『キラッとプリ☆チャン』キャラクターソング・主題歌を手掛ける松井洋平さんが歌詞で描いたセカイを紐解く｜圧倒的な愛情に満ちたソルルとルルナ。 “悪者”にはならないように、完璧ではない、論破ができるような歌詞に

CDでその向こう側を感じてほしい

――インタビュー中にも話がありましたが、今は配信で楽曲を聴くことが多い時代です。でも今日お話をお伺いしながら、改めてCDで、歌詞カードを見ながら曲を聴きたいなと思いました。

松井：物理的にCDを持つってすごく大切なことだと思っています。この時代になって改めて思うんですけど、面と向かって相手の目を見たり、そこに存在を感じたりすることってすごく特別なことだなと。CDひとつとっても、それを感じるんですよね。デザインがあって、めくったときに開いていく世界があって。

開くと言えば、文字自体も開く(漢字をひらがなにすること)だけで、たくさんの同音異義語があるんです。「じゃあ、ここでこの漢字を使った意味ってなんなんだろう？」って考えてくれたら嬉しいなと。一つひとつの言葉の表記にものすごく意味を込めているので。

例えば「ドリーミング☆チャンネル！」の間に星が入っているのは、『キラッとプリ☆チャン』の星でもあるし、ドリーミングなスターのチャンネルという意味もある。チャンネルが主役じゃなく、その中にいる星が主役なんだよ、と。あとドリーミングは夢、チャンネルは現実ですけど、それをつなぐのはスター。「あなたですよ」というメッセージも込めています。

――歌詞カードを見ながら、その表記を解読していくのも楽しみのひとつですよね。

松井：エンターテインメントっていろいろな形があると思うんですが、作詞家としてやっている以上、歌詞もひとつのエンターテインメントにしたいなと思っているんです。解き明かす楽しみ、物語を読む喜びに繋がればいいなって。僕が常々思っていることって……「世界中の人に物理的な意味で本を開いて欲しい」ということなんです。物語に触れる、そのきっかけになれば良いなって。テキストだけではなく、「本」を読むことが喜びになればいいなと思っています。

――7月21日(水)には『キラッとプリ☆チャン♪ソングコレクション～ from MOONLIGHT MAGIC ～ DX』と『キラッとプリ☆チャン♪ソングコレクション～ from MOONLIGHT MAGIC ～』が発売されますが、改めて、聴いていただきたい、見ていただきたいポイントを教えていただけますか？

松井：歌詞はもちろんですけど、ジャケットデザインでしょうか。最近、デザインって本当にすごいなと思っているんです。一つひとつに意味が込められていて。それと、なによりいちばん大事なのはクレジットだと思っています。

これだけたくさんの人が思いを込めて作ってるというのがいちばん伝わるのって盤なんですよね。むしろ盤じゃないと伝わらない。変な話、作詞ってすごく目立つので申し訳ないなと思います。演奏家もいて、デザイナーもいて、宣伝している方もいて。CDに載り切らないくらいの人が本当は関わってるんです、クレジットを見るだけでも“その向こう側”を感じられると思います。

【アルバム】キラッとプリ☆チャン♪ソングコレクション～from MOONLIGHT MAGIC～ DX

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――アニメや映画のクレジットにも同じことが言えるかと思います。

松井：そうですね。そこに名前が載るのって夢だと思うんですよ。自分の名前が作品に残るって、『プリ☆チャン』のアイドルたちの夢と同じで。この世の中にあるたくさんの夢のなかのひとつの形が『プリ☆チャン』であり、CDに名前がクレジットされることであり……。そういうことを感じていただけたら嬉しいですね。

――いろいろなお話をおうかがいさせていただき、ありがとうございます。あっという間にお時間になってしまいました。

松井：楽しかったです。まだ聞きたいことがあれば、時間は大丈夫ですよ〜。

――そしたら、最後にひとつうかがいたいことがあって！

松井：はいはい、なんでしょう？

――ずっと気になっていたんです。松井さんと言えばシルクハットがトレードマークですが、シルクハットは被ったキッカケはなんだったんでしょう？

松井：(爆笑しながら)それ聞きますか!?　僕、昔からシルクハットに憧れていたんですよ。最初に買ったのは……僕のやっているTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDというバンドのメンバーの石川智久作曲して僕が詩を書いたクラシック曲がヨーロッパで演奏されたことがあったんです。

その演奏会に行ったとき、近くの帽子屋に入って。ずっとシルクハットに憧れてたけど、特別被るものではないのかなと思っていたんですが、外国で買うなら“あり”かなと(笑)。で、買ったときに「これ、俺のトレードマークにしていい？」って(メンバー)に聞いて(笑)。

それ以降、シルクハットを集めてるんです。今、何個あるかな……。(自宅のスタジオ内にあるシルクハットコーナーを見に行って)25種類くらいありました(笑)。いまうちにあるので面白いのは、このオペラハットですね。

――今画面越しで見た限りだと普通のシルクハットのようにも見えますが、何か仕掛けがあるんでしょうか？

松井：こうやって手でトップを折りたたむことができるんです。

――　一瞬でぺちゃんこに！　まるで手品のようですね。

松井：オペラを観劇するとき、当時はシルクハットを正装として被っていったんです。でもシルクハットは観劇の邪魔になってしまうので、へこました状態になるような仕組みになっています。ただ状態が良いものはもうあまり残っていないそうです。これは状態が良かったので、かなりレアですね。珍しいシルクハットを常に探しているので、もしご存じの方いましたらTwitterなどで教えてください(笑)。買いに行きます！

――募集しましょう！(笑)

松井：あと、シルクハットを被るようになってから仕事が増えたこともあって、験担ぎでもあります(笑)。一目で覚えてもらえますしね。逆にシルクハットを身に着けていない状態で打ち合わせにいったら、「あれ、松井さんまだ来てないの？」って言われたこともありますから(笑)。普段着として常に身に着けています。

――貴重なお話をありがとうございました！

［インタビュー・逆井マリ］