『特別編 響け！ユーフォニアム～アンサンブルコンテスト～』 黒沢ともよさん×安済知佳さんインタビュー｜今回の久美子と麗奈は、また一つ階段を上ったような、“粘度の高い”関係性!?【スタッフ＆キャスト短期連載：第2回】

作品を観終わったらきっと腑に落ちる、みぞれの“あるセリフ”に注目！

――ここまでは、ご自身の演じるキャラクターについて伺ってきたのですが、その他にも本作の中で特に気になったり、新しい面が見られたりしたキャラクターがいれば教えてください。

安済：麗奈以外だと、私は、また久美子の話になっちゃうんですが、良いですか？

――もちろんです。

安済：『久美子3年生編』の前に、部長として歩み出したばかりの久美子の姿を見て知ることができたのは、視聴者としても、『3年生編』を麗奈として一緒にやっていく上でも、すごく有難かったし、嬉しいなと思いました。これまでのテレビシリーズや劇場版で培ってきた、癖の強い人に対処していく能力とかを部長として使うと、こういう風に部の中で機能していくんだってところが見られて面白かったです（笑）。改めて、久美子のそういう能力ってすごいなと思えました。そこに、副部長の（塚本）秀一と、ドラムメジャーの麗奈がいるって、けっこう良い布陣ですよね。さらに、緑輝や葉月もいるし、このメンバーが3年生になる『3年生編』が本当に楽しみになりました。

黒沢：私が特に気になった子は、やっぱり今回のヒロインでもあるつばめちゃんです。新キャラクターというわけではなくて、前からいる子なんですが、今回のお話で初めてメインキャラクターとして描かれていて。すごく魅力的なドラマを背負っている女の子だと思いました。あとは、これまでも（メインで）描かれてきた子の中だと、圧倒的に（鎧塚）みぞれが印象的です。

――今作のみぞれは、部活を引退して、音楽大学受験の準備をしているタイミングですね。

黒沢：みぞれが序盤に、すごく印象的なセリフを言うんです。そのセリフが、私は、この作品のサブタイトルでも良いくらい的確な表現だと思っていて。

安済：あのセリフ、詩的だよね。

黒沢：うんうん。

安済：詩的すぎて、最初よく分からなかったもん（笑）。

黒沢：え、本当に？

安済：最初は、よく分からないなあ～相変わらずだなって思ったんだけど、台本を読み終わった後に、「あ！」ってなった（笑）。

黒沢：なるよね！　最初に聞いたときは「え？」ってなるセリフが、後から「そういうことだったのか」ってなるのが、（『ハリー・ポッター』シリーズの）ダンブルドア先生のセリフみたいで（笑）。

安済：あ、分かる、分かる（笑）。

黒沢：収録が終わった後、私もまさにみぞれのセリフと同じことを思ったので、すごく印象に残りました。

――収録も終えて、8月4日（金）の上映開始が近付いてきた今の心境を教えてください。

安済：とにかく楽しみです。リハV（アフレコ用のリハーサルビデオ）の段階で吹奏楽曲の音声ガイドも入っていたのですが、そのときから「これこれ！」ってすごくワクワクしました。それがさらにブラッシュアップされて、劇伴・音響効果が私たちのセリフとつながりあうわけじゃないですか。きっと劇場の音響で聴くことでも、また変わってくると思いますし、映像もどんな風に完成しているのか、すごく楽しみです。

黒沢：今回、同じ教室に他の生徒もいる中で、久美子と麗奈が二人だけで部活のことについて話すシーンがあるんです。部長とドラムメジャーとしての話なので、他の人に聞こえないように小声で話すんですが、そのときの声が本当に小声で。ナレーションを録るときみたいに一人で（録音）ブースに入っているんだったら、拾えるかもしれないけど、アニメの場合、「小さすぎて効果音で埋もれちゃうから、もうちょっと（声を）出してください」ってNGになるような小さな声なんです。そんな本気のコソコソ話のトーンで話したセリフがOKになっているシーンがあって。そういうセリフって、テレビで聴くと本当に小さい音になってしまうと思うんですが、劇場の音響で聴けば、きっとすごく近くに久美子たちの存在を感じてもらえるはずです。そういった、劇場で上映される作品ならではのOKテイクのニュアンスも楽しんで欲しいなって思います。

――テレビでは、あまり聴けないくらいのひそひそ声なのですね。

黒沢：実は、収録の前日に別の作品の現場で同じようなトーンで話したら、NGになって「もうちょっと出して」というディレクションがあったんです。なので、（『ユーフォニアム』でも）どうかなって思いながら（ひそひそ声で）やってみたら、そのまま「はい。OK」ってなったので、改めて、すごく攻めてる作品だなって思いました。

――最後に、久々の『響け！ユーフォニアム』の新作を楽しみに待っている皆さんにメッセージをお願いします。

安済：第1期の頃から観ていただいて、新作を待っていてくださった方はもちろんなのですが、最近『響け！ユーフォニアム』シリーズに出会って、ようやくリアルタイムで観られるという方もいらっしゃるかもしれないですよね。私たちは、そういった皆さんの応援を励みに一生懸命やってきたし、制作陣の方々もきっと同じだと思います。作品に関わってきた人たちすべての愛や技術が込められて完成した作品を、皆さんに劇場で楽しんでいただけることがとても嬉しいです。私自身も劇場で楽しめるのが本当に嬉しくて。大きなスクリーンと素晴らしい音響で、皆さんと一緒に、この作品の青春と音楽を楽しめるのを心待ちにしています。そして、この作品を踏まえた上で、『久美子3年生編』も楽しみに待っていていただけたら本当に嬉しいです。よろしくお願いします。

黒沢：今回、1時間弱の作品ということで非常に観やすいと思います。それに、作品の温度感としても、今までの『ユーフォニアム』の劇場版は、けっこうドラマチックで、すごく感情的なお話が多かったんですが、今回は、これまでの劇場版と『リズと青い鳥』の間ぐらいの雰囲気というか。けっこう粋で、おしゃれな感じに登場人物たちのドラマを楽しんでもらえる作品になっていると思います。なので、朝早くから夜遅くまで、どの時間でも、疲れているときも元気なときも、「too much」にならず、かといって物足りないわけでもないという、すごく良い案配の仕上がりになっているので、ぜひ気楽な気持ちで、お時間ができた時、劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

［取材･文／丸本大輔］

前回の記事

『特別編 響け！ユーフォニアム～アンサンブルコンテスト～』作品情報

2023年8月4日 劇場上映！

THEATER

全国74館にて上映決定。最新情報は下記ホームページをご確認ください。
https://eigakan.org/theaterpage/schedule.php?t=eupho

INTRODUCTION

新世代、スタート！

京都アニメーションが描くのは、吹奏楽に懸ける高校生たちのささやかだけれど“トクベツ”な青春！

武田綾乃の小説「響け！ユーフォニアム　北宇治高校吹奏楽部のホントの話」(宝島社)から、人気エピソードを中編アニメーション化！

強豪吹奏楽部の新部長、はじめての大仕事は部内の“調整”！？

総勢65人の吹奏楽部。

主人公・久美子の部長としての日々は、部員たちから舞い込む相談と勃発するトラブルで幕を開ける。

無事に初仕事をやり遂げることができるのか──。

チューニング、OK！

STORY

新部長・久美子を待っていたのは、アンサンブルコンテスト――通称“アンコン”に出場する代表チームを決める校内予選だった。

無事に予選を迎えられるように頑張る久美子だが、なにせ大人数の吹奏楽部、問題は尽きないようで……。様々な相談に乗りながら、部長として忙しい日々を送っていた。

部員たちがチームを決めていくなか、肝心な久美子自身はというと、所属するチームすら決まっていなくて──。

STAFF

原作：武田綾乃
(宝島社文庫『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』)
監督：石原立也
副監督：小川太一
脚本：花田十輝
キャラクターデザイン：池田晶子
総作画監督：池田和美
楽器設定：髙橋博行
楽器作画監督：太田稔
美術監督：篠原睦雄
３D美術：鵜ノ口穣二
色彩設計：竹田明代
撮影監督：髙尾一也
３D監督：冨板紀宏
音響監督：鶴岡陽太
音楽：松田彬人
音楽制作：ランティス、ハートカンパニー
音楽協力：洗足学園音楽大学
演奏協力：プログレッシブ！ウインド・オーケストラ
吹奏楽監修：大和田雅洋
主題歌：TRUE「アンサンブル」
アニメーション制作：京都アニメーション
製作：『響け！』製作委員会
配給：松竹ＯＤＳ事業室

CAST

黄前久美子：黒沢ともよ
加藤葉月：朝井彩加
川島緑輝：豊田萌絵
高坂麗奈：安済知佳
塚本秀一：石谷春貴
釜屋つばめ：大橋彩香
中川夏紀：藤村鼓乃美
吉川優子：山岡ゆり
鎧塚みぞれ：種﨑敦美
傘木希美：東山奈央
久石 奏：雨宮 天
鈴木美玲：七瀬彩夏
鈴木さつき：久野美咲
剣崎梨々花：杉浦しおり
滝 昇：櫻井孝宏

公式サイト
公式ツイッター（＠anime_eupho）