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ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2011年編】|『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』

ぼくらの人生を変えたアニメ11選【2011年編】|『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』忘れられない涙と笑顔をくれた大切な思い出

「泣いた」

先にも書いたが、放送時は6人に想いを馳せてとにかく号泣していた。子どもが成長した今は、めんまの母親・本間イレーヌ(演・大浦冬華)の視点からも見て、仏壇のめんまに好物であるカレーを添える場面(1話)でも、花火をあげ家族の時間が動いていくシーン(10話)でもまた泣いてしまう。

登場人物でいうとゆきあつの存在も良かった。秀才でイケメンなのに、ずっとめんまに片思いで、じんたんにコンプレックスを感じ続けて。さまざまな奇行から視聴者からは “変態”と話題になっていて、確かに行き過ぎた行動もあり、時々笑ってしまうのだが(すみません)、大切な人を思う気持ちはだれよりも強い。

コンプレックス丸出しでも、自分の思いを隠さず蒼く突き進むゆきあつの生きざまは、誰よりも人間らしくてカッコよかった。どんな形であれ自分も誠実でありたいと思う。

そして、どんな立場から見ても、最後のめんまからの手紙とかくれんぼのシーン(最終回)の最後の、「見つかっちゃったあ」とめんまらしく笑うシーンは反射的に涙が出てしまう。

場面は前後するが、めんまのお願いが明らかになった最終回で、成仏しかけているめんまから手紙を受け取ったじんたんが、「願い……叶えてくれてありがとな。大好きだ……めんま」と告白するシーンが、我々視聴者にも、他の5人にも見えず、めんまだけしか見えていなかったのも感慨深い(「大好きだ」のセリフの時、アニメではめんまのアップだった)。めんまの瞳に映ったじんたんはどんな表情をしていたんだろうか。

タイトルにある「花」の対比も素晴らしかった。1話では瓶に入った下を向いたハルジオンが最後は生き生きとしたハルジオンに変化(壮大なネタバレをしているが、これから見られるかたは本数にも注目してほしい)。成仏するめんまの足元にあった勿忘草は、めんまの「忘れないで」という思いの象徴だろう。むしろめんまそのもののようにも感じる。

ちなみに「ハルジオン」は、私の住んでいた地域では「貧乏草」と呼ばれていて、正式な名前を知ったのはこの作品がキッカケだ。ハルジオンはつぼみの状態だと下を向きてうなだれたような状態になり、そして咲くと上を向く(それが「貧乏草」の由来のひとつだそう)。きれいに咲いたハルジオンはとてもきれいだ。

また、私は幼少時に、団地で幼馴染らと、貧乏草がたくさん生えていた場所からほど近い木のしげみで「秘密基地ごっこ」をしていた。そのため、物語に登場する「秘密基地」の存在には心をくすぐられた。決していい思い出だけではない当時のことを、とても愛しく輝かしく感じさせてくれる。その後「あの場所に行きたい」と思って行ったものの当時の「秘密基地」は駐車場になっていて跡形もなかった。

余談ではあるが、小さいころに見ていた『楽しいムーミン一家』(1990年~91年)が、湾岸戦争、阪神淡路大震災の時に放送され、励まされたことも自分の人生に大きな影響を与えている。もちろん幸せな気持ちで作品を見たり音楽を聴いたりすることはとても良いことだが、気持ちが揺れ動いている時期に見た作品や曲というのは、どの時代も忘れ難いものだ。

勿忘草は大きな花へ

舞台となった埼玉県秩父市の地域復興に大きな影響を与えたことは、本作の功績のひとつ。07年放映の『らき☆すた』の舞台モデルとなったとされる埼玉県久喜市の鷲宮神社周辺の活性化にも顕著だが、それ以前からアニメファンの中には「聖地巡礼文化」は定着していたが、あの花の聖地巡礼は西武鉄道や秩父鉄道、町の人たちが協力的だったこともあって、ひときわ盛り上がっていた印象だ。

秩父・長瀞と言えば、有名な観光地でもある。しかし、秩父アニメーション実行委員会の中島学氏によると、それまでは長引く不況や震災による観光客の減少などで若い世代の新規観光客を獲得できず、深刻な問題を抱えていたという。

当初、行政から「あの花」の積極的な広報はしなかったが、4月下旬になると聖地巡礼で秩父を訪れる大勢の若者の姿が町中で見られるようになり、商店街や地域住民の注目を集めたそうだ(※公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイト参考)。

そうした中、9月のアニメ制作会社主催イベント「ANOHANA FES.」で約1万人を動員。超平和バスターズの6人が奉納者となり、主演声優がロケット花火の打ち上げ口上を務めた10月の「龍勢祭」では、過去最高となる11万1300人が集結。2011年は震災前よりもさらに多くの人が秩父に訪れることとなった。

さらには秩父の「あの花」ファンとともにキャラクターグッズ関連の会社を立ち上げる動きも出てきたという。「あの花」が町おこしに一役買うこととなった。

秩父アニメツーリズム実行委員会の推計によると、「あの花」の放送が開始した2011年4月から同年10月までで、聖地巡礼やイベント参加を目的に秩父を訪れたファンは約8万人にも上り、約3.2億円の経済効果がもたらされたという。

かという私も2011年に、初めて秩父に行った。以来何度も秩父(と長瀞)を訪れた。秩父は商店街も含めて「あの花」一色。多くのあの花ファンが訪れていて、放送終了後の7月に配られ話題となった「聖地巡礼マップ」はゲットできずだった。

それでも駅前の西武秩父駅の前にある「秩父観光情報館」の方が親切にしてくれ、さまざまな場所に行くことができた(当時、わたしはまだスマホではなくガラケーだったので、今のように地図アプリはなく、芝桜を見に行くときなどはプリントしていったと思う。そう考えると、ここ10年で本当に便利な時代になったなぁ)。

聖地巡礼スポットのひとつ「秩父神社」(の前)では安産のご祈願までしていただいた(おかげ様で無事安産でした)。秩父神社、定林寺には何年経ってもたくさんのイラストの絵馬が飾られていて、めんまはもちろん、あの花がみんなの心に根付き、枯れることなく咲き続けていることを感じさせる。

とにかく活気づいていた印象の秩父駅周辺。2017年には西武秩父駅がリニューアルして、複合型温泉施設「西武秩父駅前温泉 祭の湯」がオープン。秩父市内の「浅賀ちょうちん店」が制作した提灯が、案内カウンターには秩父産の杉材がそれぞれ使われて、和モダンな雰囲気に生まれ変わった。もちろんそれも美しく綺麗だが、当時のノスタルジックな街並みも好きだった。

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