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寺田貴信さんも登壇した、大張正己さんと山根理宏さんの画業40周年を記念したトークショウをレポート

ゲームクリエイターの寺田貴信さん(代表作:スーパーロボット大戦シリーズ)もゲストとして登場! 大張正己さんと山根理宏さんの画業40周年を記念したトークショウ「ブレイブ☆ラヴァーズ外伝“リヒロトマサミ”」レポート

 

“定規”はメカアニメーターにとっての魂の剣!?

トークショウでは、お二人がアニメーターとしてデビューした頃を振り返る一幕もあり、山根さんは「僕が初めてスタジオに入った時には、もう大張さんは雑誌に絵が載っていたりする立場の人で。先輩にお願いして『戦え!!イクサー1』の時に初めて原画を見せてもらったら本当にすごくて、完成品を最初に見た時には“こう動くのか”と衝撃を受けました」と、しみじみ語ります。

 

 
そんな二人が初めて共に仕事をしたのは、1987年発売のOVA『大魔獣激闘 鋼の鬼』。すでに当時の大張さんは作画監督を務めるほどのキャリアを重ねていたものの、スタッフの中でほぼ最年少だったそう。そのため、スタッフ陣の食料の買い出しなどを担当しており、山根さんにも何を食べたいかリクエストを聞いたりしていたという驚きのエピソードも。

加えて、これまで大張さんが参加した作品の中でもっとも制作期間が短かったのが『鋼の鬼』で、山根さんも人生で初めての徹夜を経験することになった現場でもあったのだとか。当時の山根さんは今にも倒れそうな雰囲気が漂っていたようで、作画監督の佐野浩敏さんやキャラクターデザインの恩田尚之さんが、何かと体調を気遣ってよくしてくれたことへの感謝や、『仮面ライダーBLACK』の第1話の放送をスタッフ陣で社長室の扉を開けて一緒に見ていたといった、今だからこそ話せる様々な思い出話も語られていました。

そんな中、大張さんや山根さんの間で何度か話題に上がったのが、作画に使う“定規”について。現在はキャラクターの作画の時でさえ定規を使って描いているという山根さんですが、元々のきっかけは『鋼の鬼』で大張さんが定規を使って凄まじいスピードで絵を描いていたのを目の当たりにしたからなのだとか。大張さんも「メカアニメーターにとって、定規は“魂の剣”なんです。100円の定規一本あれば、俺なんでも描けるっていう」と同意し、椛島さんも「キャラを描いている時も、使わないのに手に定規を持ってたりする」と明かすなど、いかにメカアニメーターにとって定規が欠かすことができない仕事道具かが力説されていました。

 

 
その他にも『勇者シリーズ』で山根さんが使っていた合体バンクでの火花が散る演出は、当時のサンライズの隣の部屋で作られていた『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』から着想を得たこと、大張さんがディレクターを務めた『魔法騎士レイアース』のオープニングでは、当時CGが必要以上に持て囃されており、「どこかでCGを使って欲しい」とオーダーを受けて、やむを得ずタイトル部分にCGを使ったといった、驚きの制作秘話も語られていました。

 

スペシャルゲスト・寺田貴信さんが語る、大張さん・山根さんとの思い出

トークショウの後半からは、スペシャルゲストとして寺田貴信さんが登壇。

寺田さんによると、大張さんとの出会いは、『マジンガー』シリーズや『ゲッターロボ』シリーズで知られるダイナミック企画の忘年会。当時は、大張さんのメカをリスペクトした『スパロボ』オリジナルロボットであるダイゼンガーについて怒られるかと覚悟していたそうですが、開口一番大張さんの口から出た言葉が「ダイゼンガー、大好きです!」だったのは、今でもよく覚えているのだとか。

一方の山根さんとの出会いは、アニメ『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』を制作していた時の喫煙室で、「『スーパー特撮大戦(※『スーパー特撮大戦2001』)大好きです!』という話をされ、「そっちですか?」と思いつつも、その後特撮とスーパーロボットの話題で盛り上がったと当時を振り返ります。

 

 
アニメ『スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター』は、大張さん、山根さん、椛島さんが共に参加した作品でもありますが、実は大張さんの監督作品で山根さんがメインのメカ作画を担当するのはかなり初なのだとか。トークでは、第15話「武神装攻ダイゼンガー」では、大張さんが「ダイゼンガー作監」、山根さんが「アウセンザイター作監」という、メカごとの作画監督という、かなり変わったクレジットもされていたことにも言及されていました。

なお、その中でフェアリオン初出撃の回である第10話「月下に妖精は舞う」では、最初に上がってきた絵がリテイクとなってしまったそうなのですが、納品まで時間がないにも関わらず、急遽山根さんが全カットを修正し、再度上がってきたカットのクオリティに、チェックをしていた寺田さんたちの間でどよめきが起きたという、メカアニメーターとしての山根さんのレジェンドっぷりを象徴するようなエピソードも。

寺田さんによると、山根さんの凄さは時に絵柄をがらっと変えられる起用さにもあり、発売された画集でも『新機動戦記ガンダムW』や『∀ガンダム』の版権イラストなど、「これ山根さんだったの!?」と、寺田さん自身も驚かされたイラストが多数収録されていたようです。

MCの大和稟さんが「大張さんや山根さんが描いたロボットには、機械なのにどこか人間らしさがある」と話題を切り出すと、「僕の場合、ロボットもキャラクターも同じスーツアクターが入っているんですよ。例えばテリー・ボガードのスーツアクターは、ブレイバーンにも入っていて、不知火舞のスーツアクターは、アンジュルグにも入っている」と解説する大張さん。大張さんの作品といえば、胸の大きな女性キャラクターも特徴ですが、実は当初は女性を描くのが苦手で、かなりの研究を重ねた上でたどり着いた境地であったことも明かされていました。

最後には、「この時間、この空間を皆さんと共有できて、本当に幸せです。40周年と言いますけども、これからも熱く作品を作っていきますので、よろしくお願いします!」(大張さん)、「なかなか出すことができない画集を発売でき、イベントにまで来ていただいて本当に嬉しいです。これからも悪いやつをやっつけることを続けていきたいと思っているので(笑)、引き続き応援よろしくお願い致します」(山根さん)と、それぞれの今後の活動に向けた意気込みも語られ、大張さん・山根さんのサイン入り色紙などがあたる抽選会も行われるなど、大盛りあがりのイベントとなっていました。

 
[取材・文・写真/米澤崇史]

 

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