茜屋日海夏、 映画『13月の女の子』公開記念インタビュー | 演技をしていなければ生きている意味がない

自分のこととして作品を受け止めてみて欲しい

――ありがとうございます。それでは茜屋さんが演じた辰巳涼子というキャラクターについても聞かせてください。この役を演じる上でどんな準備をされましたか？

茜屋：私は形から入るタイプなんですよ。食料も底をつきそうな世界ということで、撮影中はあまりご飯を食べていなかったんです。

――フィルムを見た時にいつもより絞れてるというか少しやつれている印象があったのは役作りだったんですね。

茜屋：そうなんです。自分でも映像を見てみたら「あれ？こんなに痩せてたっけ？」って思うくらい。監督や美術の方がこだわって世界観を作っているので、私の方でできるのはまず、ビジュアルを作品の雰囲気に合わせることだなって。顔に煤が付いてたりとか。シーンに溶け込むように色々と考えていました。

――実際に映画を見てみると、中盤から出番が大きく増える役回りでしたね。

茜屋：ちゃんとした最初のセリフは「13月がある世界」に一穂が足を踏み入れてからですね。でも、序盤から要所要所で登場はしていて。チラっと映っていたりとかは沢山あるので、そこもぜひチェックしてほしいです。

――中盤以降は衝撃的なシーンの連発でした。

茜屋：これは見ていただいた方には伝わると思うんですけど、『13月の女の子』って途中から涼子の視点で見ることになると思うんですよ。

色んな人間ドラマが描かれていく中で、涼子はそういった立ち回りや印象的なセリフも多いので。

ただ、ラストシーンに向けて、私も涼子を演じる上で何が大切なのか、何を大切にすべきなのか分からなくなってきたりもしました。

――なるほど。改めてになるのですが茜屋さんはどのような気持ちで辰巳涼子を演じていたのでしょうか？

茜屋：そうですね。涼子は特に仲が良い友だちが2人いて。最初は2人が居るから強気で自分の意見が言えていたんですけど、徐々に百子（ 八坂百子 演 酒井萌衣さん ）が涼子と違う意見を言うようになったりしているシーンを演じていると段々分からなくなってきちゃって。

味方や敵といった話じゃなく、自分の行動がその世界で正しいことなのか？どうなのか？が徐々に分からなくなるような気持ちになりました。

――なるほど。

茜屋：涼子は景（青砥景 演 田野優花さん）や瑞樹（ 一之江瑞樹 演 北村優衣さん）と言い合うシーンがかなり多いので、そのシーンは印象に残ってますね。

特に、酒井萌衣ちゃんと愛菜 （ 四ツ木まどか役）ちゃんも想い出深いかな。大好きになりましたね（笑）。泊まりで撮影することもあったんですけど、3人だけで宿泊する日があったり。その時は夜な夜な語り明かしました。

――撮影が終わっても続く関係性って素敵ですね。特に印象に残ったシーンなどはありますか？

茜屋：うーん...。やっぱり女の子たちが全員一つの場所に集まっているシーンでしょうか。

――ネタバレになるので伏せますが、あのシーンはとても印象深いです。

茜屋：撮影している最中の空気もすっごく重くて。本当にこの作品のヒューマンドラマのところを象徴しているようなシーンだと思いますので、じっくりと見ていただきたいです。

――世界観やメッセージ性が特に強い作品なので、役が抜けなくて困ったりなどはありましたか？

茜屋：ありました。結構、役に引きずられちゃって。なので、『i☆Ris』のツアーのリハーサルの時、全然喋ってなかったんですよ。休憩中は隅っこでポツンと座ってるみたいな。

でも、メンバーはそういう所を察してくれるので、とても助かりましたね。

――改めて『13月の女の子』という作品について茜屋さんはどう感じていますか？

茜屋：私、映像がスタートした瞬間の桜で一気に引き込まれたんですよ。見ている時も画面から離れられませんでした…。

絶対に映画館で見て欲しいですね。

改めてですけど、映画館って非日常的な空間じゃないですか。真っ暗な中で集中して映画だけに集中できるって素晴らしいと思うんです。大画面で迫力もあり、音響も全く違うので。

――確かに。作品全体を通して映像がとても綺麗でした。

茜屋：そうですよね。物語については最初、友情や過酷な環境で自分が何を選ぶのか？という点に関して思うことが多かったのですが、今は私たちの住んでいる世界も大きく変化したこともあり、他人事として見れなくなりましたね。

劇場に足を運んでいただける方には、自分のこととしてこの作品を受け止めてみてほしいです。