
一瞬たりとも緊張が解けない第2クール。有マ記念の先でオグリが感じるもの――アニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』高柳知葉さん(オグリキャップ役)、瀬戸桃子さん(ベルノライト役)、高橋大輔さん(藤井泉助役)インタビュー
好評放送中のアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』(以下、シンデレラグレイ)。10月より第2クールがスタートし、オグリキャップとライバルたちとの熱い物語が毎週描かれています。ジャパンカップでの激闘を経て、いよいよ有マ記念へと突入。第2クールのクライマックスに向けたラストスパートが描かれています。
アニメイトタイムズでは、第2クールを彩っているキャストやアーティストへのインタビューを実施。今回は第21話のアフレコを終えた高柳知葉さん(オグリキャップ役)、瀬戸桃子さん(ベルノライト役)、高橋大輔さん(新聞記者・藤井泉助役)にお話をうかがいました。
※本文中に第21話までのネタバレが含まれます。
一瞬たりとも緊張が解けない第2クール
――今回、第21話のアフレコを終えてから間もなくの取材となりましたが、有マ記念がスタートした心境はいかがですか?
オグリキャップ役・高柳知葉さん(以下、高柳):オグリとしては、ジャパンカップの結果を経て、またひとつ新しい壁や課題ができました。でも、いまはとにかく「タマモクロスと戦えることが嬉しくて仕方ない」モードといいますか。アフレコでも、タマモクロスとのぶつかり合いのエネルギーがとても大きかったと強く印象に残っていて。
現実世界の有馬記念も年末に皆さんがすごく熱くなる、ある種お祭りといえる大きなレースなので、『シンデレラグレイ』の有マ記念でも、私たちの込めたエネルギーが皆さんに届くのを楽しみにしています。
――瀬戸さんと高橋さんはアニメイトタイムズで『シンデレラグレイ』のお話をうかがうのが初めてとなります。第2クール全体の印象や演じてきて感じたことをお聞かせください。
ベルノライト役・瀬戸桃子さん(以下、瀬戸):第1クールから演じてきて、特に第2クールは一瞬たりとも緊張が解けないですね。(オグリキャップは)第1クールでもデビューはしていたんですけど、第2クールでは世界の壁が立ちはだかり、「彼女たちは休めているのかな?」と不安な気持ちになってしまうほどで……。だからこそカサマツのみんなが登場したシーン(第19話)では、オグリやベルノと同様に私たちも緊張が和らぎ、アフレコでもみんながいてくれてひと安心できました。
高柳:わかる。カサマツのみんながいると安心するよね。
藤井泉助役・高橋大輔さん(以下、高橋):僕も、第2クールは第1クールに比べてずっと緊張状態が続いているなと感じました。レース自体は大きなものだと「ジャパンカップ」と「有マ記念」に限られることもあって、全体的に深くなった印象があります。オグリはもちろんですけど、タマモクロスやオベイユアマスターといったいろんなウマ娘の悩みや葛藤にフォーカスされ、レースの裏にあるドラマがさらに際立った気がして。それゆえに、見ていてつらいところもありますし、心がかき乱されることも多いです。
――藤井は第1クールの途中から登場しましたが、登場前後で見るときの気持ちも変わったのでは?
高橋:そうですね。藤井が登場するまでは“いち視聴者”として見ていましたが、登場してからはそうもいかなくて、藤井のことばっかり考えていました。あまり俯瞰では見られず、現場に行くときも毎回お腹が痛くなっていましたね(笑)。第1クールは基本的には「オグリの強さやポテンシャル」が周囲に広がっていく段階だったと思います。そこから第2クールになり、広がったものがどんどん深くなっていく――そんな印象です。
高柳:喋る量が多いですし、説明的なセリフも多いですもんね。
高橋:そうなんです。あと、人との会話をあまりせず、独り言が多いんですよ。アフレコも1人で延々と喋り続けるので、ちょっと寂しいなと思いながらやっていました(笑)。
ベルノライトが素晴らしいからこそ感じた苦悩とは……?
――瀬戸さんと高橋さんが演じた「ベルノライト」と「藤井泉助」についてさらに伺います。ベルノライトは第2クールになってより魅力が増し、参謀のような役割も大きくなりました。演じていて印象的だった部分はありますか?
瀬戸:ベルノライトは第2クールで大きく成長したと感じています。ただ、その成長に自分自身が追いつけていないのではないかと思う瞬間もあり、アフレコでは悩みながら向き合っていました。ベルノと真剣に向き合う時間が、これまで以上に何倍にも増えたように思います。
また、ベルノの性格の素晴らしさを改めて強く実感しました。彼女はあまりにもまっすぐで、時に私は「共感できない」と感じてしまうほどです。私は何か行動する際に理由を必要とするタイプですが、ベルノは「走れるから走る」という、オグリの純粋な姿を見て、自分自身も自然と前に進める。そこが本当にすごいところだと思います。なぜベルノは、こんなにも素直でいて、そうした行動ができるのだろうと、何度も考えました。
さらに、ベルノだけでなく、登場するライバルやトレーナーたちも非常に魅力的で。それぞれが成長し、「プロ」として本気でぶつかり合っています。そうした点も含めて、第2クールはまさに熱量の高い、見応えのある展開になっていると感じています。
――第1クールからの成長は見ていてすごく感じますね。
瀬戸:第1クールでは、いわゆる「プリティー枠」としての立ち位置が強かったと思いますが、第2クールでは、より本質的な部分が求められていると感じました。
オグリがさらに強力なライバルたちと戦う中で、ベルノ自身も一段階ギアを上げる必要がありました。だからこそ私自身も、ベルノの内面の奥深い部分に、より踏み込んで向き合うことを大切にしましたね。ベルノは、努力している姿を誰かに見せることもなく、静かに、一人で自分と向き合いながら頑張っている。その姿が、第2クールのベルノらしさだと思っています。
高柳:影で努力しているイメージだよね。
瀬戸:描かれるシーンが限られているからこそ、繊細な心の動きや成長を短い尺の中で表現しなければならないというプレッシャーがありました。「ここでベルノは成長したんだ!」「この積み重ねが、今の彼女につながっているのか!」と皆さんに感じとっていただけるようにしたいと、常に意識していました。
一方で、「彼女の努力が報われて欲しい」「この頑張りを、きちんと皆さんに届けたい」という思いが強かったからこそ、迷いやもどかしさを感じてしまうこともありました。ともさん(高柳さん)や、大空さん(タマモクロス役の大空直美さん)に、相談させていただくことも度々ありましたし、自分の収録した音声をあらためて聴いて、「もっとできたのではないか」と悔しい気持ちになることも少なくありませんでした。
高柳:それを隣で見ていて、第1クールとはまた違った悩みを抱えながら、さらにベルノと向き合っているなと感じていました。でも、こちらからしたら、もう完全に“ベルノライトそのもの”という感じで全く違和感がなかったです。オグリが環境の変化とともに成長していくように、ベルノもまた六平さんや愉快な先輩たちとの関わりの中で見える世界が広がっているんだなって。
ただ、第16話は大変そうでしたね。原作ではデータとして書かれていた調査メモを、アニメではベルノがすべて説明しなきゃいけなくて。台本をめくってもめくってもベルノが説明していましたから(笑)。
高橋:あそこは、心から「頑張れ! いける!」って思いながら見ていました(笑)。
瀬戸:ベルノが大活躍するシーンなので嬉かったのですが、演技面でも技術的に苦戦することが多く、彼女のひたむきな努力を見ていると、自分自身はまだまだだと感じてしまう瞬間もありました。物語の中で描かれていない部分を、どこまで想像して表現できるかが重要で、私の中にあるベルノライト像と、皆さんが思い描くベルノライト像、そのどちらも大事にしながら演じたいと思っていました。
正解が一つではないと理解していても、ディレクションをいただくたびに、「違ってしまったのではないか」「もっと良いお芝居ができたのではないか」と落ち込むこともありました。そうした経験を含めて、まだまだ自分は未熟者だなと、改めて感じています。
高柳:そんなことないよ。ベルノとリンクしてものすごく成長しているなと思いました。表層的なかわいいキャラだけでは決してない、ベルノの持っている泥臭さや努力している面を、本当に寄り添って演じているなって。ベルノ自身も、どんどん進んでいくオグリを見てコンプレックスを感じたり、「隣にいるのが私でいいのかな……」と迷ったりすることがあると思うんです。そういう姿をオグリには見せずに乗り越えているのと同じですよね。
――話を聞いていて、役への向き合い方が素晴らしいなと感じました。だからこそ、ベルノの魅力が増しているんだろうなと。
瀬戸:ありがとうございます。素晴らしいキャストの皆さんに囲まれながら、必死にもがいて、しがみついて演じきった第2クールでした。悔しさを感じることも多くありましたが、それだけ本気で向き合っていた時間だったと思います。私自身、ベルノの大ファンなので、正直に言えば、もっと彼女の姿を描いてほしいという気持ちもありました。なので、原作漫画で外伝「残灰」が描かれたときは、本当に嬉しかったですね。
高橋:そうやって悩みながら演じているのを、僕はいま初めて聞きましたけど、もうまんまベルノですよ。シンクロしているなと思いますし、見ていて我々も癒やされています。ここまで来ると、ウマ娘も人間も“バケモン”だらけですから、その中でベルノは人間らしいポジションというか、オアシスのような立場なのかなと思いますね。みんなベルノのことが大好きです。
瀬戸:そう言っていただけて、本当に嬉しいです。ありがとうございます……!




















































