驚きあり、笑いあり、涙あり……「感情がジェットコースター」という言葉がピッタリな映画――『ホーンテッドマンション』日本語吹替版で心霊写真家ベンを演じる八代 拓さんにインタビュー！

クセのある人物を演じる、吹替えキャスト陣についての印象は？

――今回の日本語吹替版はキャスト陣も豪華で、ちょっとクセが強いような（笑）。

八代：僕はクセが強くないですけど（笑）。そうそうたる顔ぶれで、映画の中で素敵なお芝居をされています。調子が良すぎる神父？のケントは胡散臭さにも似たミステリアスさがあって、「この人、何者なんだろう？」とずっと気になる深さを、（片岡）愛之助さんが見事に演じられていて。何かと大げさな霊媒師のハリエットのパワフルさと、「何を言っているのかわからないけど、とりあえずついていこうか」と何となく納得させる吸引力を、土屋アンナさんが表現されています。幽霊屋敷オタクの歴史学者ブルースは出てくるだけで笑ってしまうようなおもしろキャラで、僕もセリフとして「ブルース！」と何度叫んだだろうと思うくらい、目を離すたびに何かしているけど、自分の中で目的を持っているのでなぜか憎めない男を、温水（洋一）さんが素敵に演じられていて。皆さんお芝居のプロですが、ご自身の持つパーソナルな部分とキャラとの親和性を感じました。

――また、水晶玉の中にいる謎の女性を小林幸子さんが演じていることが公開直前に発表されました。知らない状態で今回拝見したのですが、まったく想像もつきませんでした。

八代：ちょっと度肝を抜かれますよね（笑）。小林さんが過去にアニメや吹替えのお仕事をされていると後で知りましたが、こうして同じ作品に出演しているなんて、いまだに信じられません。小林さんだけでなく、皆さんが有名過ぎるがゆえに、（声を）想像してしまいがちかもしれませんが、いざ作品の世界に入ってしまうと、そのキャラにしか聴こえなくて、「すごいな」と思いながら見ていました。

素直な気持ちで、ベンたちと一緒に館を探検するつもりで見てほしい

――この映画の登場人物やゴーストたちにはそれぞれバックグラウンドがあるので、いくつものヒューマンドラマの集合体のようにも感じました。

八代：ベンだけでなく、他の人物も悲しい過去や悩みを心の中で抱えていて。あんなにクセがあって、ちょっと距離を置きたくなる人たちなのに（笑）、物語が進んでいくと共感できるようになって、近い存在に感じられて。そこがストーリーの妙であり、作品の魅力で、演じていてもすごいなと思いました。

人間サイドは本当にクセのある人物ばかりで、みんなが同じ方向を向いて、協力・団結なんてできるのかなと心配になるくらいで（笑）。そこに色の濃いゴーストたちもいて、「ゴーストと人間」という構図が出来上がることで、人間同士が手を取り合えるし、ゴーストとも心を通じ合えるのは純粋におもしろいなと思いました。

――改めて、この映画の見どころや注目ポイントのご紹介をお願いします。

八代：この館ひとつで、皆さんをいろいろな感情にしてくれることは間違いないので、ぜひ『ホーンテッドマンション』を心置きなく楽しんでください。ゴーストたちは見るものをドキドキさせる存在ですが、「生と死」の境もこの映画のテーマの1つになっているのかなと。僕は見終わった後に、今、生きることと、死んでしまった後の世界や感覚、概念などを考えてしまうほど、深い要素も確実にあると思います。

また、いろいろな愛や絆も描かれていて、ベンを演じていると特に感じましたし、「愛っていったい何だろう？」と考えさせられました。

映画を見てくださる皆さんは、ベンたちと一緒にゴーストの館を探検するつもりで見ていただくのが一番楽しいかなと思います。素直に驚いて、素直に笑って、素直に泣いてもらえたら嬉しいです。頭を空っぽにして見るのもいいし、キャラたちに感情移入したり、考えながら見るのもいいですし、この映画の中に登場するゴーストが999人いるように、それくらいのたくさんの楽しみ方がある気がします。

『ホーンテッドマンション』に一歩足を踏み入れたら、二度と戻れないかもしれませんが、それでもよろしければドアを開けてください。ゴーストたちと一緒に劇場でお待ちしています。

「ホーンテッドマンション」

9月1日(金)全国劇場にて公開

原題：Haunted Mansion
監督：ジャスティン・シミエン
出演：ロザリオ・ドーソン／オーウェン・ウィルソン／ティファニー・ハディッシュ
ラキース・スタンフィールド／ダニー・デヴィート／ジャレッド・レト／ジェイミー・リー・カーティス　
全米公開：2023年7月28日　
配給：ウォルト・ディズニー・ジャパン