
『楽園追放 心のレゾナンス』11.13公開前リレーインタビュー連載 第8回:アニメーションリード・八木田肇(MAPPA)【後編】|自ら参加を志願した続編で、絵コンテとアクションに挑戦
水島精二×虚淵玄 再び。『楽園追放 -Expelled From Paradise-』(2014年)のその先の物語を描く続編『楽園追放 心のレゾナンス』が11月13日に公開されます。アニメイトタイムズでは、公開まで、さまざまな主要スタッフへのインタビューを敢行! その成り立ちから物語に至るまで、多角的に迫っていきます。
連載第8回は、アニメーションリードの八木田肇さん【後編】。再び、『楽園追放 -Expelled From Paradise-』での思い出と、絵コンテも担当したという『楽園追放 心のレゾナンス』の話も伺いました。
アンジェラとディンゴが笑い合うシーンが最初のOKカット
──初めてアニメ作品に参加したという意味でも、『楽園追放 -Expelled From Paradise-』は、八木田さんにとってターニングポイントになっているのですね。
八木田肇さん(以下、八木田):この作品は外せないです。ここからアニメを作る仕事がスタートしたし、もっといろいろなことをやってみたいという欲も出てきたんです。
──完成した『楽園追放 -Expelled From Paradise-』を観たときはどう思いましたか?
八木田:これはめちゃめちゃ面白いから、全国13館での期間限定上映と言わず、もっとたくさんの映画館でやってほしいと思っていました。
──どのあたりに面白さを感じていたのですか?
八木田:どこが面白かったかと言われると、いろいろあり過ぎて難しいのですが、当時の3DCGアニメだと、サンジゲンさんが先行してセルルックのアニメーションを作っていたイメージがあるんです。それ以外でそこに対抗できる作品として『楽園追放 -Expelled From Paradise-』がドカンと来て、そこからどんどん3DCGのアニメ作品が増えていったような気がするくらい、3DCGアニメーションとして、レベルが高かったと感じています。
──ご自身が手掛けられたシーンで、印象に残っているシーンというと、どこになりますか?
八木田:最初にチームに加わったとき、いくつかテストカットを作ったのですが、それがエンディングのあたりで、アンジェラとディンゴがトレーラーの中で爆笑をしているシーンなんです。そこはうまくできたと自分でも思っていて、のちのち、当時同じチームにいた新人の子が「あのカット見てCGでもアニメっぽい表情作れるんだと思いました」と言ってくれたんです。それがすごく嬉しくて……。アニメーターになったばかりの子に、いい影響を与えられるシーンを作ることができたのではないかと思えたことが、自分の中ですごく大きかったんですね。
ただ、後日イベントで、野口光一プロデューサーが、水島精二監督に、あのカットをなくそうと話していたというエピソードを聞いたときは、「おいおいマジかよ!」ってなりましたけど(笑)。最終的に残してくれた監督に感謝しています。
野口プロデューサー:あははは(笑)。何でこんなににこやかなの?と思って。ディストピアが憎いんじゃなかったっけ?と。
──でも、あの笑顔があったから、続きを予感させて続編に繋がったとも言えますからね(笑)。あそこは、そんな初期に作ったシーンだったのですね。
八木田:そうですね。前編でお話した、水島監督に注意されるもっと前です。自分がこの制作に加わったときは、序盤のサンドワームと戦うシーンのPVが先行して出来上がった後なんです。「こんなん作れるの最高~!」と思っていたところ、テストとして渡されたシーンのひとつがそこで、最初にOKをいただいたカットでもあるんです。
──後輩からの何気ない言葉が、八木田さんのその後の人生にも影響を与えているというのは、いい話ですね。
八木田:あれは本当に嬉しかったですし、尾形祥乃さんというんですけど、今ではどんどん伸びていって、グラフィニカでディレクターをやっています。
──荻田さんのインタビューで、板野一郎さんの話も出てきたのですが、八木田さんは『楽園追放』に参加されているので、そこで板野さんの教えを受けたということですか?
八木田:そうですね。僕はこの作品で、板野さんにいろいろ教えていただきました。CGというよりは画の作り方を学んだ、という感じなんですけど、アクションのカットなどはよく見てもらいました。
アドバイザーとして、基本から応用まで、「こうしたいのなら、こういう見せ方のほうがよく見えるよ」って、作った画を全否定するのではなく、よりよく見せる方法をアドバイスしてくださる感じでした。
──それはアニメーターの個性を大事にしてくれたということですか?
八木田:というよりはもっと基本の部分ですね。絵コンテをパッと見て、カットの上がりを見て、コンテの演出意図から大外れしていなければ、作ったものをより良くする方法を教えてくれるという感じで、たとえば寄ってくるシーンであれば、コマを抜いてパッと寄ってきたほうがよく見えるよとか、“タメツメ”や“空間の使い方”といったところをアドバイスしていただきました。
──“タメツメ”のお話は、荻田さんもされていました。
八木田:新人が多かったので、ファーストテイクは板野さんに見てもらってアドバイスをもらっていましたね。たとえば重い荷物を動かすときの腰の入れ方とかも、しっかり描かないと、重さが表現できなかったりするので、横で板野さんが実演をして「お前もちょっとやってみろ」みたいな感じで教えてくれました。「お前、そんな腰が高かったら、腰を痛めるだろ!」みたいなことを言われながら(笑)。
──そういう教えが、後輩にも引き継がれていくような感じなのですね。
八木田:そうですね。良い連鎖ができているのではないかと思います。
当時、板野さんに叩きあげられた凄腕アニメーターたちの本気も、間近で見ることができたんですよ。社内もですが、社外のメンバーも板野さんと一緒に仕事を経験されたアニメーターさんたちが参加されていて、自分のアイデアを持ち寄って、画で叩き合う祭りみたいになっていたんです。そこでチェックムービーを見て、“ワカメ影”など、面白いアイデアあれば真似してました。
自分も含めた新人は、そういう凄腕アニメーターに引っ張られて一緒に成長できたことが大きかったので、そういうことが今回もできればと思っています。

































