【“アニメ化しそうな漫画”を大予想！ 連載第8回】リアルにありそうだから気味が悪いホームドラマ漫画『血の轍』｜息子を縛りつける毒親の言動に鳥肌が止まらない！

アニメ作品にとって欠かせないのが人気漫画。アニメファンの中には「アニメ化前に話題作の漫画に触れておきたい」と目利きを楽しむ方も多いのではないでしょうか？

そこで本連載では、漫画好きライターの杉村が人気上昇中の漫画を厳選し、漫画好き界隈のレビューなどを参考にしつつ、勝手に“アニメ化しそう”を大予想！

今回は、毒親に慄くダークなホームドラマ漫画『血の轍』をご紹介します！　すでに知っている方も多いと思われる本作。まだアニメ化していないことに驚くほど話題となっています。読み出したら、母親が息子に依存する姿が奇妙でページをめくる手が止まらなくなることでしょう。

ぜひ今回も、みなさんの「アニメ化するんじゃない!?」の参考にしていただければと思います。

あらすじ

中学二年生の長部静一は、母の静子からたっぷりと愛情を注がれ、平穏な日常を過ごしていました。

夏休みに親戚と山登りに出かけた際、静一の従兄弟・しげるは崖で片足立ちをし、バランスを崩します。

咄嗟に静子はしげるを抱き止めましたが、次の瞬間、静子はしげるを崖から突き落としました！

母の殺人未遂を間近で見てしまった静一。混乱している静一は、警察の尋問時に母を庇ってしまい、更に罪悪感へ苛まれます。

以降、静一と静子の関係は、ねじ曲がっていき……。

アニメ化しそうな理由

累計部数は230万部を突破しており、「このマンガがすごい！2018」オトコ編と「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2018」ネクストブレイク部門、共に第9位を獲得しています。

さらに、「漫画界におけるカンヌ」と呼ばれているアングレーム国際漫画祭で連続作品賞を受賞し、数多くメディアで紹介されています。

すでに認知度も高く、「そう言えば、まだアニメ化されていなかったのか」と思うほどに有名な作品です。

また作者である押見修造先生の過去の作品は、『惡の華』がアニメ化し、『ぼくは麻理のなか』がドラマ化しているなど、映像化しているものも多く、本作もいずれ映像化されそうだなと予想します。

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魅力①　じわじわ感じる毒親度に鳥肌！

静子は、中学生の息子がいるとは思えないほど綺麗な母親です。冒頭では静一に甘いと時折感じますが、世間一般的には“優しいお母さん”と見られるかと思います。

しかし、従兄弟のしげるを突き落としてからは一変、笑顔すら恐怖に感じます。綺麗に微笑んでいるはずなのに、どこか浮いて見える笑みに鳥肌が立つはず！

息子に嘘をつかせ、従兄弟の親（親戚）には泣き落とし、平然とした表情も覗かせ……一体何考えているのかが全く分かりません。

読めば読むほど、息子に執着し束縛している依存度の高い毒親に息を呑みます。

マンガ読みとしても知られ、インタビューでも度々『血の轍』をオススメ作品として挙げてくださっている広瀬アリスさん（@Alice1211_Mg ）が選ばれたのは「肉まんとあんまん」…！「多分これから肉まんあんまんツナマヨ見たら、この母親のことを思い出しそう（笑）」とコメントをいただきました！ pic.twitter.com/i5WezTRXRZ

— 血の轍@押見修造 17集(完結)絶賛発売中！ (@chinowadachi) September 28, 2018

魅力②　母の嘘つきが女優級

美しくも妖しい魅力ある静子は、女優級に上手に嘘をつきます。故意的にいとこを突き落としたにも関わらず、親戚の前ではあたかもしげるを助けたかったと後悔しているように号泣して見せます。

また、しげるのことを思いやり、“献身的な親戚”であるように振る舞う場面も。嘘のつき方が綺麗すぎて間近で見ている静一の気持ちを思うと複雑な気持ちになってしまうでしょう。

静一はどこまで母親の嘘を見過ごせるのだろうかと気になってしまい、一気に読み進めてしまいます。

病院で久々にしげると再会したママ。その顔は意外にも、喜びに溢れていた!?

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— 血の轍@押見修造 17集(完結)絶賛発売中！ (@chinowadachi) May 24, 2019

魅力③　母の愛が“支配”に変わる恐怖

静子は殺人未遂を起こすだけでなく、静一の恋愛面にも口出しします。もらってきたラブレターを破り捨て、その女の子に近づかないように促す姿に、私は「溺愛を超えて支配の領域に達したな」と思いました。

嫉妬で爪を噛んだり、家事のやる気をなくして綺麗な居間が汚れていく様は、閉鎖的なホームドラマならではの恐怖です。

もしかしたらリアルに近所にいるかもしれないと思わせるリアルさから、読み手の心もじわじわと蝕まれます。闇が深いけれど気になって仕方がない、中毒性の高い漫画です。

あの夜、静ちゃんは吹石さんを置いて逃げ出した。そして今、吹石さんから手紙を貰い、対峙している...それはこの関係に何らかの決着つけるため！果たして！？

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— 血の轍@押見修造 17集(完結)絶賛発売中！ (@chinowadachi) July 13, 2019

魅力④　唐突に訪れる静一の変化に戸惑いが隠せない！

ある日突然、穏やかな少年の静一は豹変してしまいます。あまりにもきっかけが掴めないため、周囲の大人も戸惑い、起きた事実を受け止められません。
どのような事件を起こしたかは、実際に漫画を見た方が面白いので内容は伏せますが、読み手も何が起きているのか分からなくなります。

静子の影響を受けてかと思いますが、静一はどんな心境の変化で事件を起こしてしまったのか……。検討がつかないところも静子とリンクして、恐怖と違和感が膨らんでいきます。

その後、似たもの同士となった静子と静一の奇妙な関係にもご注目ください。

ママからの愛情を勝ち取って迎えた幸せな朝。このまま、何事も無く二人でやっていけたら良い...そう思っている。が....!?

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— 血の轍@押見修造 17集(完結)絶賛発売中！ (@chinowadachi) October 25, 2019

人の不幸は蜜の味？　リアル寄りだからこそ引き込まれる！

身近にありそうな親子関係の歪みが醍醐味の『血の轍』。『マイホームヒーロー』のような日常の水面下で起こるホラーがお好きな方は、一度ご覧ください！　全17巻なので1日あれば一気見も可能かと思います。

また、引き続き「おすすめ漫画アンケート」を行っています。あなたの「アニメ化してほしい！」作品やその理由やおすすめポイントなどをご記入ください。

本企画のハッシュタグ「#アニメ化しそうな漫画を大予想」がありますので、ぜひ本稿で紹介した漫画に「アニメ化してほしい！」と思ったら、タグを付けて投稿してみてくださいね。

ついに予告解禁。2月24日（金）発売のスペリオールで表紙&巻頭カラーでスタートです！ pic.twitter.com/XfeIdKhWxQ

— 血の轍@押見修造 17集(完結)絶賛発売中！ (@chinowadachi) February 9, 2017

【文／杉村美奈】

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