冬アニメ『ツルネ －つながりの一射－』二階堂永亮役・福山潤さん×不破晃士郎役・近藤孝行さん対談インタビュー｜「応援せざるを得ない魅力がある」辻峰高校にとってターニングポイントになった合宿回までを振り返る！

辻峰にとってターニングポイントになった合宿回

——ここからは、第9話と第10話を掘り下げていきたいと思います。風舞と突発的に合同合宿をすることになってから怒涛の展開でしたね。

福山：第9話、第10話は演技面での難しさではなく、見ている人たちがどういう風に想いを馳せてくれるのかなとデリケートに考えました。

辻峰はどちらかというと二階堂と不破をメインに描いていただいていましたが、合宿でようやく樋口、荒垣、大田黒の3人が脚光を浴びてくれたので、この後に控えている“5人で全国大会”というところに線が繋げられたという感覚があります。

あと、個人的には、大田黒の恋がすごく良かったですね。

近藤：うんうん、大田黒がかわいかった。

福山：女性の好みも「だろうな！」という感じで（笑）。鮨屋の息子であったりと意外とみんなもちゃんと堅い何かを持っていて、地に足がついているんだなと。そういう部分も含めて、いろいろと彼らの生活が見えたのは良かったです。

——辻峰のことを知れば知るほど、根が優しくて良い人たちなんだなぁと感じます。

福山：1番アウトローに見えている部長が普通の人ですから（笑）。

近藤：ね！ 部長はモラルがしっかりしてる。

福山：弓の引き方は体がが反っていますが、筋力の無さからくるものだと思うので1番誤解されやすい人だと思うんです。

——そういう意味でも、辻峰のいろいろな面を見られた回でした。

近藤：第9話と第10話は辻峰にとってターニングポイントになる回だったのはもちろん、2話を使って風舞との合宿が描かれましたが、弓道場で起きていないエピソードでは青春らしさもすごく詰め込まれていましたし、起承転結がぶわぁ～っと押し寄せてくるような濃密な回でした。

その中で二階堂のバックボーンが見えたり、どうしてこんなに対抗意識を見せていたのか明らかになったりして、個人的にはそれを見守る不破くんが二階堂のことを好きすぎない！？と思いました。コーヒーを持って海岸まで迎えに行きますし、本当にずっと二階堂のことを見ているんです。

この人は本当に高校2年生なのかな？と思うぐらい気づかいができる人だねって。話してたんですよ。

福山：不破だけ2週目の人生を歩んでいるみたいだよね。

近藤：人生何度目なんだろう？（笑）。

福山：彼は社会に出たときに、ものすごく良い会社に入りそうですよね。しかも、1番重要なNo.2のポジション。会社ってNo.2が優秀であればあるほどうまくいくと言いますから。

近藤：あはははは。基本的に、どこに行ってもやっていけそうな感じがします。

——面倒見が良いというか、人の良さが出ているというか、風舞の5人に自分の話を交えながらアドバイスもしていましたね。

近藤：そのシーン、個人的にはすごくヒヤヒヤしました。

——ヒヤヒヤですか？

近藤：あれって敵に塩を送るような形にも見えるじゃないですか。それを惜しげも無く伝えられちゃうところが、不破くんの大きな器なんだなと。でも、それを二階堂が知ったらどうなるんだろう、二階堂がそこにいたら何て言われたのかなと自分の中で想像していました。

——二階堂は相当ピリピリしてましたから……。

近藤：（福山さんを見ながら）ピリピリしてましたね～。

福山：……ひとえに彼は未熟なんです（笑）。

近藤：あはははは（笑）。

福山：でも、その未熟さも大事だと思うんです。師匠やコーチがいることに対する想いだったり、その気持ちの裏表を行ったり来たりしていたり。辻峰に指導者はいませんが、二階堂が指導者の代わりになっていて、二階堂にとってのメンターが不破なんだなと思います。

——本当に、不破がいなかったら二階堂はどうなっていたんだろうと思います。

福山：自分が買ったコーヒー缶を人に惜しげも無くあげられる不破ってすごいですよね。高校生の身空であのコーヒー缶は結構大きいですよ？

近藤：7話ではめちゃくちゃ高いパンケーキのセットも惜しげも無く貢献していますから。

福山：個人的な話になりますが、昔一緒にバイトをしていた幼馴染にからあげをおごってもらったことがあったんです。そしたらそれから「あのとき、お前は俺からからあげを引っ張り出した」と大人になってもずっと恨まれましたから（笑）。

一同：（笑）。

福山：それなのに、コーヒー缶を湊たちにもさりげなく渡す不破は本当にすごいヤツです。二階堂や不破だけでなく、辻峰全員のバランスが取れている様子がとても色濃く出ていたお話になっていたと思います。