『宇宙戦艦ヤマト2199』ED・結城アイラさんにインタビュー

『宇宙戦艦ヤマト2199』ED・結城アイラさんにインタビュー

 「大好きな作品の曲を歌えて本当に嬉しかった」とキラキラとした笑顔で現在の心境を語ってくれたのは、完全新作アニメーション『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章「遥かなる旅立ち」のエンディングを歌った実力派シンガーの結城アイラさん。

 結城さんはささきいさおさんの往年の名曲『真赤なスカーフ』のアンサーソングとなるドラマティックなミディアム・ナンバー『星が永遠(とわ)を 照らしてる』を担当。結城さんの楽曲と、6月30日から公開になる同作品の『第二章 太陽圏の死闘』エンディング・テーマ『美しい地球を知る者よ』(美郷あき)を収録した両A面カップリング・シングルがリリースとなる。

 結城さん自身、ずっと観てきた作品だっただけに笑顔の裏には多くの葛藤もあったというが──どんな想いでこの楽曲に挑んだのか、結城さんに直撃した。

結城アイラさん

結城アイラさん

●「レコーディング当日に泣いてしまって歌えなかったんです」

──『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下ヤマト)という大作のエンディングを歌うことが決まったときの心境はいかがでしたか?

結城アイラさん(以下、結城):本当にビックリしてしまって。私自身はヤマトをリアルタイムで見ていた世代ではないのですが、歳の離れた兄がリアル世代かつ大ファンだったんです。それで兄に薦められてヤマトを見はじめたのですが、最初に観たときは「これって再放送なの?」って衝撃を受けたことを覚えています。新鮮で、毎回ワクワクするような内容で、好きなキャラクターやセリフもどんどん出てきて……気づいたときにはすっかりハマっていました(笑)。そして、去年の年末ごろに「ヤマトの歌を歌えるよ」って言われた時はとても驚きました(笑)。でも、同時に「ヤマトの主題歌と言えばささきいさおさん」ってイメージがあったので、私が歌って良いのかなって……。

──プレッシャーも大きかったんですね。

結城:そうですね。とくにレコーディングの初日は大変でした。今回の曲は、ささきいさおさんの『真っ赤なスカーフ』(シリーズ第1作目のラストに使用された名曲)のアンサーソングにしたいねって作ったモノだったんです。真っ赤なスカーフを振っていた女の子の目線になって歌ってみたというか……ヤマトの乗組員を見送る女性目線から見た歌詞にしようってことだったんですけど、(作詞の)畑 亜貴さんからいただいた歌詞を読んだときに「これはすごいなぁ……泣いちゃうかも……」って。で、レコーディング当日に本当に泣いてしまって歌えなくて(苦笑)。「どうしよう!」ってところから始まったんですよね……。だからいろいろな葛藤があって苦労しましたね、この曲は。

──思い入れが強いからこそ葛藤もあったと。歌詞を読んだとき、具体的にどんな思いが駆け巡りました?

結城乗組員を見送るひとたちっていろいろな思いを抱えていると思うんです。相手はお父さんやおじいちゃんかもしれないし、兄弟かもしれないし、恋人かもしれないし……。いろいろな人がいると思うんですけど、この曲に関しては「大事な恋人がこの船のなかに乗ることになったら」……ってことを思い浮かべて歌いました。でも歌詞を読んでいるだけでヤマトの映像が頭のなかに浮かんできて……感情移入しすぎてしまったんですよね(苦笑)。最初は「曲に寄り添った形で歌い上げたほうが良いのかな」と思って歌っていたんですけど、なかなか思い描いた世界観にならなくて……。最終的には優しく包み込むような女性の気持ちを歌おうって思ったんです。自分の感情は抑えながら、とにかく「優しく!」と。

──そういう歌い方って結城さんの曲のなかで異色じゃないですか?

結城:そうですね。力強く歌うことが多かったので、こんなにも優しく歌うのは稀でした。だから優しいところは優しく、切ないところは切なく、っていう声のコントロールが難しかったです。

──確かにメロディーが美しい曲なだけに曲に寄りすぎてしまうと結城さんの声のパワーが半減してしまう気がするし……。

結城:そうなんです。作曲した黒須さんにはバラードでよくお世話になっていていつも素晴らしい曲を書いてくれているんですけど、特にこの曲は盛り上がる曲で。でも、そこに寄りすぎちゃうとこの曲の良さが伝わらない気がするし、歌詞により過ぎても力がなくなっちゃう気がして……。そのバランスが難しかったんですよね。

──特にここは難しかったって部分はありますか? 個人的には「そう大丈夫だと心は知っている/ふたりの約束でしょう?」という一節から浮かぶドラマにグッときました。

結城:そこは本当に難しかったんですよ! 具体的に言うと「約束」の「く」の部分で力を抜いているんですよ。「約束」ってストレートに歌ってしまうと、全然「約束」が成立しないんです(笑)。あと「約束でしょう?」の「しょう」の部分、「もう一度会えますか」の一節も苦労しました。両方とも強く歌うと意味が伝わらないから、もっと力を抜いて歌ったほうがいいのかなって細かく研究して、ファルセットを多用しつつ歌いました。
 冒頭の「信じてる」の部分も、「信じてる」ってすごく強い言葉だからこの言葉で全てが決まっちゃうんですよね。だからすごく難しくて、初日にレコーディングで「信じてる」……って歌った瞬間に「ああ、違う! これじゃない!」って納得できなくて、「これじゃあ"信じてる"の押し売りになっちゃう!」って。今回の曲は言葉を大事にしたかったので、「どうやったら言葉がいちばん伝わるかな?」って自分なりにすごく考えました。

──それで結果的に2回のレコーディングになってしまったんですね。でも無事2回目のレコーディングでは成功して。1回目と2回目の違いはなんだったんでしょう。

結城:「もうどうにでもなれ!」って振り切ったんですよ(笑)。だから肩の力を抜いたことが大きかったのかもしれないです。でも、最初のレコーディングがあったからこそだと思います。

<b>『星が永遠を照らしてる』/結城アイラ</b><br>発売日:2012年6月27日(水)<br>価格:1200円(税込)

『星が永遠を照らしてる』/結城アイラ
発売日:2012年6月27日(水)
価格:1200円(税込)

●「エンディングを観ているときは興奮しすぎてよく分からない状態でした(笑)」

──できあがった曲を改めて聴いたときは特別な感情が溢れたのでは?

結城:そうですね。『宇宙戦艦ヤマト2199』を劇場に3回観にいったんですけど、エンドロールを観てやっぱり感動しました。エンディングの絵とピッタリ合っていて……終わり方もとても綺麗ですごく嬉しかったんですけど、自分のうたに感動したというよりかはヤマトという作品に感動したというか。だからエンディングを観ているときは興奮しすぎてよく分からない状態でした(笑)。

──本編ではどのあたりに感動しましたか?

結城:やはりヤマトの動きですね。現代のCGを駆使してすごく迫力があって驚きました。とても分かりやすい展開でストーリーが進んでいた印象があります。もちろん旧作の良さもきちんとあって、本当に素晴らしい新作になっていました。初めて観るひとも楽しめる作品になっているはずです。

──さらに結城さんは8月8日には次作『悲しみは誰の願いでもない』(アニメ『境界線上のホライゾンII』EDテーマ-Side SunSet-)の発売が決定していて。この作品について今の段階でお話できることはありますか?

結城:実はちょうど録り終わったところなんですが……今回の曲とはまったく違う曲になってます。本当にぜんっぜん違います(笑)! 「こんなに感情を出しちゃうの?」ってビックリすると思います(笑)。

──そこまで違うんですね(笑)。

結城:はい(笑)。でもいろいろな面を見せられるのはアニメのおかげだなって。今まではピアノやアコースティックで弾き語りをしてきたんですけど、アニメの歌を歌わせていただくようになってからは作品に沿った歌の作り方をするようになって、自分ひとりで作っているっていうよりみんなで作っている感覚が強くなったんですよね。

──作品ごとに結城さんの違った表情を見られることもアニソンならですよね。

結城:そうですね。いろいろな歌が歌えるし、さらにいろいろな作品と出会っていけるので、本当に面白い世界だなって最近すごく感じています。

──また、7月15日『結城アイラ&しほり(瀬名)presents ラブリィ▼シフォン』(渋谷ラストワルツ)や、8月30日 『MUSIC ENERGY 2012』(新国立劇場 中劇場)など大型イベントへの出演も決定されていますが、どんなライヴになりそうですか? ※▼はハートマーク

結城:『結城アイラ&しほり(瀬名)presents ラブリィ▼シフォン』はアコースティックでアニソンを歌ってみようと思っています。今練習中なんですけど、改めてアコースティックで歌うと難しいんですよ(苦笑)。「こんなに展開してたんだ!」って自分でも気づくことが多くて「やっぱりアニソンってすごいな!」って再認識してる最中です。席自体は完売してるんですけど、スタンディングで少し席を増やす予定なのでぜひ遊びに来ていただきたいですね。『MUSIC ENERGY 2012』は同じ事務所の歌姫たちに久々に会えるので楽しみです。どんなイベントになるのか私自身もワクワクしてます。

 今年の夏はほかにもイベントにたくさん出させていただくんですけど、今までは皆さんの前でライヴをやる機会が少なかったので、今年は皆さんにたくさん会いたいなと思ってます。ぜひ会いにきてくださいね!

――ありがとうございました!


◆]『星が永遠を照らしてる』/結城アイラ
発売日:2012年6月27日(水)
価格:1200円(税込)

●『結城アイラ&しほり(瀬名)presents ラブリィ▼シフォン』
開催日2012年7月15日(日)・18:00開場19:00開演
会場:渋谷ラストワルツ

●『音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2012』
開催日:2012年7月21日(土)・14:30開場15:00開演
会場:音霊 OTODAMA SEA STUDIO

●『nonstop アニソントレイン 祭 2012 in 大阪』
開催日:2012年8月3日(金)
会場:大阪城 西の丸庭園

●『オトメイトパーティ2012』
開催日:2012年8月4日(土)・17:30開場18:30開演
会場:東京国際フォーラム ホールA

●『MUSIC ENERGY 2012』
開催日:2012年8月30日(木)・18:15開場19:00開演
会場:新国立劇場 中劇場
出演者:
Kalafina/南里侑香/宇浦冴香/結城アイラ/小川真奈/サントス・アンナ/織田かおり/春奈るな


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[インタビュー&文・逆井マリ]

(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
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