
「片田舎のおっさん、剣聖になるII」原作ノベル著者・佐賀崎しげる先生インタビュー|ベリルとモルデア、双方が抱える想いを感じ取ってもらえたら
昨年(2025年)に放送されたTVアニメ「片田舎のおっさん、剣聖になる」。第一期の配信プラットフォームが、2026年6月22日(月)より拡大されました。さらに、2026年7月8日(水)からは、第二期の「片田舎のおっさん、剣聖になるII」がいよいよ放送・配信開始となります。
そんな「おっさん剣聖」の第二期がスタートするタイミングにあわせて、本作の魅力を改めて主要スタッフ陣に伺う連載インタビューがスタートしました。最終回は原作ノベル著者・佐賀崎しげる先生に作品について細かく伺っています。
「おっさん剣聖」という作品が生まれることになったきっかけや、ベリルというキャラクターを組み立てる上で注意していることなど、第二期に期待している方だけでなく、これから第一期をご覧になる方も注目の情報があります。ぜひご一読いただけますと幸いです。
田舎で燻っているおっさんが、弟子たちに引っ張り出される
──ベリルのようなおっさんと呼ばれるような年齢の男性を主人公に据えたWEB小説を執筆しようと考えたきっかけから伺えますか?
佐賀崎しげる先生(以下、佐賀崎):「おっさん剣聖」は僕が小説家になろうで発表した作品としては二作目にあたります。一作目は自分の思っていることを好きに書いて読者に受けなかったのですが、せっかく書くなら受けるものにしたい。
そこから今どんな物語がトレンドなのかを調べて、若い子を主人公にした作品はもう溢れているなと感じました。理由はやっぱり、共感を呼びやすいことと、読者に受けるからだと思いました。だからその要素を交えつつ、自分のやりやすいおっさんを主人公にした物語を書いてみようと思ったことがきっかけのひとつです。
主人公はカッコよくて強くて、物語を引っ張っていくのが当たり前。そして、バトルものの作品では師匠なり先輩なりがいるのが定番じゃないですか。それなら、そんな師匠ポジションのキャラクターを、あえて主人公に据えたらどうかと考えました。
──ゲームのようにド派手な必殺技が飛びかったり、漫画のように技名を叫んだりしないことも、読者の反応を分析して決めたのでしょうか。
佐賀崎:そこは僕自身のこだわりが半分くらいあります。ゲームや少年漫画のような世界観なら大事な部分なのですが、実際にしのぎを削って戦っている時に、技名を叫ぶことはないだろうなと。
──そんな本作の世界観を構築する上で大切にしたものはありますか?
佐賀崎:強いけれど自分から前に出てこない。そういうキャラクターとしてベリルを描くことは大前提でした。
自分の剣の腕で成りあがっていくぞとガンガン前に出ると無双ものになってしまうので、弟子たちに引っ張ってもらう形にしました。この形は、数あるWEB小説の中でも割と新しいのではないかという気がしています。
──前に出てこないことで卑屈だと捉えられてしまいそうですが、弟子たちには好かれています。このキャラクター性を作る上で意識されていたこともお教えください。
佐賀崎:ベリルは一般的な主人公と呼ばれるキャラクターよりかなり年齢が高いという前提がありつつ、実家の剣術道場の師範という一応の肩書も持っている。だけど、実家で燻っているおっさんではあるので、そのことに引け目を感じてもいる。年齢を重ねたが故の謙虚さと卑屈さが同居しているので、そのバランス感にはかなり苦慮していました。
卑屈に寄ってしまうとベリルというキャラクターを好きになってもらえないだろうし、ただ謙虚なだけだとフックがなくなってしまう。主人公として何か好かれる理由がないと、それこそ師匠でよくなってしまい、先の物語の布石が打てなくなりますしね。
後は既に剣を教える立場の年齢なので、肉体的成長はほぼ見込めません。魔法で強化するだとか、不老不死になるだとか、ある意味での反則をしない限りは伸びない。なので、実力は確かながら田舎で燻っているおっさんが、ただ卑屈なままでいるのではなく、その実力や人間性をより成熟させていく方向性に物語の舵を切りました。
──メディアミックス展開にあたって、そんなベリルに平田広明さんの声がつくことになります。平田さん演じるベリルは先生から見てどんな印象ですか?
佐賀崎:一言でいうなら「完璧」ですね。秋田書店さんから出ているコミカライズ版の第2巻発売にあたってPVを制作することになったのですが、先方から「ベリルに声をつけたいのですが、平田広明さんはどうでしょうか?」と提案がありました。
「小説家になろう」で書き綴っていた頃、まだアニメ化やコミカライズの話なんて微塵もなかった時の話になるのですが、そのオファーの話は関係なく僕は「このベリルというおっさんの喉から、平田さんの声がしたらいいな」と思いながら物語を書いていました。
だからそういった形でPVのオファーが来たときは僥倖だと思いましたし、そのままアニメ化の際もこちらから平田さんにベリルをお願いしたいと指名させていただきました。

































