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『蒼穹のファフナー THE BEYOND』新オープニングテーマ「叫べ」angelaインタビュー

『蒼穹のファフナー THE BEYOND』新オープニングテーマ「叫べ」angelaインタビュー|30thシングルについて1万字の熱いメッセージをお届け!

自分たちが考える『ファフナー』を楽曲で表現しつつ、希望的な想いも

――「叫べ」は「怒涛の展開に向けた激しい曲」というコンセプトはわかりましたが、それ以外にアニメ制作サイドからオーダーはあったのでしょうか?

KATSU:それがなくて。能戸監督も冲方さんも音響監督の三間(雅文)さんもたぶん、僕らが作れば『ファフナー』になるとすごく信頼してくれていて。僕らが表現する『ファフナー』ですと楽曲をお渡しすると毎回、三間さんから「素晴らしい」とメールが来て。音響監督からそういう反応をいただくことで、「合っていたんだ。よかった」と安心できて、第一段階突破だなという基準にもなっています。

atsuko:歌詞も最近はお任せで、ありがたいような、悩んでしまうような感じです。自分が書いたものが正解なのか判断できないので、書いてはプロデューサーに送って、「大丈夫ですか? これで合ってますか?」と確認するようにしています。

自分の思い込みかもしれないし、シナリオを読んで、ストーリーを知ってしまっている分、ネタバレになるのも怖くて。また歌詞を深く考察してくださるファンの方も多くて、そう思って書いた部分もあれば、こちらが意図していないことや「このキャラの未来を暗示している」とか。ありがたい反面、歌詞や言葉が世に出ることで、いろいろな人の想像力をかき立てるので怖さも感じています。

KATSU:僕も曲を出した時の怖いという感覚が最近わかって。『ファフナー』のテーマやメッセージを汲み取って、angelaが曲にしていると思われている方が多いような気がして。どちらかといえば、「こうなってほしい」とか「こういう想いであってほしい」という希望的観測で作っている部分が結構あって。

いわばファン目線で、『ファフナー』への希望を詰め込んでしまっているので、それがあてはまるかどうかは作品が完成するまでわからないから怖いというのを気付きました。

――『ファフナー』=angelaの曲という認識の方も多いでしょうね。

atsuko:私がシナリオを読んでいると言っているのも大きいと思うけど……。歌の歌詞ってプリントアウトするとA4サイズ1枚で済んでしまう世界で、短い言葉を紡ぐからこそ、想像力を働かせてしまうのかもと思ったりして。

言葉をたくさん使えれば、いくらでも説明できるけど、限られたメロディの中で決められた文字数で詰め込まないといけないので、意味深な言葉を使ったりすると皆さんのイマジネーションをいろいろな意味でかき立ててしまうのかもしれません。

――「叫べ」のサウンドは厳かなコーラスからアグレッシブなギターなどゴリゴリのロックで、でもドイツ語パートではデジタルっぽく様々な要素がありますね!

KATSU:すごいパズルですよね。これでも最小限でやったつもりなんですけど(笑)。自分でも驚くような詰め込み方ですが、ここまでしないと制作陣もファンの方にも納得してもらえないと思うので、緻密に作っていきました。

ここのところ、『ファフナー』の曲をリリースするたび、「『ファフナー』の曲の集大成」と何度も言っていますが今度こそは本当に集大成になるんじゃないかなと(笑)。

そういう意味で16年の『ファフナー』の歴史すべてを詰め込みたくて。今思うとどうやって作ったのか、思い出せないです。

――歌詞も『ファフナー』らしい言葉が随所にあふれています。

atsuko:過去の曲で紡いできた言葉たちを散りばめられているので、ずっとアニメを見てきた方なら「この歌詞はあの曲だ!」と気付いてくださると思います。

生まれ変わった総士君が速いペースで成長しているし、厳しくも温かく見守りながらサポートする周りの人たちがいて、一番最初のTVシリーズからつながっているから「過去を抱き 生きる今を」とい歌詞にも現れているし、歴史があるから使ってしまいますね。ただ、KATSUさんがドイツ語を入れようと言い出して。

KATSU:そもそも作品名が北欧神話に登場する「ファフニール」を語源にしていて、ファフナーの機体名もザインとかニヒトといったドイツ語。そこから『EXODUS』の頃に曲の中にドイツ語を入れたいという欲求にかられて。

そしてこの曲を作っている時に「ここは声を加工して、ドイツ語でやってみるのはどう?」と提案したらGOサインが出たけど、僕ら2人共、ドイツ語がわからなくて(笑)。そこで過去にドイツでイベント出演した時の通訳さんが今もライブに来てくれたり、つながりがあったので、「この言葉をドイツ語にしたらどうなるの?」と尋ねてみたら、その人はアニメも『ファフナー』も大好きだったのでアドバイスをしてくれました。

メロディにのせてラップ調にしたものを送ったら「このほうがいいです」と自らボイスレコーダーで録音したものを送ってくれたりしました。ドイツ語パートだけでスタジオとドイツで8往復くらいしました(笑)。最後は「発音がきれいでドイツ人でも聞き取れます」とお墨付きをいただくところまでやれました。

atsuko:手軽に送れて、レスポンスも早くて。今の時代だからできたんでしょうね。

――「あなたはそこにいますか?」というおなじみの言葉もドイツ語にして。

KATSU:この曲のすごいところはサビの「契れ 島へ」のフレーズで、作中では竜宮島に誰も契ってはいないけど、『EXODUS』の最後で自分たちが育ち、守ってきた島を海底に沈めて戦うシーンがすごく衝撃的で。自分が住んでいた田舎がダムの下に消えてしまうような感覚に似ている気がします。

atsuko:そんな経験したことないでしょ!

KATSU:ないけど(笑)。自分が好きなキャラが亡くなったシーンも悲しかったけど、同じくらいの寂しさや衝撃があって。たぶん『ファフナー』ファンの人は同じだったと思うけど……勝手に決めつけていますが(笑)。

だから島のことを忘れないという意味で、最後のファフソンに「契れ 島へ」をぶつけようと。そのフレーズを聞かせるためのドイツ語だと思っています。

――Bメロはサビで盛り上げたいところに、ドイツ語の歌詞が入ることで不思議な感覚に陥ります。

KATSU:サビ前に錯乱させるというか、耳を持っていかせておいて、サビでわかりやすいフレーズでストレートに伝えるという手法を使っています。

――サウンドや歌詞に重厚感があるのに、キャッチーさがあって、耳に残るのもangelaらしいですね。

KATSU:聞くと激しい曲で、強い言葉が入ってくると思いますが、今回新しく作られたオープニング映像を見たら、たぶん『ファフナー』ファンにしか伝わらないようなファフナー味がすごく入っていて。「契れ 島へ」の部分もまったく想像できなかった描写になっていて、絵が持っている意味と歌詞の意味がすごくリンクしているんです。

そして映像と一緒になったことで曲の力が5倍以上になったなと。劇場での先行上映でOP映像を見た人はきっと震え上がると思います。『ファフナー』ファンはという注釈付きですけど(笑)。

atsuko:それか故郷の村がダムの下に沈んだ人か(笑)。でも大きなスクリーンで見る価値があると思います。

――「叫べ」のMVは、歌詞が立体的に飛び出す、パンチが効いた映像ですね。

atsuko:『ファフナー』に関わっているとどうしても島や青い空などイメージが偏ってしまう気がして、今回は監督に曲から感じたイメージをお聞きしてみようと。そうしたらサビの「叫べ 唸れ 響け蒼穹へ」のほか、3ワードで構成されているのが印象深かったそうで。

ではその印象深い言葉やフレーズが単体で出てくるのがいいのではないかと、あの形になりました。あの文字たちもCGではなく、3Dプリンターでプレート状の立体にして、1つずつ釣って光を当てて、回しながら撮影しているんです。それを私たちがパフォーマンスしている映像に合わせるというアナログな手法で。

KATSU:気が遠くなるような作業で。昔の大映ドラマのOPや初期の『ウルトラマン』などの特撮では、まだCG技術が発達していない頃の職人の知識が今も活きているらしくて、それをやりたいと。「乙女のルートはひとつじゃない!」のMVと同じ大野悟監督ですが、ちょっと変わった方で(笑)。作品に合わせて、自分の感覚を詰め込んでくれるのでおもしろいし、angelaにも似ているなと思いました。

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