言葉も散らばっていて……歌っていても凄く気持ちが良かったです。

Keiko:実はこの曲は(拍子が)6/4なんですよね。Kalafinaって6/8の曲が多いんですけど「いつもとグルーブが違うな」って思ってもらえたら嬉しいですね。この疾走感ってたぶん6/8では出ないんですよ。このテンポ感のおかげでスピード感が出たし、みんなが顔を上げてスタートしてくれるような、そんな爽やかな1曲になったんじゃないかなって思いました。

Hikaru:特にBメロのヴォーカルの掛け合いはKalafinaにしか出来ないサウンドになっていると思います。そういう意味でもKalafinaのアルバムの1曲目に相応しい曲だし、〈今始まるよ〉っていうフレーズも凄くいいなって思ったし……振り返らないで、ひたすら前を向いるようなそんなイメージの曲でした。


──3曲目に収録されている「Magia」はやっぱりインパクトが強いですよね。「魔法少女まどか★マギカ」が空前の大ヒットを記録したのも記憶に新しいところです。

Keiko:思い出深い曲になりましたね。この曲でKalafinaを知ってくれた方も多いと思いますし、「Magia」はKalafina史上最強にマニアックなシングルだと思っていたのに、ここまでたくさんの方に聴いていただけて、凄く嬉しかったです。受け入れてもらえたのは、あのアニメの世界観があったからこそだなって。また、この作品を受け入れてもらえたことで自信にも繋がりました。


──中盤に収録されているミディアム・ナンバー「neverending」(M-7)「ことのは」(M-8)も印象的です。

Hikaru:この2曲はどこか懐かしさを感じるようなメロディーや、言葉遊びをしているような曲をさまざまな声色で奏でていく、Kalafinaならではの"Kalafinaバラード"って印象ですね。「neverending」は私の中でクセの強いうたい方をチャレンジしているので梶浦さんと相談しながらレコーディングに挑みました。


──ラストの「symphonia」(「歴史秘話ヒストリア」ED)は独特の魅力を持った曲ですが、これはどんな印象を持った曲ですか?

Keiko:この曲はライヴの時に「外まで響け!」っていう思いを込めて3人で上を見つめながら歌う曲で……歌っていることを改めて実感できる大好きな曲です。「歴史秘話ヒストリア」のイメージに沿って聴かれてもいいし、ライヴで歌っている姿を想像しながら聴かれてもいいし……私たちがこれからも歌い続けていくよっていう意思表示をした1曲でもあるので良かったなって。「きっと最後に収録されるんじゃないかな?」って3人で予想していたんです(笑)。


──この曲を聴いたあと、リピートして最初の「Eden」に戻ってくる感じが個人的にはたまらなかったりします(笑)。

Hikaru:そう言ってくださるかたが多くて、凄く嬉しいです。前にKeikoも言っていたんですけど、「もう一度聴きたくなると思う」って。私たちもそれくらい自信を持っているアルバムなので、そう言ってもらえると嬉しいですね。私自身も「symphonia」を聴き終わったあと、もう1回最初から聴きたいなって思いましたし……あと、同時にこのアルバムの曲をライヴで早く歌いたいって思いましたね。

『After Eden』初回盤

『After Eden』初回盤

『After Eden』通常盤

『After Eden』通常盤

●「バラエティーに富んだアルバムになったので、ぜひ色々な方に聴いてもらいたい」(Hikaru)

──ところで今回のジャケットはどんなイメージでしたか?

Keiko:芯の強さと柔らかさがあるジャケですよね。こういう色味や窓から差し込む光が凄く新鮮だなって。このジャケだけ見たら「Eden」や「symphonia」のようなイメージを思い浮かべると思うんですけど、聴いてみたらみんなの想像を裏切るような「destination unknown」なども収録されていたり……面白いですよね。


──「destination unknown」は一段と激しい楽曲ですもんね、そのあたりもぜひ体感してもらいたいですね。では最後に読者にメッセージをお願いします。

Wakana:私たちの3rdアルバムが発売になりました。私たちの新しい一面をたくさん見せれた作品になったんじゃないかなと思っています。このアルバムから聴かれる方にも音楽のジャンルを分け隔てなく飲み込んでいるので楽しんで聴いて頂けるんじゃないかなって。あとはこのアルバムを聴いてライヴに遊びにきていただけたら嬉しいです。

Keiko:私たちも早くみんなに聴いてもらいたいし、皆さんのリアクションが気になるところではあるんですが、みんなが想い想いに聴いてもらえるようなアルバムになればいいなって思います。早く届いて欲しいです。

Hikaru:このジャケットから想像しえる曲も、良い意味で期待を裏切るだろう曲もたくさん入っているバラエティーに富んだアルバムになったので、ぜひ色々な方に聴いてもらいたいです。<TEXT:逆井マリ>

『After Eden』/Kalafina
2011年9月21日発売
初回生産限定盤(CD+DVD):3800円
通常盤:3059円(税込)
発売元:SME Records


Kalafina OFFICIAL WEBSITE


おすすめタグ
あわせて読みたい

Kalafinaの関連画像集

関連商品

おすすめ特集

今期アニメ曜日別一覧
2024年春アニメ一覧 4月放送開始
2024年冬アニメ一覧 1月放送開始
2024年夏アニメ一覧 7月放送開始
2024年秋アニメ一覧 10月放送開始
2024春アニメ何観る
2024年春アニメ最速放送日
2024春アニメも声優で観る!
アニメ化決定一覧
声優さんお誕生日記念みんなの考える代表作を紹介!
平成アニメランキング