メジャー1stシングル発売記念！バーチャルライバー・樋口楓さんインタビュー｜「MARBLE」は、これからの樋口楓の看板曲になる楽曲

VTuberを始めたのは、「暇だった」から!?

――そもそもの話になりますが、にじさんじに応募されたのはどういったきっかけがあったのでしょうか？

樋口：ちょうど１期生の募集があった頃、私がリアルのYouTuberさんをめちゃくちゃ見ていた時期で、VTuberの動画もいくつか見ていたんです。その時に、すごく怪しげなアカウントがオーディション募集しているのを見かけて（笑）。「なんか最近暇やったし応募してみようなかなぁ」と応募してみたら受かってしまったと。

――めちゃくちゃ軽い動機だったんですね（笑）。

樋口：たぶん（にじさんじの）同期の中で一番軽いと思います（笑）。他の人みたいに、ゲームやお喋りが好きで、それを見せたいという気持ちがあったわけでもないですし。

オーディションの時のテーマがフリートークだったんですが、『スクフェス』（※2）に課金して爆死して、「人生うまくいかないもんですね」と嘆いているだけの音源を送ったら合格の通知がきて。合格の喜びとかより、まず思ったのは「本当にこの会社は大丈夫なのか」と（笑）。

一同：（爆笑）。

樋口：ただ、元々ネットゲームは好きだったので、リスナーさんと一緒にゲームができたら面白そうだなという動機はありました。配信も本当にこんな雑談でいいのか、不安半分に始めたんですけど、やってみると想像していた以上に楽しかったですね。

※2：スクフェス
ブシモから配信中のスマートフォン向けアプリ『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』。カジュアルなリズムゲームとキャラクター、ソーシャル要素がマッチしたゲーム性が大ヒットし、アイドルリズムゲームアプリというジャンルの火付け役となった。

――始める前にVTuberに対して抱いていたイメージと、実際の活動ではギャップはありましたか？

樋口：始める前は、どちらかというとアイドルに近い存在なのかなと思っていたんですけど、実際に活動してみるとそうでもないなと。同期にも後輩にもアイドルっぽい人はいなかったですし（笑）。

――（笑）。確かに、にじさんじのメンバーはそうかもしれません。

樋口：どちらかというと、自分の生活とか好きなことを話してリスナーさんに共感してもらったり、話し相手になるような存在というか。私が活動を始めた頃と比較すると、VTuberそのものが、大分リスナーに近い存在になってきたんじゃないかなと思っています。

――ここまでVTuberが盛り上がると想像していましたか？

樋口：にじさんじの同期や後輩たちが頑張ってくれたことで、VTuberの市場や、樋口楓という存在も大きくなっていって。「もっと（VTuberの活動を）続けていたい！」という気持ちが、どんどん強くなってきましたね。

――ちょっと気になっていたのが、樋口さんは、にじさんじの中では重鎮とも言える立場になられていると思うのですが、会社でいえば３年目の社員ってまだまだ若手ですよね。どういう心境なのかなと。

樋口：（笑）。中学高校の一年上の先輩って、卒業して何年経っても先輩という存在であることが変わらないのと同じで、VTuberとして先にデビューされている方々はいつまで経っても私にとって先輩なんです。

ただ後輩に関しては、今まで後輩という言葉を使ってはきたのですが、少し感覚が違っていて。部活の先輩後輩とかではなく、通学団の年下の子とか、幼稚園の年長年中くらいの緩い関係というか、後輩というよりも仲間という感覚ですね。

――樋口さんといえば月ノ美兎さん、静凛さんを含んでの「JK組」のイメージも強いのですが、おふたりの第一印象はいかかでしたか？

樋口：美兎ちゃんについては、とにかくめちゃくちゃお喋りが好きな子という印象が強いですね。トークも上手なので、私の発言についても深堀りして聞いてくれたり、やっぱり話していて楽しい存在です。

凛先輩に対する最初の印象は、「かっこいい・きれい・クール・潔白・怖い」をまとめて「５K」だとよく言っていて、クールはKじゃなくCだろと突っ込まれているのですが（笑）。結構その時の印象はそのままで、１つ年上なんですけどゲームも上手で配信や言葉使いも丁寧で、オンとオフの時の切り替えもすごくて……とにかく見習うべきところが多い存在ですね。

――キャラクターのイメージ通りの、先輩的な存在というか。

樋口：そうですね。にじさんじのメンバーとしては一応同期ではあるんですけど、精神的にしっかりされている方なので。何でも相談したら答えてくれるし、すごく助けられていますね。

――月ノ美兎さんとは、メジャーデビューも同時に発表されましたが、お互いに相談しあったりということはありましたか？

樋口：メジャーデビューの話が進んでいる時、「“KANA-DERO”」にランティスの方が来られていたので、１人で挨拶をしにいったのですが、その時に「誰誰？偉い人？」と（美兎ちゃんから）訊かれた思い出があります（笑）。それで事情を話して、美兎ちゃんにも違うレーベルさんからお話が来ていたことは知っていたので、「違うレーベルになるけど、お互いに頑張っていけたらいいね」とは話していました。

――ものすごく膨大な数の動画や配信をアップロードされていますが、今回をきっかけに樋口さんの存在を知った読者に向けて、このあたりから見ていくと良いのではというものはありますか？

樋口：うーん……一番分かりやすいのはオリジナル楽曲になると思うんですけど、配信のアーカイブなら言葉使いが荒くなるタイプのゲームとか（笑）。マイクラとかポケモンとか、終わりがないゲームはかなりの長編で見るのも大変だと思うんですけど、単発でやっているゲームははっちゃけていることが多いので。インタビューの文面だとどうしても少し硬い喋り方に見えると思うんですけど、実際にそのあたりの配信を見てもらうとまた違った印象をもってもらえるんじゃないかと思います。

――樋口さんといえば、『マビノギ』（※3）がお好きというのも有名なお話ですが、なぜMMORPGに興味をもったのでしょうか？

樋口：『マビノギ』は、近所のお兄ちゃんお姉ちゃんに紹介してもらって始めたのがきっかけでした。MMORPGをプレイしたのは初めてだったんですけど、『マビノギ』は自分の分身となるアバターが３Dで、服の色とか髪型とか、自分の個性を出すことができたゲームで。自分のアバターを自分の好きな外見に変えて、見ず知らずの他のプレイヤーのアバターの人たちと生活するのが、現実世界とは違う、別の私でいられる場所だったんですね。それでどんどん『マビノギ』にハマっていったんですけど、今思えばそれってVTuberの活動も同じだなと。

※3：マビノギ
2005年よりサービスがスタートした、ネクソンが運営するMMORPG。楽器演奏や料理、衣装製作など、オンラインでの生活を楽しむための要素が豊富に用意されているのが特徴。樋口楓さんは生放送にも出演するなど、現在は運営公認のプレイヤーとなっている。

――確かに、今お話を聞いてMMORPGとVTuberってすごく似ていると思いました。現実世界とは違う姿のアバターになって、リスナーの人たちと交流をして……。

樋口：そうなんです！ VTuberファンの方にもきっと気に入ってもらえるんじゃないかと思うので、是非一度遊んでみて欲しいですね。

――2020年はどんな年にしていきたいですか？

樋口：少しでも多くの人に樋口楓の存在を知ってもらえる年にしたいなと。そのためにも、普段の配信もそうですし、ランティスさんでの活動、にじさんじ全体としての活動にも積極的に参加していきたいと思っています。

――最後に、CDの発売を楽しみにしているファンの方へのメッセージをお願いします。

樋口：皆さんのお陰で、樋口楓はここまで来ることができました！ただ、ここはゴールではなく、新たなスタートだと思っています。なのでリスナーの皆さんも、これからもどんどん続いていく物語を一緒に紡いでくださると嬉しいです。今後とも樋口楓をよろしくお願いします！

――ありがとうございました。

［取材・文／米澤崇史］