
「これまで出会ったことのない種類の“ブチ切れ”だと感じました」ーー『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~』エリザベート・レイストン/エリー・レイス役・大西沙織さんインタビュー
エリザベートは怒りを内側に秘めたキャラクター
ーーオーディションやアフレコ時の思い出をお聞かせください。
大西:テープオーディションだったので、自分がエリザベートから受け取った印象をそのまま表現しました。ただ、役が決まって第1話のアフレコに入った時に、自分の解釈との違いをすごく感じたんです。第1話でエリザベートが投獄され、ミレイに背中を押されて復讐を決意するシーンがあるのですが、最初に私が演じたものは熱量が高すぎたんですよね。
私の中では、「よし、復讐するぞ!」と一気に燃え上がるイメージだったのですが、ディレクションでは「もっと冷静に、虎視眈々と復讐を見据えている状態にしてください」と言われました。
例えるなら、獲物を遠くからじっと見据える豹のような感覚です。感情を爆発させるのではなく、冷静なまま報復への意志を固めていく。その温度感がエリザベートらしさなのだと教えていただきました。
これは第1話だけでなく、作品全体を通して共通していた部分でもあります。アフレコを重ねながら、「私はまだエリザベートを熱く捉えすぎていたんだな」と感じることが多かったです。
ーーエリザベートは怒りを内側に秘めている人物なんですね。
大西:そう思います。腹が立ったからといってすぐ石を投げるのではなく、その石をひたすら磨き続けて、ダイヤモンドみたいに鋭い武器になるまで準備するようなタイプというか。
「私は石を磨き続けるわよ」という強い意志を内側に抱えていて、その積み重ねがエリザベートの強さになっているんですよね。アフレコ現場でディレクションを受けて、初めて「この子はこういう人物なんだ」と深く理解できた気がします。
ーー他にディレクションなどはありましたか?
大西:皆さんそれぞれしっかり役を作ってこられていたので、ディレクション自体もそこまで多くありませんでした。この現場、本当に収録が早く終わるんですよ(笑)。
ただ、やはり私は「怒りの熱量が高すぎる」と言われることが何度かありました。それ以外はほとんどなかったので、やはりエリザベートを演じる上では「怒りをどのくらいの温度で表現するか」が作品にとって非常に重要だったのだと思います。
ーーエリザベートに共感する部分はありましたか?
大西:序盤のエリザベートには少し共感できました。エリザベートは王国のことを本当に大切に思っていて、「国民のために自分ができることを全力でやる」という気持ちで行動しているんです。婚約者のフリード王子がシルビアと浮気していることが明らかになった後も、感情的になるのではなく、「王子の評判を傷つけないように振る舞いなさい」と助言するほど懐が深いんです。
自分で言うのも少し恥ずかしいのですが、私も一度大切だと思った人や仲間はすごく大事にしたいタイプなので、その気持ちの方向性は初期のエリザベートと少し似ているかもしれません。自分が傷ついたり不利になったりしたとしても、「大切なものを守りたい」という気持ちを優先すると思います。
ーーエリザベートを演じる上で意識していたことを教えてください。
大西:作品全体を通して見ると、エリザベートの物語は“復讐”が軸になっています。でも彼女は、実際に行動を起こすその瞬間までは怒りを表に出さないんです。だから商会での交渉や商売の場面では、怒りの感情をあまり意識しないようにしていました。
エリザベートにとって大切なのは、「ここで一石を投じる」という決定的な瞬間に向けて準備を重ねること。だからこそ、演じる際は「今はまだその時ではない」「今は後々大きな波紋を起こすための土台を作っている段階」という意識を持ちながら演じていました。怒りは確かに存在しているけれど、それを随所に散りばめるのではなく、ここぞという時まで取っておくように。
ーー怒りそのものは常に抱えていても、演技ではあえて表に出さなかったんですね。
大西:そうですね。例えば商売の交渉中に怒りが見えてしまうと、相手にも伝わってしまいますよね。例え復讐とは関係ない相手だったとしても、自分の私情を表に出すことはエリザベートにとって得策ではないと思うんです。
だからこそ、その感情は本当に必要な場面まで温存している。そういう冷静さを大切にしていました。頭の回転も早いので、エリザベートを演じる時は他のキャラクターより一歩、二歩先を考えているような感覚を意識しています。普通のキャラクターなら悩みながら言うようなセリフでも、エリザベートの頭の中ではすでに次の行動や結論が見えているんです。
ーー具体的にはどういったシーンでそう感じられましたか?
大西:第1話で、お父様から建国記念パーティーに出席するよう言われる場面ですね。反論もするのですが、その時のエリザベートは「行くべきかどうか」で悩んでいるわけではなくて、むしろ「自分が行くことになった場合、どう立ち回ればいいのか」をすでに考え始めている状態でした。
お父様に任せるか自分が行くかを迷っているのではなく、「私が表に立つなら何をすべきか」という思考に入っている。だから“結論を出すための悩み”ではなく、“結論が決まった先の悩み”という感覚で演じていました。
ーーちなみに、もし大西さん自身が彼女と同じ状況に置かれたら、どう行動すると思いますか?
大西:私だったら、たぶん諦めます(笑)。牢獄に入れられた時点で、「もうここで生きていくしかないのかな」と思ってしまうかもしれません。あるいは、「誰か助けてくれないかな」と願うくらいですね。あの状況で自力で立ち上がって復讐を始めるような強さは、私にはないと思います。
でも、もし現実にもミレイみたいな頼れる存在がいたら、牢屋から助け出してもらって一緒に逃げます(笑)。復讐を考えるよりも、「もうあの人たちとは関わりたくないから別の場所で平和に暮らそう」って。たぶん二人でどこか別の国へ行って、のんびり暮らしているんじゃないでしょうか(笑)。


































