マンガ・ラノベ
『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』作者りにあ・かたや先生インタビュー

他の国へ引っ越すことは、少し「異世界転生」にも似た経験でもあると思うんです――『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』作者りにあ・かたや先生インタビュー

講談社主催の漫画賞「第5回 オトナ女性漫画大賞」で佳作を受賞した『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』。漫画家になるためにニューヨークから日本にやってきたミーナが、アニメーターとして働きながら夢を追い求めてもがく日々を描く本作は、その美麗なイラストとストーリーで多くの読者を魅了しました。

そんな作品と共に話題になったのが、作者りにあ・かたや先生の経歴。ニューヨーク出身で、現在はアニメーターとして話題作・人気作の作画監督などを担当する傍ら、夢だった漫画家として日本でデニューを果たしたのです。

アニメイトタイムズでは、りにあ・かたや先生に単独インタビューを実施。ニューヨークで少女マンガと出会ったきっかけ、自伝的要素もある本作を執筆した経緯、海外の少女マンガ事情など、様々なお話を伺いました。

 

他の国へ引っ越すことは、少し「異世界転生」にも似た経験でもあると思うんです。

──アニメイトタイムズの読者は初めましての方も多いと思いますので、簡単に自己紹介をお願いできますか?

りにあ・かたや(以下、りにあ):私の名前はリニア・カタヤ(Linnea Kataja)です。ニューヨーク出身で、もう4年ほど日本に住んでいます。

現在はアニメーターとして働いていて、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』や『前橋ウィッチーズ』の作画監督などを担当しました。その他にも、マンガを描いたり、コミケに参加したりと日本で様々な活動を行っています。

──日本に来られたのは漫画家を目指してですか? それとも、アニメが好きで日本に来て、それからマンガを描くようになったんですか?

りにあ:漫画家を目指して日本へ引っ越してきました。そこで、友達からアニメの仕事を紹介してもらって、そのままずっとアニメーターの仕事を続けていくようになったんです。

──私が個人的に『前橋ウィッチーズ』が好きなのお伺いしたいのですが、主にどのあたりを担当されたのでしょうか?

りにあ:毎日たくさんのカットを描いていましたが、主に第6話で作画監督として参加しています。あとは、第11話や第12話なども少しお手伝いさせていただきましたね。

 

──漫画家としては「第5回 オトナ女性漫画大賞」で『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』が佳作を受賞されました。まずは、その時のお気持ちを教えてください。

りにあ:昔から日本で漫画家になりたいと思っていましたが、本当にその夢が叶うのかわからなくて「とりあえず頑張ってみよう!」という気持ちでいたので、受賞することができて本当に嬉しかったです。

 

──選考委員の末次由紀先生からの講評を読んだ時はいかがでしたか?

りにあ:昔から末次先生の『ちはやふる』も好きだったので、自分の作品を講評していただいた上に「絵がとてもかわいい」と言っていただけて嬉しかったです。

実は、以前にとある編集者さんから「あなたの絵はあまり可愛くない」と言われたことがあったんです。それ以来、もっと可愛く描けるように頑張って絵を勉強してきたので、末次先生の言葉は本当に励みになりました。

──末次先生の講評にもある通り「現実の異世界転生」という視点と発想は、正にりにあ先生にしか描けないものですよね。

りにあ:他の国へ引っ越すことは、少し「異世界転生」にも似た経験でもあると思うんです。海外へ旅行した経験がある方であれば、きっとこの感覚をわかっていただけるのではないでしょうか。そういったところからも着想を得ています。

今回の「海外からやって来たオタク」というテーマについても、どう展開していくかは検討中ですが、このテーマを活かして新たなマンガを描いていきたいですね。

──『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』は自伝マンガの要素もあるように感じたのですが、どれくらいご自身の体験が反映されているのでしょうか?

りにあ:もちろん、このマンガは私自身の気持ちや体験を基に描いていますが、主人公のミーナは自分とは少し性格が違いますね。自分自身をそのまま主人公にしてしまうと、少し気恥ずかしくて自由に描けないと思って、それでミーナというキャラクターを通して私の気持ちを表現しています。

──作中にはミーナを支えてくれるスズカも登場しますが、スズカも実際のモデルはいましたか?

りにあ:実在する方を少しベースにしてスズカを描きましが、それよりもミーナとスズカの性格の違いを描くことを意識しました。ミーナは前向きで元気なのに対して、スズカは少し厳しいキャラクターという、その対比を出すことで面白さが生まれると思ったんです。

ちなみに、マンガの中で私が泣きながら渋谷を走るシーンがありますが、さすがにこんな出来事はありませんでした(笑)。でも、自分の気持ちを込めてマンガを描いたことに変わりはありません。

──ミーナのお部屋はかなり可愛い雰囲気ですが、りにあ先生のお部屋も同じような感じなんですか?

かたや:あんな感じですね。しかも同人誌やマンガが多すぎてスペースが足りなくなってしまって、新しい本棚を買ったくらいなんです。

──『この外国人がオタクすぎて~』というタイトルは本当なんですね。

りにあ:そうかもしれません(笑)。

 

漫画家として大きな転機になったアニメーターの仕事

──「第5回 オトナ女性漫画大賞」の結果が発表されて、SNSや周囲からの反響はどうでしたか?

りにあ:私が思っていた以上に受賞のニュースがバズったので、たくさんコメントを頂きました。家族や友達も「夢が叶って良かったね!」とすごく喜んでくれたのが本当に嬉しかったです。

また、フォロワーさんから「刺激を受けた」「自分も漫画家を目指しているので、外国の方が受賞されたのを知って本当に励みになった」といった声をたくさん頂けたのも嬉しかったですね。

──海外の方が描かれたとは思えないくらい「日本のスタイルのマンガ」だったたので、自分も初めて読んだ時に本当に驚きました。末次先生も仰っていましたが「絵がとてもかわいい」のは特徴の1つだと思います。このアートスタイル(画風)には、どのようにして行き着いたのでしょうか?

りにあ:アメリカに住んでいた頃からマンガをたくさん読んでいて、それを模写しながら練習していたんです。その後、アメリカの美術大学に進学しましたが、そこでは日本のマンガの技術そのものを学ぶことはできなかったものの、美術の基礎をしっかり学べたことはとても役に立ったと感じています。大学を卒業した後は、インターネットを活用して独学でマンガの勉強を続けました。

その後、日本でアニメの仕事を始めたことは、大きな転機になったと思います。アニメの現場では、本当に素晴らしい才能を持った方々がご自身の絵を見せてくださったり、私の絵を修正してくださるので、そのおかげで表現力が格段に向上したと思います。

日本に来てからは、アメリカにいた頃とは比べものにならないほど多くのことを学べていますね。

──りにあ先生の過去作『アイドル ロワイヤル』と今回の作品とでは、作品のテイストや方向性がかなり異なります。あえてこういった自伝漫画的なものを描いてみようと思ったきっかけがあったのでしょうか?

りにあ:『アイドル ロワイヤル』を描いた時、コミティアの出張編集部で編集者の方に見てもらう機会があり、その時に「外国人としてのご自身の経験を活かして漫画を描いた方が良いと思う」とアドバイスをいただいたんです。

たしかに、それは日本人の読者にとっても面白いかもしれないと思い、この『この外国人がオタクすぎて夢が叶えられない』が生まれました。

──りにあ先生は『アイドル ロワイヤル』のような「可愛い」と「少し残酷な要素」が混ざった作風もお持ちですが、ホラー系の映画やマンガもお好きなんですか?

りにあ:ホラー系のコンテンツは大好きです。アニメの仕事をする時にも、よくホラーゲームの実況動画を流しながら作業しているくらいです。お気に入りのゲームがあると色々な配信者さんのストリームを見ていますが、最近だと『SILENT HILL』の配信を楽しんでいますね。

──どんな作品がお好きですか?

りにあ:映画だとA24制作の『ヘレディタリー/継承』や『ミッドサマー』という作品が、とても怖くて印象に残っています。

──どちらもアリ・アスター監督の作品ですね。

りにあ:そうです! アリ・アスター監督は大好きです。実は、飛行機に乗るのがとても苦手で怖いのですが、搭乗中にはあえてホラー映画を見ることで、飛行機に対する恐怖心を紛らわしたりもしているんです。

 

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