音楽
絶望に絶望したことのある全ての人に、ReoNa『unknown』を聴いてほしい

「それは優しいあなたのせいじゃない」。“絶望系アニソンシンガー”ReoNaとして、名もなきお歌で、名もなき絶望を歌った1stアルバム|インタビュー

この言葉でより添えられるひとがどこかにいるはず

──では、表題曲でありオープニングナンバーの「unknown」は、どのようにして生まれたのでしょうか。

ReoNa:『unknown』を作ると決まってから、その時々でテーマを書き起こして、お伝えしていたんです。アルバムの制作が決まった頃、「unknown」という言葉がすごく身近なところにあって……例えば、SNSを利用していると、退会した人の表示が「unknown」に変わっていたんです。何もないところ、誰もいないところという、4thシングル『Null』のニュアンスにもつながる何かを感じていました。

そして、「unknown」という言葉のなかには、“まだ知られてない”というニュアンスがあるように私は感じていたんです。そういった話を傘村さんにお伝えしたところから、この曲の歌詞の制作が始まりました。

今はSNSやLINEが普及して、昔に比べて、みんないろんな顔を持っているという感覚があるんです。SNSのなかでの自分、家のなかでの自分、連絡を取ってるときの自分……。歌詞では<A君の前の僕は優しくて、B君の前の僕は大人しい、Cさんの前の僕は無口で>というフレーズがありますが、すごくアイコン的というか、それぞれのシーンに合わせた自分が並んでいるというか……。

私自身「ReoNaって優しいよね」と言われると、「あ、優しくしなきゃいけないのかな」って思ってしまうことへの、疑問や葛藤がありました。そんな感情に傘村さんは、<それは優しいあなたのせいじゃない>という言葉で寄り添ってくれて、自分が抱えていたものに、1つ答えをもらったと感じています。

 

 

──相手によって変わってしまうのは、あなたのせいじゃない。それは空が青いのは空のせいじゃないように……という表現に、温かさを感じます。

ReoNa: (うなずきながら)あのときこんな言葉をもらっていたら、何か変わったのかもしれないなと思いました。この言葉で寄り添えられるひとがどこかにいるはず。そんなことを思いながら、そしてライブでお歌を届けている景色を想像しながらレコーディングで歌っていきました。

色の話に戻ってきてしまうのですが、相手の色を受けて、自分の色が変わっていってるなと。例えば、自分が最初にいかりの色を持って相手に接してしまったら、相手からもきっと同じ色が返ってくるんだろうなって思うんです。

自分のことは外から見られないので、「私はこういう人間だと思ってるけど、他の人から見たらそうじゃないのかな」とか、すごく気にしていた時期があって。芯に近い部分ほど、誰かに否定されたらやっぱり苦しいものなんですよね。本当の自分をさらすことって難しくて、でもそれができなくても……きっと自分自身のせいではない。今ならそう思います。

──そこから2曲目の「forget-me-not」(TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」2ndクールEDテーマ)へ。「forget-me-not」は、ReoNaとしてソードアート・オンラインシリーズに初めて関わった代え難い楽曲です。

ReoNa:まさに代え難い一曲です。いろいろな初めて、出会いの局面を過ごしてきた楽曲で。まさに“忘れないでね”と伝えるような、本当に大切な曲だよってことを伝えたいなと思い、2曲目に収録しました。

生きたくなくても続いていく今日を叫んでいく

──個人的には、堀江晶太さんが作詞・作曲・編曲全てを担った「BIRTHDAY」(M6)がすごく好きなんです。3分30秒台のReoNaさんの曲って新鮮ですね。

ReoNa:そうかもしれません。凝縮された曲になっていて、自分にとって挑戦でした。堀江さんには今までは編曲でお世話になっていましたが、今回は初めて作詞・作曲も含め、全部に想いを重ねていただきました。去年ライブでご一緒したときに、テーマとして「それでも死ななかった理由」というものをいただいていて。

──それでも、死ななかった理由ですか……。

ReoNa:はい。「それでも生きていたい理由」、「それでも死にたい理由」でもなく、「それでも死ななかった理由」……つまり、それでも今を生きてる理由なんだろうなって。なぜ当たり前を放棄しなかったんですか?ってあまり聞かれない質問なので、なかなか答えが出なくて。その思いを持って、年末年始を実家で夜の海を眺めながらすごく考えて。

小さいころ過ごした家で、ものすごく細かく、一日いちにちを生きてたあのときの自分を思い返して、「明日の予定がまだあったから」、「小さな命を拾ったから」……なんでもない理由を少しずつ言葉にしていったんです。

──まさに、Twitterで綴っている日々の“こえにっき”のような。

ReoNa:そうなんです。本当に日記のような感覚で言葉を紡いでいって。そのメモを堀江さんにお渡ししたところ、「ノイズという言葉が浮かびました」と言われたんです。ああ、確かにそうかも……と。今を生きていたい自分にとって邪魔なもの、死にたかった自分にとっても邪魔なもので、どうやっても私のなかでノイズだったものがあったんです。そこから堀江さん自身を重ねて、歌詞にしてくださったんです。言葉の節々からいろいろな景色を想像をしました。

──最後の<いつか笑うためと理由を付けたよ>に集約されていくような感覚があります。

ReoNa:まさにそうですね。微笑みがあるとしたらその言葉と、そこから続いていくLa La La……というコーラスだけだなと思いながらお歌を紡いでいきました。「BIRTHDAY」という言葉は、このコーラスを聴いたときに浮かんだそうなんです。一日一日生まれなおせた自分への祝福なのか、まったくそこに関係ないところで、ただひとり歌ってる感覚なのか……生きたくなくても続いていく今日を叫んでいく。まさに集約していくように、この言葉につながっていきます。

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