先代の声真似から始まったルパン人生――原点回帰を掲げる秋アニメ『ルパン三世 PART6』栗田貫一さん インタビュー│小林清志さんと新たな相棒についても

2021年10月9日（土）より日本テレビ系列にてTVアニメ最新作『ルパン三世 PART6』（以下、『PART6』）がスタートします。

アニメ化50周年を迎えた節目の年に登場する『PART6』のキーワードは、〈ミステリー〉と〈原点回帰〉。推理小説家でありアニメ・特撮の脚本も手がける大倉崇裕さんがシリーズ構成を務めているほか、各話脚本にはゲストとして辻真先さん、芦辺拓さん、樋口明雄さん、湊かなえさん、押井守さんが参加。どのような『ルパン三世』が描かれるのか注目です。

アニメ放送を直前に控え、アニメイトタイムズではメインキャストの皆さんにインタビュー。今回は、主人公・ルパン三世を演じる栗田貫一さんにお話をうかがいました。

先代の声真似から始まったルパン人生。物語は原点回帰する――

――TVシリーズとしては『ルパン三世 PART5』（以下、『PART5』）以来、約3年ぶりとなりますが、『PART6』が決まった時の気持ちはいかがでしたか？

ルパン三世役・栗田貫一さん（以下、栗田）：2日間ぐらいで収録する劇場版と違い、TVシリーズでは毎週みんなと会えるんです。今はこのご時世だから全員でスタジオに入ることはないですけど、収録を終えて帰る時に誰かが来ていてちょっとコミュニケーションを取るとか。

そういうことを毎週やっていると馴染むというか、なにかが培われていく部分があるんですよね。普段声優の仕事をそんなにしていないから特に。なので、新たなTVシリーズが決まったことはよかったなと思いました。

――そうやってTVシリーズを毎週演じることで、ルパンがより身近に感じられたとか、作品の向き合い方に変化はありましたか？

栗田：基本は山田（康雄）さんのルパンを真似したところから始まったルパン人生なので、ともすれば山田さんのモノマネに走りたがるんです。それが一番楽だし。でも、（TVシリーズで）毎週やっていくことによって、マネじゃなく芝居に入ってセリフが言えるようになっていけた気はします。

それに、横に超一流のみんながいて、「山寺宏一ってこんな声を出すんだ」「これぐらいパワーを出さなきゃダメなんだ」とか感じて喋れたりする。そういうところですよね。

――チーム感も出ると。

栗田：それがあったから、いまは別録りでやっても、五ェ門も不二子もたぶんこういう声でこういう芝居をするだろうなって想像がつくんです。五ェ門は特に（笑）。本当は一緒に居たほうが空気感は違うんでしょうけど。

――前回の『PART5』がSNSを活用するなど現代をモチーフにしていたのに対して、今回の『PART6』は〈ミステリー〉〈原点回帰〉がキーワードとなっています。台本を読んだ時やアフレコをしてみての印象はいかがですか？

栗田：ちょっと深い、大人チックな『ルパン三世』だなと思いました。第1話を見せていただいたんですが、カーシーンもすごかったですし。

――シリーズ構成を推理小説家の大倉崇裕さんが担当していることでの深みもありそうですね。さらに、クールさや非常さといった表情もみられるとのことですが、ルパンの印象はいかがでしたか？

栗田：「金曜ロードショー」のような明るいタッチというか、普段は軽妙なテンションで最後に相対する敵にだけはダーティーハリーのようなところを出す作品もあれば、不二子の物語（『LUPIN the Third ～峰不二子という女～』など）のようなダークなルパンもありましたが、今回はまたちょっと違うかなと思います。大人というか、ふわふわしていないんですよね。人の死が根っこにあって、なにかをずっと抱えているルパンだなと。

――『ルパン三世』のキャラクターたちは『PART5』でも『PART6』でも、どのような世界観でも違和感がないのが魅力というか。本当に現代にいてもいけそうですよね。

栗田：そうですね。仮に今のような「緊急事態宣言」の世界にいても、五ェ門みたいにきっちりと「酒は飲まん」といって静かにしている人もいれば、ルパンみたいに「日本がダメならあそこに行けばいい」といった人もいるかもしれない。『ルパン三世』のメンバーって、とっつぁん（銭形警部）をはじめ現代にもいられる人なんじゃないかなと。だからこそ、こうやってまだ見てもらえているのかなと思いますね。