音楽
ポピパらしさ溢れる、とびっきりの1枚! 大塚紗英、大橋彩香が語る3rd Album『POPIGENIC』【インタビュー】

一度でもポピパの曲を聴いてくれたすべての人に、これまでも、これからも、Poppin'Partyの音楽が在りますように――3rd Album『POPIGENIC』花園たえ役・大塚紗英さん、山吹沙綾役・大橋彩香さんロングインタビュー

「もうひとつの人生」。『バンドリ!』という路線が横に在る

── そうして時間が経っていく中で、ご自身の演じるキャラクターはどのような存在になっていますか? きっと、もう相方のような存在だとは思うのですが。

大橋:『バンドリ!』のキャラクターって珍しくて、ちゃんと年齢を重ねていくんですよ。だから、いろいろな節目を見守っていて……なんだか保護者みたいな気持ちになってきていますね(笑)。「進路どうするんだろう?」「大学行くんだね!」とか、本当に親のような視点で見ちゃいますね。ストーリーの中でも悩みの質が変わっていっているので、成長しているのがすごく伝わってきます。最初は同じ場所に立っている感覚だったんですけどね。今は「頑張れ!」って応援する気持ちが強くなってきました。

大塚:普通、演技をするときって、ある一部分を切り取って掘り下げる作業になると思うんですけど……『バンドリ!』の場合は時間軸がどんどん進んでいく。しかも、リアルと同じスピードで進んでいるんですよ。だから、例えば「10年後の役」を演じる時って、通常は自分の想像でその時間の間を埋める作業が必要なんですけど、『バンドリ!』は自分の時間とキャラクターの時間がリンクしている感じがあるんですよね。一緒に進んでいる感覚がある。台本に触発されるところもあるとは思うんですけど。だから、自分が出した声に自分でびっくりすることがあるんです。「あ、大人になったんだな、たえ!」って(笑)。あまり理性的に考えるというより、感覚的(に演じている)というか……

大橋:わかる。たえもそういうところあるもんね。

大塚:確かに、役に引っ張られるところが結構あるかも。でも、すごく不思議な感覚なんですよ。もう一個、人生ある感じしない?

大橋:ああ、なるほど。

大塚:もう1本の電車が自分と並走している感じなんですよ。アフレコがある時はその電車に乗り換えて、終わるとまた自分の電車に戻る、みたいな。

大橋:ずっと『バンドリ!』という路線が横に走っている感覚ですね(笑)。

大塚:そうそう、並走してる。本当に不思議な感覚。

── それだけ、お二人にとって欠かせない作品なんですね。

大橋:もう、人生ですよね。

今のポピパらしさが詰まった「Tomorrow's Door」

──では、今回の3rd Album『POPIGENIC』についてお伺いさせてください。原点回帰のような部分もありつつ、進化も感じられる作品だなと感じたのですが、おふたりが思う今回の作品のポイントはどこでしょうか?

大橋:大人っぽい1枚ですよね。前のAlbumよりも全体的に落ち着いた、大人な雰囲気の曲が集まっているなと感じました。はっちゃけた曲が少ないというか……。だって「ぽっぴん'どりーむ!」くらいじゃない?明るく弾ける感じの曲って。

大塚:確かに。全体的にエモーショナルな感じがするかもしれない。

大橋:ラインナップを見て「大人になったな」って思いました。

──青春感はしっかりあるんですけどね。

大橋:そうなんですよ。変わらない軸はありつつも、キャリアを積んできたポピパだからこそ出せる、説得力や経験がすごく滲み出ている気がします。

大塚:踏襲されているジャンルにも、挑戦している部分が曲ごとにあるかなと思っていて。視野が広がったからこそ生まれた表現が多いなと感じます。やっぱり何と言っても「Tomorrow's Door」(M-1)ですよね。個人的には、初めての「Yes! BanG_Dream!」のアンサーソングだと感じました。トゥルーアンサーソングといいますか。

──「Tomorrow's Door」のお話もぜひ聞きたいです。

大塚:あくまで個人的な見解ではあるのですが……。例えば「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」は香澄の信条である“キラキラドキドキ”を核にした曲なんですよね。このモチーフは、これまでも楽曲だけでなく、コンテンツの世界観にも在ったものだと思うのですが……それを経て、今回始めて「Yes! BanG_Dream!」の、トゥルーアンサーソングが作られたように思っています。

歌詞もさることながら、展開、コード進行も、「Yes! BanG_Dream!」を感じて。制作陣が10年間の情熱を注いでくれたことや、コンテンツとキャラクターへの愛情がすごく伝わってきました。それだけじゃなくて、キャストに対してリスペクトを持ってくださっていることもいつも感じます。ただ、前置きした通り、あくまで私の見解なので、リスナーの皆さんのお考えも聞きたいです。

大橋:うんうん。でもやっぱり、私も「Tomorrow's Door」を聴いた時、始まりの曲「Yes! BanG_Dream!」を思い出して、すごく嬉しくなりましたね。初期のポピパの曲は“がむしゃら”で気持ちだけで突っ走りながら、みんなの背中を押す、みたいな感じがあったんですけど、「Tomorrow's Door」には余裕があるというか。背中の押し方が変わったなって感じました。やっぱりみんな成長したんだなあって嬉しくなりましたね。ちょっと違う場所から応援しているというか。

大塚:歌詞も俯瞰的になったような気がする。振り返って、過去を見つめるような視点が増えた気がします。

──〈いつもの帰り道で ふと気が付いたんだ みんなの横顔は あの頃と違う〉という歌詞も、これまでの道のりがあるからこそ言えることというか……。

大橋:そうですね。人生の経験値って影響があるんだなあって。

── 「Tomorrow's Door」はライブでどうなるんでしょうね?

大橋:感動するでしょうね。10年分の感謝も届けられる楽曲になっていると思いますし。泣かないように気をつけなきゃ(笑)。

大塚:思い出すだろうね、いろいろなことを。次のライブ(Poppin'Party 10th Anniversary LIVE5月26日(月)/日本武道館)で披露されるかはわからないですが、セットリストのどこに入るかでまた感じ方も変わりそう。

大橋:ファンの方の表情を見たら泣いちゃいそう。それと、私はあいみん(香澄役・愛美さん)の涙に弱くて。あいみんが泣いてたらきっと泣いちゃう(笑)。

大塚:でも難しい曲だから、意外と浸る余裕がないかも(笑)。ファンの皆さんに代わりに泣いてもらおうかなあと。

──いろいろなことを思い出しそう、というのはこれまでの思い出とか?

大塚:もちろん、良いこともあれば悪いこともあって、正直いつでも超ハッピーだったわけではなくて。大変だったこともあるんですけど……でも、ファンの皆さんが喜んでくれると、その“大変だったこと”がふわっと昇華されるんです。やってよかったな、と思える。そういう瞬間にも涙腺を刺激されます。しかも今回は武道館なので、これまでのライブの景色が絶対に思い出されると思います。

大橋:確かに。バンドリーマーの皆さんの声を聞いたら心に来そう。私も具体的な何かを思い出すというより、10年分の経験、そしてバンドリ!が体に染み付いているからこそ、自然と感動が湧き上がってくるんだと思います。

大塚:分かる〜!

── 続いて、Ayaseさんが作詞作曲を手掛けた「イントロダクション」に続きます。2021年発表ということで、この中では早めの発表の曲。ライブで「イントロダクション」を披露した際のエピソードを教えていただきたいなと。

大橋:「イントロダクション」はメロディ系の楽器が難しそうな印象ですね。シンプルだけど、技術的に奥が深いというか……。

大塚:キーの変化が多くて、運指もフレーズも細かくて、ライブでは結構大変なんですよ。しかも、盛り上がる曲なのでパフォーマンスも含めるとさらに難しくて。でも、すごく楽しい曲でもあるんですよね。サビではみんなが同じ動きをしてくれて。ベースのりみりん(牛込りみ役/西本りみ)と私は、一緒にステージの端に行くことが多くて、お客さんの表情を間近で見ることができるんです。それがすごく印象に残ります。

大橋:その姿をニコニコしながら見てる(笑)。私は(ドラムなので)動けないから(笑)。

大塚:ドラムは演奏的にはどう?

大橋:ドラムは比較的シンプルなので、個人的には余裕があるんです。だからこそ、メンバーを後ろからニコニコと眺めているのが楽しい曲ですね。ザ・ポピパというような曲というか。青春キラキラな曲だなと思います。

ポピパって仲が良いのが特徴的で、そんな友情感が表れてる曲だなあって思います。MVもすっごくかわいいですし。それがライブでも表現できているんじゃないかなって思います。

── 今回のAlbumで「これは難しそうだな」と思った曲はありますか?

大橋:絶対「TARINAI」(M-3)です! 

大塚:同じくそう思います!

──記念すべき20枚目のシングルの曲でもありますね。

大橋:MyGO!!!!!との合同ライブのときだったかな? まだ「TARINAI」が出来立てで。ご挨拶に来てくださった藤永龍太郎(Elements Garden) さんから「次の曲、ドラムやばいです」って事前に謝罪されたくらいなので(笑)。

で、実際に完パケ音源聴いたら「とんでもないことになってる〜」と身が引き締まりました。なかなか事前告知されることはなかったんですよね。よほど難しいんだろうなと覚悟はしていたんですけど、ライブで盛り上がるだろうし、みんな絶対大好きになる曲だから、頑張ろうと思えました。

大塚:「TARINAI」は本当に早くて細かくて、キメも多いから難しいですね。でも、弾けるとすごく気持ちいいフレーズが多いので、バンドをやっている高校生とかがカバーしたくなるんじゃないかなって思います。弾きごたえがあるんじゃないかなと。

── 挑戦の多い曲があるというのも、Poppin'Partyらしさのような?

大橋:毎回必ず“試練”があるという(笑)。だからこそ「できるようになりたい!」って頑張れます。

「情景を描写させたら天下一品なんですよ、うちの香澄は(笑)」

── おふたりが特に思い入れがある曲というと?

大塚:私は「星の約束」がすごく好きです。劇場版『BanG Dream! ぽっぴん'どりーむ!』のエンディングなんですけど、アニメーションとしてのPoppin'Partyの大きなテーマやアンサーが詰まっているように感じています。それと、エモーショナルな展開や泣きメロにグッとくるものがありますね。

── 挑戦の多い曲があるというのも、Poppin'Partyらしいですね。

大塚:そうなんです。こういう曲って聴いていて楽しいし、「どのフレーズを”泣きメロ”として表現しようかな」とか、フレーズをどう弾こうか考えるのも楽しいんですよね。歌うように弾く、みたいな感じ。それが気持ちよくハマる曲は個人的にすごく好きです。

大橋:私はラストの「花咲く未来に」(M-12)がすごく好きで。ドラムのリズムパターンが今までのPoppin'Partyにはない、新しい感じがしました。年々、明るい曲ほど涙腺に来るようになってしまって……。

──すっごくわかります。なんででしょうね?(笑)

大橋:本当に、なんでなんでしょう(笑)。明るい曲でありながら、ちょっとだけ泣きメロが入っていて、サビの折り返しにもぐっとくるんです。未来を感じる曲なのに切なくて、最後に配置されたのも納得ですね。しかも、フェスティバル感もあるのに、なんでこんなにぐっとくるんだろうって思います。すごく感動する曲になりました。

『ガルパ』のストーリーと連動している曲なんですけど(イベント「Poppin' Starry Future!」テーマ曲)、曲単体として聴いてもグッとくるものがあります。

──ゲームと連動した曲と言えば「雨上がり、君と」(M-11)もエモーショナルな曲ですよね。

大塚:そうですね。個人的には主線が高くて難しかった記憶があります(笑)。FからFへの跳躍、しかもハイで抜いてないんですよ。チェスト(ボイス)でそのままいってて。キャラの声ということもあって「出ない出ない!」って言いながら録った記憶があります(笑)。楽曲の内容に関しては、すごく『バンドリ!』っぽいなと思いました。『バンドリ!』のエモ曲枠の王道ソングというか。それこそ「二重の虹(ダブル レインボウ)」などと並べて、天気の移り変わりプレイリストを作ってもいいかも。

大橋:うんうん。この曲も泣きメロですよね。水溜まりをバシャってしながら走るような疾走感がPoppin'Partyらしいなと。「夏に閉じこめて」(M-6)もそうですけど、疾走感と泣きメロはPoppin'Partyは輝くなあっていつも思いますね。

大塚:情景を描写させたら天下一品なんですよ、うちの香澄は(笑)。情景描写の際の日本語がとても綺麗だなあと個人的にいつも思っているんです。作詞を担当してくださっている中村航先生の小説家ならではの美しい言葉が情景描写と絡み合って、ポピパは唯一無二のブランドになっていると感じます。随一の答えというか……。日本語としての美しさも楽しめるので、こういう曲はすごく好きですね。

大橋:確かに小説みたいな曲ですよね。「いつか披露したいな」と思っていた曲のひとつです。

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