声優
田村ゆかりさん日本武道館【2月14日】公演レポ

クルピヨン、ゆかたんまで! ゆかりんが見せた“七変化”――「田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Winter」【2月14日】公演レポート

 2015年2月14日(土)・15日(日)、日本武道館において“ゆかりん”の愛称でお馴染み、田村ゆかりさんによるライブ「animelo mix presents 田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Winter *Lantana in the Moonlight* supported by JOYSOUND」が開催された。本公演では、普段は閉鎖されるステージバック席を解放。360度、王国民が見守るなか、七変化という和名を持った “Lantana”のタイトルの通り、最新シングル『あのね Love me Do』で見せた千差万別の表情をさらに豊かに広げたようなライブを展開したのだった。本稿では、14日公演をレポートする。

 ハートで彩られたシャンデリア風の巨大ライトを天井に、アリーナ前方に客席に花道、ステージバック席と並行して曲線状に伸びた特設ステージ。さらに、日の丸の下に大きなスクリーン。360度、どこを見ても“ゆかり愛”を背負った王国民が待機している光景も圧巻だったが、本当の圧巻はここからだった。

 暗転と同時に客席にピンクの光が灯り、メインステージの下からくすんだねこが登場。『スパークリング☆トラベラー』のイントロが流れ、そのままライブスタートかと思いきや……。突然ねこの仮面を投げ捨てて、(悪役風の声で)「貴様ら、えらく楽しそうだなぁ!あまりに不甲斐ないから、このライブをブチ壊しに来てやった! とっととウチに帰って、母さんにもらったチロルチョコでも食べな!」と辛辣な言葉を放ちまくる。その正体は、昨年のツアーにも映像で登場した悪の組織・JJ団のジジ。なんと、あとから応戦した相方のジョーと、『スパークリング☆トラベラー』のマスターを宝箱に封印し、カギをかけてしまう。「文句を言ったところで、もう二度と聴くことはないがな!」という言葉に会場から悲鳴が響くと、 “大人の事情と戦う”乙女戦士クルピヨンに扮したゆかりんが「そこまでよっ!」と、ステージバック席を横切って参上。 ステッキを片手に戦いながら、『乙女戦士クルピヨン』を哀愁たっぷりに熱唱し、「スパークリング☆トラベラーのカギを返しなさーい!」と再び客席を横切って、逃げるJJ団を追いかけていくのだった。

 初っ端からの思いがけない演出と、ゆかりんと客席のあまりの近さに驚きと歓喜の声がざわめくなか、どこからともなく、リコーダーの素朴な音色が……。スクリーンで上映が始まったのは『乙女戦士クルピヨン 第二話“彼女の名前は桃子”』。ほのぼのした様子で、フルーツからたこやき屋に向かう桃子ちゃん(ゆかりん)と、太郎くんと、太郎くんのおばあちゃん。しかし、公園でたこ焼きを食べている途中で太郎くんがJJ団にさらわれてしまうという急展開! 火薬もありの激しいバトルアクションを繰り広げ、最後は必殺技「クルピヨンペッシュウィンク」でタコ怪人をやっつけ太郎くんを救出する。平和が戻ってきたところで──ステージに、ファンシーなピンクのミニドレスでステッキを持ったゆかり姫が祭壇し、バックバンド・桃色男爵のサウンドに合わせて、『めろ〜んのテーマ 〜ゆかり王国国歌〜』をお届け。魔法のステッキで観客のハートを射抜いたあとは、キャミソール型のエメタルドグリーンのドレスに早着替えして『惑星のランデヴー』、『ラブリィ レクチャー』へと続き、バレンタインならではの甘く濃密な空間を作っていくゆかりんなのであった。

 

●いつもとは違ったステージと構成

 ここで「ということでやってきました! 田村ゆかりです!」と元気いっぱいに挨拶。したかと思ったら、低い声色で「……今日は後ろに亡霊のように、ひとがいるんですよ。えーっと、元気そうですね……」と後ろを振り返る。全方向に人がいるため、どこを向いていいか分からず、『乙女戦士クルピヨン』のフリを間違えてしまったんだとか。ステージを右往左往しながら「今日はバレンタインじゃん?そのことに触れていいか、分からないけど。ゆかりは特にトピックスもなく……」と相変わらずマイペースな様子には、会場からは笑いが。

 また、この日は見事な晴天だったが、去年のツアー初日のさいたまスーパーアリーナ(「田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2014 Spring *Fruits Fruits ♡ Cherry*」)が大雪だった話となり「遭遇した人~」と聞くと、その場にいたほぼ全員が挙手。これには「リピート率100パーセントなんじゃん!?」と驚いた様子であった。そんな話をした後は、最新シングルの表題曲『あのね Love me Do』へ。桃色メイツ(ダンサー)との息のあったダンスも可愛い。透明感のある歌声で『mon chéri』をしっとり響かせると、映像へ。

 今回の物語は、恋に悩み、毎晩月を眺めて過ごしている女の子(ゆかりん)がヒロイン。女の子が流した一滴の涙がランタナの花を妖精へと変え、月の光のなかでしか見ることのできないという妖精は、虹を見せてくれたら“恋の魔法”をかけてくれるという。女の子は虹を見せるために、妖精と夜の街を歩きだす……。

 続く中盤のブロックでは、ツアータイトルの“*Lantana in the Moonlight*”の意味が、少しずつ明らかになっていく。白いキャミソール型のドレスをまとったゆかりん。メインステージ中央に用意の椅子に腰をかけ、サイドテーブルにある花を見つめながら、しっとりとした『月華』を歌い上げる。最初は悲しげだった表情が、曲の後半は慈しむような表情と変化し『君へ』。タキシード姿の男性役ダンサー2人、ドレス姿の女性ダンサー2人が物語を紡ぎながら舞う姿が美しい。今度は曲調をカラフルに変えて『夢色ラビリンス』『虹色バルーン』に。『虹色バルーン』では、ステージをダンサーとともにグルりと一周。ステージバック席の中央で花のステッキを一振りすると、ステージバック席のオーディエンスのペンライトが七色(虹)に変わるという演出があり、なんともドラマティックな光景であった。


 再び映像へ。約束通り、夜の虹を見せた女の子。しかし妖精の魔法は、恋を成就させる魔法ではなく、恋をしている女の子に変化を与える魔法だということ。「こんなので私の恋が叶うワケないじゃない」とボヤきながらも、その魔法を掛けられた女の子は……。


●女の子の恋は叶うのか?

 ここからは、さらに表現力に満ちたパフォーマンスが展開される。水色の斜め切りスカートへと切り替えたゆかりんが、ミディアムバラードの切ない『不可触な愛』を。『こっちを向いて』では、曲調と共に表情が柔らかくなっていき、最新シングル『まだ好きでいさせて』で前曲に使用した特効の霧が晴れていく。純粋に、まっすぐ想う気持ちを歌いながら、花道で大きくせり上がっていく(1階席スタンドと同じくらいの目線)。珠玉の名曲で繋ぎ合わせたミュージカル風の演出、その表現力には、痺れるものがあった。

 ここで最後の映像。女の子は前向きに、恋が成就する努力をはじめる。妖精のかけた魔法は、“勇気”の魔法だったという。恋は叶う、叶わないが大事じゃなく、大事なのは人を想う気持ち。恋だけじゃなく大切に思うモノには、大きな声で気持ちを込めて、ちゃんと気持ちを伝えたほうがいいというのは、妖精の言葉。「大切な想いは、ちゃんと伝えないと相手に伝わりません。みなさん、どうか伝えて下さい。大切な人に大切な想いを」──。


●神楽坂ゆかから重大告知!

 温かな感動が広がっていくなか『SUKI…っていいでしょ?』のBGMが……そう、ゆかりんの妹分であり、純派アイドルの“ゆかたん”こと神楽坂ゆかの登場である。場内のペンライトがイメージカラーの水色へと素早く切り替わると、水色と白のミニドレス、足元はローカットスニーカーという出で立ちで、ステージバック席をギクシャクと歩きくゆかたん。(上ずった声で)「こっ、こんばんは! 神楽坂ゆかと申しますっ! 今日はゆかりんさんのゲストに呼んでいただきましたっ! 頑張って歌いますっ!」と『Doki Doki ☆ π パイン』。円周率コールもみんなバッチリで、ファンにはおなじみのパイナップル&Tシャツ姿のダンサーが盛り上げるなど、会場全体がお祭り状態の盛り上がりとなった。

 MCでは「き、緊張して、どっちが前か分からなくなってしまいましたっ。まさか憧れの日本武道館に立つことができるなんて……うっうっ(涙)」と興奮を隠せない様子。今日のチケットを買っていたというゆかたんだったが、ゆかりんに声を掛けられ、急遽ステージに立つことになったと経緯を説明。ただ衣装がないので『17才だよ?!ゆかりちゃん祭り!』『Animelo Summer Live』で着ていた衣装をもらったという。靴はもらえなかったとのこと(笑)。

 ここで2nd単独ライブが2015年8月26日(水)、2015年8月27日(木)中野サンプラザで行われることを告知。「大きなタマネギの下で、中野サンプラザの告知をできるなんて、最高で~す!」と知る人ぞ知るネタをぶっこんで会場を和ませながら(笑)、残り2曲『教えて ヴィヴァルディ』『1、2、の3シャイン』を一生懸命歌ってそわそわとバックステージに戻ったゆかたん。恒例となったバーチャルデートムービーのゆかたんバージョン『わたしを好き?(スキー)に連れてって』を楽しんだあとは、いよいよクライマックスへと向かっていく。


●本編最後にあの曲を……!

 フルーツカラーのドレスを着たゆかりんが、弾けるような新曲『好きだって言えなくて』を披露するところから、怒涛の後半戦のスタート。MCを挟んで『純愛レッスン』『ラブラブベイビーハッピースター』『チアガール in my heart』とそのドレスのように、カラフルなラインナップで盛り上げていき、なんとラストに曲調をガラッと変えて、ロックチューン『エキセントリック・ラヴァー』を投下。特効の火柱をバックに巻き舌でシャウトし、最後にマイクスタンドを投げ捨てる姿を見て、自然と「ライブハウス武道館へようこそ」という名言を思い出した。

●封印された『スパークリング☆トラベラー』の行方は……次回?

 アンコールにはリメイクしたTシャツと、ピンクのミニスカート姿で祭壇したゆかりん。桃色男爵、桃色メイツとともに『バンビーノ・バンビーナ』『fancy baby doll』で勢いよくスタートを切る。“世界一かわいいよー!”コールもあり、まるでテーマパークのような楽しさが続く。

 MCでは『バンビーノ・バンビーナ』の歌詞について「ゆかりの周りはウソばっかしの世界だし、ゆかりも嘘つきだけど、『バンビーノ・バンビーナ』の歌詞は純粋でいいなと思いました」と振り返る。また、同業者のライブに行くことは「悔しくなるから」ほとんどないそうだが、最近好きになったアーティストのライブに行って、ライブで距離が近いのもいいなと思ったということ、また長渕剛さんのライブをステージバック席で見たことなどを話して、最後に「また4月からツアーが始まるから……来てくれるかな?」と聞くと、客席からは「おおおお!」と大歓声。その声を受け止め「ゆかりも楽しみにしてる!」と、ラストに『Super Special Smiling Shy girl』を大合唱。“だいすきだよ”の応酬を目の当たりにして、映像の物語にあった「想いを伝えてもらって、伝えてあげて。今日はそんなことを考えるのに、ピッタリの夜ね」というセリフを心のなかで思わず反芻した。

 ライブ終了後は客席のひとりひとりと視線を結ぶかのように丁寧に手を振り「ありがとうございました!」と挨拶。いつもとは違った選曲と曲順、コンセプチュアルな演出で、ゆかりんの“これから”がますます楽しみになるライブに、期待を込めた“ありがとう”の拍手が贈られたのであった。

 animelo mix presents 田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Spring *Sunny side Lily*supported by JOYSOUNDは、4月11日(土) 千葉・松戸森のホール21 大ホール~6月27日(土) 28日(日) 東京・国立代々木競技場 第一体育館で行われる。

[取材&文・逆井マリ]


■アニメロミックス presents
田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Winter *Lantana in the Moonlight*
supported by JOYSOUND

2015年2月14日(土) 東京・日本武道館

<SET LIST>
01 乙女戦士クルピヨン
02 めろ〜んのテーマ 〜ゆかり王国国歌〜
03 惑星のランデヴー
04 ラブリィ レクチャー
05 あのね Love me Do
06 mon chéri
07 月華
08 君へ
09 夢色ラビリンス
10 虹色バルーン
11 不可触な愛
12 こっちを向いて
13 まだ好きでいさせて
14 Doki Doki ☆ π パイン/神楽坂ゆか
15 教えて ヴィヴァルディ/神楽坂ゆか
16 1、2、の3シャイン/神楽坂ゆか
17 好きだって言えなくて
18 純愛レッスン
19 ラブラブベイビーハッピースター
20 チアガール in my heart
21 Fantastic future
22 エキセントリック・ラヴァー

<ENCORE>
23 バンビーノ・バンビーナ
24 fancy baby doll
25 Super Special Smiling Shy girl

【リリース情報】
26th Single
「好きだって言えなくて」

2015年4月1日発売
KICM-1583/¥1,300+tax
※「魔法少女リリカルなのはViVid」EDテーマを含む全4曲収録!
*初回盤のみスペシャルパッケージ仕様(予定)


>>田村ゆかりOFFICIAL WEBSITE

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