続く不安、揺れる座席、募る恐怖！『IT／イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』は4DXで見ると“それ”が帰宅後もいる恐怖を味わえる【体験レポ】

普通に見ても怖いのに、4DXがさらに怖さを助長してる。勘弁して！

『IT／イット THE END』は、一部劇場で“4DX with ScreenX”での上映が実施されます。4DX with ScreenXとは、映画のシーンに合わせて座席が動き、水や香り、フラッシュなどのエフェクトが楽しめる体験型シアター。ScreenXは、正面スクリーンに加えて左右にも映像が映る3面スクリーンで、より映画の世界に没入できる上映システムです。

結論から言うと『IT／イット THE END』と4DXの相性抜群にいい！　「くるぞ……くるぞ……」という雰囲気を醸し出しておきながら「な～んだこないんかい！」と思わせ「やっぱりきた！！」という“裏切り”が連続する作品のため、まるで“お化け屋敷のなか”にいるような緊張感があります。

一見するとなんでもないようなシーンでも座席がふわふわと揺れており、あわせて心も揺れ、平常心を失います。夢を見ているような心地よさではなく、頭は起きているのに体が眠っている“レム睡眠”のような状態で、恐怖と座席の揺れで自分の“恐怖心”や“平常心”を全てコントロールされてしまいます。

上映前は「今回どんな感じだろうね（笑）」という余裕すら漂っていた劇場内でしたが、上映が始まると悲鳴・悲鳴・悲鳴のオンパレード！　なかには叫び声をあげたあとに笑いだしてしまう人もいました。人間、本当に怖いと笑ってしまうものなのかもしれません。

「絶対くるぞ！」と身構えて目をつぶっていたのに、なにも起こらずほっとしていたら突然“それ”の姿が目の前いっぱいに広がり、誰もいないはずの背後から「ドンドン！」と強く肩を叩かれたときは失神するかと思いました。本当に怖くて帰りたかった。

比較的ホラーは得意なほうの人間なのですが、予想できない恐怖の連発＆突然体に襲う衝撃が『IT／イット』がもつ怖さを何倍にも増幅させており、まるで“行き先は見えないのに急降下し続けるジェットコースターに乗り込んでいる”かのような絶望感すらありました。おろしてくれ。

“記憶”が鍵の本作。後引く“恐怖の記憶”を体感したいなら4DX！

上映タイミングで記事が公開されるということもあり、本編にふれるようなネタバレは一切できないのですが、本作のキーワードを1つ明かすとしたら“記憶”です。

どういうわけかルーザーズは、過去“それ”と戦った記憶、デリーで過ごした日々、ルーザーズとの絆に関する記憶を失っています。しかし、“それ”と戦うためには“記憶”が重要です。

戻れない過去へ思いを馳せながら、負けっぱなしだった過去と向き合う彼ら。『IT／イット』はただただ怖いホラー映画ではなく、少年少女たちが辛い過去と向き合い、たくましく生きていこうとする姿も見どころです。

視聴し終えた後は約2時間50分続いた恐怖で、体はぐったりしていましたが、心はどこかスッキリしていたのは、そんなルーザーズの姿があったからかもしれません。

しかし、背後を「ドンドン！」と叩かれた恐怖は体に染みついており、帰宅後、しばらく暗い場所で後ろを振り返れませんでした。４DXで見ることで、じわじわと続く恐怖を味わってみてはいかがでしょうか？

［文・河内香奈子］

『IT／イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』作品情報

【ストーリー】
子供が消える町に、"それ"は現れる――。小さな田舎町で再び起きた連続児童疾走事件。「COME HOME COME HOME（帰っておいで…）」という"それ"からの不穏なメッセージが届き、幼少時代に"それ"の恐怖から生き延びたルーザーズ・クラブの仲間たちは、27年前に誓った＜約束＞を果たすために町に戻ることを決意する。だが"それ"は、より変幻自在に姿を変え、彼らを追い詰めていくのだった……。なぜ、その町では子供が消えるのか？　なぜ、事件は27年周期で起きるのか？　"それ"の正体と目的とは？　果たして、すべてを終わらせることができるのか！？

監督：アンディ・ムスキエティ 原作：スティーヴン・キング　脚本：ゲイリー・ドーベルマン
出演：ビル・スカルスガルド、ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー、イザイア・ムスタファ、ジェイ・ライアン、ジェームズ・ランソン、アンディ・ビーンほか
配給：ワーナー・ブラザース映画
　
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