
入場者特典のイラストは“一歩前に踏み出したきり丸”の絵なんです――『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』再上映・ドルビーシネマ版上映記念、藤森雅也監督インタビュー|リマスター作業では作品が持つ“柔らかい優しさ”を意識した
昨年、興行収入30億を超える大ヒットを記録した『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』が、12月5日(金)より全国の映画館にて再上映! 通常版・4DX版に加え、新たに「ドルビーシネマ版」も制作されました。
さらに、3週間に渡って「週替わりボイスムービー(全8種)」として昨年話題になった入場者プレゼントのシナリオをボイスムービー化したものが上映されるほか、新規入場者プレゼントの配布も決定しているなど、ファン必見の施策も目白押しとなっています。
今回、再上映・ドルビーシネマ版上映を記念して、藤森雅也監督へインタビューを実施! ドルビーシネマ版のリマスター作業でこだわった点や、入場者プレゼントのイラストについて、さらに絵コンテを制作する際に心掛けていることなどを伺いました。
※本稿には『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』のネタバレが含まれています。
ドルビーシネマ版でもこだわった、作品が持つ“柔らかい優しさ”を感じる画作りと音作り
――公開日(2024年12月20日)からまだ1年も経過していませんが、様々なコラボや展示があったりと、現在『忍たま』ブームが巻き起こっていると感じています。藤森監督が感じる映画上映後のコンテンツの反響をお聞かせください。
藤森雅也監督(以下、藤森):何というのか……自分としても、こういうふうに作品の反響が長く続くという経験は初めてでして、ちょっと呆気に取られている部分があります。
実は先日、コラボしている東武動物公園(※会期終了)に会社のみんなと行ってきたんですよ。暑い中(笑)。コラボメニューがレストランにあって、それを注文した後、会社の人間が自分で持ち込んだキャラクターグッズをお皿の周りに並べて、記念撮影をしているんです。そういう文化を全然知らないものだから、呆気に取られて見ていたら、周りにいた女性のグループの方々もみんな同じように写真を撮っていて。ああ、こういうふうに「自分が積極的に盛り上がりに参加して楽しもう」と考えている人たちがいて、そういう人たちに支えられているのだなと改めて思いましたね。
(作品とは距離を)遠く感じるところもあったんですが、実際に行ってみると、皆さんすごく楽しんでいるなと(笑)。自分が監督という作業を抜けてからは、もう一年近く経っているんですが、いまだに作品を楽しんでくださる方々がいるというのは、本当にありがたいことだなと感じています。
――再上映・ドルビーシネマ版上映にあたって、キャラクターデザインを担当された新山恵美子さんをはじめとする、亜細亜堂の皆さんとはどのようなお話しをされましたか?
藤森:会話というよりは、「再上映が決まったよ」とみんなに伝えたら、単純に「やった!」と喜んでくれましたね。
副監督の根岸(根岸宏樹さん)だけは映像チェックや音響のリマスターの際に立ち会ってもらったので意見を聞きましたが、それ以外のスタッフは画作りや音作りに関わるというより、単純に喜んでくれていた印象です。
――ドルビーシネマ版の映像と音響のリマスター作業にあたって、藤森監督から何か指示されたことがありましたらお聞かせください。
藤森:テスト映像を拝見したのですが、結構、メリハリの効いた映像になりすぎてしまっている部分があったんです。夜のシーンではその効果がいい感じに出ていたんですが、昼間のシーンだとキャラクターや背景が硬く見えてしまうように感じるところがあって。
色味で言えば、黒はすごく締まっているし、色は鮮やかに出てはいるんですが、それが相互作用で少し硬質な画に見えてしまう。夜のシーンはむしろ深みが出て良いのですが、昼間の風景がとにかくちょっと硬めに出がちだったので、そのバランスを取ってもらうようにお願いしました。
せっかく新しく上映するので、目新しく見えるところもないといけないんですが、元々の作品が持っている“柔らかい優しさ”みたいな、画作りが壊れないギリギリのところをお願いして、細かい調整を加えてもらいました。
――音響に関しては、どのようなディレクションをされたのでしょうか。
藤森:ディレクションするというよりは、全体的には多人数で動くシーンでいろんな方向から音が聴こえてくるのが面白くて、楽しませていただきました。
ただ、ラストの方で、きり丸が雪の中、空を見上げたときにオープニングのイントロが少し流れて途切れるという場面が、最初は音が聴こえすぎてしまっていたので、「もう少し微かにしてほしい」と改めてお願いしました。
元々の劇場版の際も、あの場面の音のバランスにはすごく気を遣いましたし、パッケージ化の際にも「劇場音響のままだとうまくいかないね」ということで調整していて、ドルビー版でもやはり「少し聴こえすぎるよ」ということで微かに抑えていただきました。逆に、このドルビー版を通常の音響システムで聴くと全く聴こえないだろうなと。
――音響では特に、稗田八方斎のダンスナンバーがどのようになっているのか気になりました。藤森監督はあのシーンをどのように感じられましたか?
藤森:非常に臨場感があり、ライブ感が増したなというふうに思いますね。あそこは自分よりも、演出を担当した小池(小池瞳子さん)の方が相当喜んでいました(笑)。
――「かの組頭が天井から顔を出すシーン」など、印象的だった場面をコメントの際にお話しされていましたが、ほかにも注目してほしい場面や、演出面でお気に入りの場面を教えてください。
藤森:やっぱり、人数が多いシーンは結構楽しいなと思いました。教室のシーンとか、竹藪の中の戦闘シーンとか、本当に音があちこちから聴こえてくるんですよ。そこはもう自分の力というより、音響を担当してくださったオペレーターさんがすごく丁寧に音を振り分けてくれたおかげですね。ドルビーならではの聴こえ方がするので、楽しんでいただけたらなと思います。
――戦闘シーンでは、石の音などがいろんなところから聴こえてきそうです。
藤森:そうですね(笑)。あっちへこっちへ。某六年生に当たる石とかも面白いですよね(笑)。




















































