
今この時間はすべてを忘れて、一緒に寄り道してもらえますように──ReoNaさんが豊島区の子どもたちへお歌を届けるAOM presents Cheer Concert「ReoNa -よりみち-」をレポート
あーあ、生きてりゃいいのよ
この日は同じ事務所のクリエイターであり、ReoNaの良き理解者のひとりである傘村トータ(LIVE LAB.)が手がけた楽曲が多く並んでいた。多感な時期の言葉にできない痛みや、心の奥に沈んだ感情をすくい上げるような傘村トータの楽曲は、「Cheer=応援」を単純な励ましではなく、寄り添いとして届ける本公演ととても相性が良い。
ReoNa自身もまた、10代の頃に抱えていた痛みや生きづらさを、これまで折に触れて言葉にしてきた。だからこそ、傘村トータの楽曲の等身大の痛みは、ReoNaの歌声を通すことで、より切実に、けれど押しつけがましくなく届いていた。
終盤には、自身のふるさとである鹿児島県・奄美大島の話題も。奄美には「結い(ゆい)」という、人と人とが手を取り合い、支え合い、結ばれ合うことを表す言葉がある。東京に出てきてから、傷つくことや悲しくなることがあっても、人と関わることを諦めずにいられたのは、そんなふるさとの心に育ててもらったからだと語るReoNa。
そしてこの日は、彼女にとってアニソンシンガーとしての“ふるさと”とも言えるアニメイトで、奄美大島へ思いを馳せる「結々の唄」を届けていく。曲のラスト前、ReoNaは「こうしてあなたと私で、歌の中で立ち止まった時間。またそれぞれの旅路の中で、ふと寄り道したくなったとき、また同じ時間の中で、同じ空間の中で、顔を見て、お歌、受け取りに来てくれますように」と語った。
「あらためて、今日は、よりみち、お歌を受け取ることを選んでくれて、本当にありがとうございました。最後にもう1曲お届けします。きっと傷ついたことのない人なんていなくって。突然の土砂降りのように、自分の力だけではどうにもならないことも、きっとあるけれど、降りしきる雨に、傘が手向けられるように。今日を生きるあなたに、この歌が寄り添えますように」
そう語って最後に届けられたのは「ライフ・イズ・ビューティフォー」。ハンドクラップとともに響く〈あーあ、生きてりゃいいのよ〉という軽やかなメッセージは、この日、ReoNaが手渡したかった、いちばんの願いのようにも響いた。 沈み込まず、少し肩の力を抜いて、また歩き出せるように。重すぎないエールが心に沁みていく。
すべての歌を終えたReoNaは、改めてステージメンバーを紹介。「よりみち、楽しんでいただけましたか」と客席へ呼びかければ、大きな拍手が響きわたる。そして「またこうやって、同じ空間のなかで、お歌、受け取ってくれますように、じゃあな!」と笑顔を見せた。
行かなければならない場所、やらなければならないことがある日々の中で、少しだけ立ち止まることの大切さ。自分の弱さやしんどさを、無理に明るく塗り替えなくてもいいと思えることを、あらためて音楽で教えてもらった「よりみち」。この場所の記憶が、ただ楽しかったという思い出にとどまらず、これから先のどこかで、自分の足元を照らす小さな光になるのではないだろうか。
なお、この「ReoNa -よりみち-」は今後も継続的に開催されていく予定だという。これほど贅沢な音楽体験が、これからも子どもたちに向けて開かれていくことは、とても意義深いことだ。歌を通して誰かの心に優しく寄り添う道が、少しずつ広がっていくことを願いたい。「ReoNa -よりみち-」のこれからの景色も楽しみだ。
★明日6月28日(日)19時には、公演を終えたReoNaさんへのインタビューを掲載予定!
[取材・文/逆井マリ 撮影/中井智久]
AOM presents Cheer Concert「ReoNa -よりみち-」セットリスト
01. ANIMA -Naked Style.-
02. メメント・モリ
03. 地球が⼀枚の板だったら
04. さよナラ
05. 猫失格
06. unknown
07. 芥
08. 結々の唄
09. ライフ・イズ・ビューティフォー
AOM presents Cheer Concert「ReoNa -よりみち-」のセットリストも公開され、各音楽サブスクリプションサービスのプレイリストにて当日のセットリストを聴くことができる。
プレイリストURL:https://ReoNa.lnk.to/Yorimichi_setlist




























