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冬アニメ『便利屋斎藤さん』松岡禎丞×芹澤優×本多力インタビュー【連載第4回】

冬アニメ『便利屋斎藤さん、異世界に行く』カインズ役 松岡禎丞さん×ライチ役 芹澤優さん×モンプイ役 本多力さん第4話振り返りインタビュー前編|個性的でバラバラに見える勇者一行の共通点は「自分に正直なこと」【連載第4回】

感動の波が次々に押し寄せて、演じていても感情のアップダウンが激しい作品

――原作を読んだり、演じてみて感じた作品の印象、絵や設定、世界観など魅力やおもしろさを感じた点を教えてください。

松岡:今、原作も並行して読ませていただいていますが、まず、どのパーティも魅力があって、キャラクター性も立っているのがいいですね。主人公のサイトウさんの「かゆいところに手が届く」感は見ていて気持ちがいいですし、パーティがピンチになった時に一丸となるまとまりも素敵だなと思います。『ドラゴンク●ストⅢ』を思い出すような感じでした(笑)。

本多:原作を読んでいるとオムニバス形式で、ふとしたシーンやエピソードが先でつながって、世界がどんどん広がっていくところがおもしろいなと思いました。またバラバラだった各パーティが集結して戦うエピソードは「ヒーロー大集合!」みたいで、ワクワクしました。

芹澤:原作は4コマを読んでいるような、細かい起承転結が何度も繰り返されていて、ひどい下ネタを挟みつつ(笑)、テンポよくお話が進んでいくうちに、すごく大きな物語を読み終わったような、ボリューム感と読後感があります。

ギャグやコメディが続く中に、シリアスな場面やほろりと感動させる場面もいいバランスで入っていて、笑いやドキドキ、感動の波が次々に押し寄せてくる感じで、ページをめくる手が止まらなくなりましたし、演じていても感情のアップダウンが激しかったです。

松岡:大半は(モーロック役の)チョーさんの責任ですから(笑)。

――ご自身が演じるキャラクターの印象とご自身との相違点、共感した点などお聞かせください。まずカインズについてお願いします。

松岡:カインズとは真逆で、僕はハイパーネガティブマンです。現場に行くのが嫌になって、家のドアを開けるのが怖くなる時もあるくらいです。

本多:本当ですか?

松岡:でも、家から出てドアを閉めるとスイッチが入るんです。だからカインズを見ているとうらやましいです。なし崩し的に勇者に仕立て上げられた感がありますが、第3話で「バカでいいヤツなんだ」と分かってから、職務をまっとうしようと突き進む姿を見ると、元々、勇者気質を持っていたのではないかと感じるようになりました。思い込みだと思いますが、僕もあんなふうに生きられたら日々が楽しいんだろうなとうらやましいです。

―― 一方で、ラエルザたちが言っているように、力が強いわけではないんですよね。

松岡:勇者しか抜けない剣を、意図的に抜くように仕向けられた人間ですから。ロックを解除して(笑)。

――おバカで熱血漢なキャラは人に好かれますし、主人公っぽさもありますよね。

松岡:そうですね。そしてカインズ自身が持つ人柄にも惹きつけられるんじゃないかなと思います。

――芹澤さんはライチについて、どう思われましたか?

芹澤:ライチは、デビューする前の自分に似ているなと思いました。

本多:本当に?

松岡:これまでの話の流れからすると言わないほうがいいのでは?(笑)

芹澤:デビュー前はあまりにも自分の気持ちに正直すぎて、「人にどう思われるかな?」とか「これをしたら嫌われるかな?」とか、あまり気にせず、無敵に素敵に生きていたんです。なので同じユニットだったメンバーに、「デビュー当時(の私)は無理だと思った」「発言が全部トガりすぎて、絡みにくかった」とか後々言われました(笑)。

そこから私も世間の荒波に揉まれて、今ではSNSの発言ひとつにも「これ言ったら炎上しないかな?」とビビりまくっているので、今の私とは違うと思います(笑)。

――ちょっとわがままだけれど、にくめないところとかもご自身と似ていたりするのでは?

芹澤:そうですね(笑)。

松岡:まあ、かわいいからしょうがないですね。

芹澤:わあっ! ありがとうございます!(笑) 「アイドル魔術師」という点も、声優と並行してアイドル活動していた私と近いですね。作品的には“アイドル的な存在”という意味だと思いますが、今後歌って踊るシーンも見てみたいですね。

松岡:それはスピンオフで(笑)。

芹澤:(宣伝担当に向かって)よろしくお願いします!

――そして本多さんが演じるモンプイについての印象は?

本多:うちの実家がお寺なので、僧侶役という点ではピッタリなのかもしれません(笑)。あと僕は京都出身で、「京都人は二面性があって腹黒い」とよく言われますが、根の部分は純粋だというところもモンプイに似ているかなと思うし、彼の純粋さに憧れながら演じています。

――モンプイはコネで選ばれつつ、パーティをまとめたり、カインズとライチの教育係としても、悩みながら導こうという意識も感じられます。

本多:教育係というのは自分で言っているだけかなと思っていました。特に二人に何かを教えたり、諭すような様子もないので。あくまで肩書や権力に飢えているのではないかなと(笑)。

一同:(爆笑)

――モンプイのように、ちょっと優しくされたり、情にほだされるとホロっとしたりすることはありますか?

本多:僕も最近、年のせいか、優しくされると泣いてしまったり、涙もろくなっている気がします。でも優しくされて嫌な人なんていますか?

――優しくされても、素直になれず反発してしまう人もいますが、本多さんはその点で素直な心の持ち主なんでしょうね。

本多:ありがとうございます。

――今のお話を聞いていた松岡さんと芹澤さんも今以上にきっと優しくしてくれるはずです。

松岡:ええ。

芹澤:もちろんです。

本多:本当かなあ?(笑)

カインズ、ライチ、モンプイ、演じるうえで意識したこと

――カインズを演じる際に意識された点や印象的だったディレクションなどお聞かせください。

松岡:カインズは今まで演じてきたキャラの中で一番、真っすぐにバカを出しています。最初の収録で、「くどいくらい真っすぐな男でいきたいな」と思ってやってみたら、OKが出たので、子供たちが理想とする「ザ・勇者」をイメージしてやっています。

本多:それを聞いて腑に落ちました。そのために意識的にやっていることはあるんですか?

松岡:僕の中では本番前のテストはプレゼンの場だと思っていて、自分が事前に用意したものにOKをいただくことで、自分の血肉になるんです。そしてOKをいただけることが続いていくと自信にもなります。

僕は論理的な人間ではないので、8割方、感覚でやっていますが、現場のその時々の空気感を感じるスキルは高くなっている気がします。収録前に事前にプランやイメージを作っていても、相手のお芝居を聞いた瞬間に「違う」と思ったら、すぐに切り替えられるようになってきたと思います。

本多:僕は声優のお仕事はあまりなく、ドラマや舞台のお仕事が多いんですが、ドラマではまず段取りをやって、次はカメラ割を決めて、それからテストの回数が複数ありますが、アフレコの現場ではテストが1回で、事前にプランを考えられていて、それをテストで披露するというのが職人みたいなんです。やっていて毎回、新鮮さを感じています。

松岡:実は僕も養成所時代に実写のエキストラをやったことがあります。

本多:そうなんですか! あと質問続きで申し訳ないんですが、収録中によく手を耳にあてるのはどうしてですか?

松岡:自分の声がよく聴こえるんです。お芝居の流れの中で語尾が切れてしまうこともあるんですが、耳に手をあてて自分の声が聴こえると気にならなくなるんです。叫ぶ時は逆に外して、態勢を整えてやるようにしています。マイクがぶっ壊れるくらい大音量で叫んでも、ミキサーさんが調節してくれるので、マイクは変に意識せずに自分がやりたいことをやるのが一番だと思っています。

芹澤:勉強になります!

本多:もっと早く聴きたかった。

――やり過ぎかなと思ったらOKが出たということは、こちらが考えている以上にカインズはすごいんですね(笑)。

松岡:「こういう方向性を求められているんだろうな」というイメージが自分の中であったので、いざやってみたらOKをいただけて。でも通ったということはそれを主軸にしないといけないので大変です(笑)。

――今後、もっと熱量を上げていくお芝居を求められるシーンもありそうですよね。

松岡:その時にはまだまだ(上が)ありますから。

芹澤:松岡さんのリミッターを振り切ったお芝居も一度見てみたいです。

松岡:それをやっちゃうと「カインズじゃないです」と言われちゃうので。

一同:(爆笑)

――芹澤さんはライチを演じる時に意識された点は?

芹澤:セリフ数がそれほど多いわけではないんです。今日の収録でも悲鳴くらいでした(笑)。いろいろな人がしゃべっている瞬間にアドリブを入れる時は「この場面で不満そうにするのがライチかな?」とか、ちょっとねじ曲がったアドリブを入れられたらいいな、といつも思っています。

――言葉数を重ねられれば、キャラを伝えやすいと思いますが、少ないと難しいですよね?

芹澤:この作品はいろいろなエピソードが次々にやってきて、初登場回ではよくしゃべっていたり、分かりやすいんですが、まだまだライチがどんなキャラなのかつかめていないという方もいると思うので、少しでも皆さんにライチというキャラのイメージが残ればいいなと思っています。

――ディレクションやオーダーはありましたか?

芹澤:最初に「わがままでかわいい子だから」と説明されてからは特になくて、いつもOKです。

――芹澤さんが最初に演じたものがイメージ通りだったということですよね。すごいです。

芹澤:そうなんでしょうか? 素直に喜んでおきます(笑)。

――本多さんがモンプイを演じる際に意識された点は?

本多:なぜこの作品に僕が呼ばれたのか、実はよく分かっていないんです。音響監督の今泉(雄一)さんが呼んでくださったのかなと思って尋ねてみたら、今泉さんにも「確かにそうですね」と言われました(笑)。

きっと普段のお芝居を気に入って呼んでくださったのかなと思って、やってみたら「ちょっと緩すぎます」と言われて。なのでできる限り、メリハリをつけるようにと思いながらも、どうしても緩くなってしまいますね。第4話の収録では、居残りで僕ひとりで収録させていただいて、付き合ってくださったスタッフさんにはご迷惑をおかけしましたが、少しつかみかけてきた気がします。

――モンプイはこのパーティの中では感情の変化や心の動きがあるキャラなので、演じるのが難しそうですね。

本多:僕自身は、彼の芯には純粋さがあるので、分かりやすいなとは思っています。嫌な面も見えるけれど、接する人に感化されていく素直さがあるので、やりにくさは感じません。が、それを表現するのが難しいです。

ほかに印象的だったのは、台本に「アドリブ」と書いてあったら、言葉を足さないといけないと思っていましたが、吐息などもアドリブだし、口を開いている時と閉じている時で音が違うといったことも教えていただいて、毎回新鮮なことばかりです。

そして、まだ映像として動いていない状態なのに、皆さん、普通に演じられているのもすごいなと思いました。想像力を働かせて、やらないといけないので。

松岡:絵が完成していないことが逆にいい部分もあって、こちらの芝居に合わせて絵を作ってくれるんです。

本多:なるほど! 尺に詰め込むよりそっちのほうがいいですね!

――本多さんのお芝居を聞いて、作画のスタッフさんがインスパイアされることもあるのでは?

本多:そうなんですね。まさに共同作業なんですね。

第5回へ続く。

『便利屋斎藤さん、異世界に行く』作品情報

便利屋斎藤さん、異世界に行く

あらすじ

今までの人生、ずっと平々凡々と生きてきた。
運動も、勉強も、そこそこ。決して一番になれない普通の人間……それが、斎藤さん。
職業“便利屋”の斎藤さんは、ある日、異世界に転生する。
そこで出会ったのは、強く美しいツンデレ戦士。ラエルザ。
呪文を忘れる最強魔法使い。で、エロじじいの モーロック。
姿はかわいいが守銭奴の妖精。ラファンパン。
斎藤さんは個性的すぎる仲間たちとダンジョン攻略に挑む。
鍵開けのノウハウで、宝箱を開けたり、カバン修理のスキルで、仲間の防具を直したり。
元の世界で身につけた“便利屋”の経験を異世界で活かす。
異世界でも斎藤さんは決して「特別」ではない。
しかし、必要とされることを知り「ありがとう」を知る。
斎藤さんは充実していた。

キャスト

サイトウ:木村良平
ラエルザ:ファイルーズあい
ラファンパン:東山奈央
モーロック:チョー
メヴェナ:大橋彩香
ギブングル:相馬康一
リリーザ:花守ゆみり
ギーブル:田所陽向
フランリル:青木瑠璃子
ニニア:田所あずさ
カインズ:松岡禎丞
ライチ:芹澤優
モンプイ:本多力
キスルギ:笠間淳
プリマス:井澤詩織
ラーヴェラ:斎藤千和

(C)一智和智・KADOKAWA刊/「便利屋斎藤さん、異世界に行く」製作委員会
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