
「ボーボボ じゃんけん占い」は女性層を獲得のため!? 歌ネタには仮歌があった!? アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』製作スタッフが当時を振り返る|「ボーボボ展」開催記念インタビュー
「ジャンケン占い」はどうして始まった?
──当時のアフレコで印象に残っていることはありますか?
梶本:とにかくアドリブがものすごく多かったですね。海外放送用の台本を制作するために、アドリブで変わったセリフも全部メモするんですけど、テストを一生懸命に聞きながらメモしても本番では全く違うこと言うんですよ(笑)。メモの手が全然追いつかなくて、ダビングの時にもう一回聞きながら書き直したこともあったくらいアドリブは多かったです。
芝田:ボーボボ役(声優:子安武人さん)も首領パッチ役(声優:小野坂昌也さん)もすごく楽しそうにやってたからね。
梶本:あまりに楽しそうなので、さすがに使えないアドリブでも「それはダメです」って言いづらい感じで(笑)。
芝田:アフレコブースの奥の方で「使えないだろ」とか言ってたり、OK出しても「どうせ後で切るんだ」みたいなことをおふたりがブツブツ言っていたのを覚えています(笑)。
──それこそアドリブでセリフ自体が変わるようなことはありましたか?
門:台本に書いてあるセリフはそこまで変わらなかったですよね。
梶本:どちらかと言うと間を埋めるというか、キャラクターが背中向くとアドリブ入れるみたいな感じ。あとは「うん」って言ったら、少し間を空けて絶対に何か言うのは定番パターンでしたよね。どうしてもそれを言いたいんだと思って、こちらは子供を見ているような感じになっていましたけど(笑)。
芝田:着地する時に「サチコ」って言ったりして(笑)。
──視聴者からすると、どこまでが台本で、どこからがアドリブなのかわからないところも面白かったです。
(お麩さん)
梶本:多分、視聴率対策だったのかも(笑)。前話の回想から始まると視聴率が悪くなるから、その前に展開を入れてからオープニングにしてほしい放送局からの要望があったと思います。
芝田:放送局の方から「0.1%でもいいから視聴率を上げください!」と言われて、それで視聴率対策で「じゃんけん占い」を入れた記憶があるよ。
門:芝田さんが占いの中身も考えてたんですよね?
芝田:まさか本物の占い師に頼むわけにもいかないから、アフレコの直前に考えて、それを梶本さんに手書きで清書してもらったコピーを声優さんに渡す流れだったと思う。
──そう言われてみると、半分に割ったAパート・Bパートの合間ではなく、全体の3分の2くらいで「ボーボボじゃんけん占い」の前フリからCMに入っていきましたよね。つまり、そのタイミングも視聴者が離脱しないようにしていたと……!
芝田:「じゃんけん占い」以外にも、少しでも早くチャンネルを『ボーボボ』に合わせてもらいたいという放送局の思惑で、19時放送だったのを数分早めたりもしたはず。
そうしたら、放送時間が2分くらい伸びることになっちゃって、最初の5話くらいはどうやって2分も伸ばすかが大変で、あの手この手を使いました。
──やっぱり周囲から視聴率のことは結構言われたんですか?
芝田:何回かテレビ局と相談しましたね。放送枠が朝に移動した後も、裏で放送していた情報番組をみている女性層を呼び込んでほしいと言われて。それで始めたのが「ボーボボじゃんけん占い」なんです。でも、どう考えてもその情報番組とは視聴者が違うから、絶対に無理だよね(笑)。
今だから話せるアニメ『ボーボボ』の歌ネタの裏話
──芝田さんはシリーズディレクターというアニメの軸となる立場でしたが、本作に携わってやりがいを感じたのはどんなところですか?
芝田:アフレコの話数が進んでいくと、みんな伸び伸びとやっている演技の雰囲気がわかるので、コンテを描く段階から「こういう風にしたら、こんな感じで演じてもらえるかも」とイメージが沸いてくるんです。それをアフレコで更に面白く演じてくれるので、どんどん面白さが膨らんでく感じがしたのが楽しかったですね。
──門さんは演出の立場でいかがでしたか?
門:楽しかったことと大変だったことが表裏一体なんですけど、かなりスポッティング(映像と音楽を合わせる演出の一つ)が多かったんですよね。「ボーボボ音頭」にはじまり色々とやったのが印象に残っています。
──たしかに、アニメは歌ネタがかなり多いですよね。原作では歌詞を文字で出して終わるところを、それこそ亀ラップとか田ボちゃんの歌ネタとかもありましたし。
芝田:田ボちゃんはちゃんと専用の曲を作ってもらったんですけど、それ以外は予算の関係で各演出がフリーで使える劇伴から歌詞が乗せられそうなものを選んできてやりましたね。
門:そうしたら何故かやたらと歌ネタの演出が私に回ってくるんです(笑)。
芝田:(門さんに)自分で歌って、アフレコスタジオまで持ち込んだんだっけ?
門:最初はアフレコ現場に丸投げして、アフレコと同時に録っていたんですけど、段々それでは無理になってきちゃったんです。それでCDに自分の歌を録音して、声優さんに事前に渡していました。
──それって仮歌じゃないですか!?
門:仮歌を渡すと事前に聞いてきてくれるので、そうした方がスムーズだったんです。でも、首領パッチ(小野坂さん)はその通りに歌わないんですけど(笑)。
芝田:未だに声優さんの歌よりも、門さんが「カロチン♪ カロチン♪ カロチン摂取♪」って歌っていた姿を思い出す時があって、すごく楽しそうだったよね。
梶本:アフレコでも声優さんに「違いますよ」とか言いながら指導してたし(笑)。
芝田:心の中はどうかわからないけど、声優さんに対しても平気な顔してディレクションをするから、肝が太くてすごいなと思って見ていました。
門:元々そんなにスポッティングは嫌いじゃないんです。『ボーボボ』みたいに大量にやらなければ(笑)。
芝田:「ボーボボ音頭」も門さんにやってもらってね。
門:あれは音頭っぽい曲に無理やり歌詞を合わせて作ったんです。それ以外だと、田ボちゃんの時は、茅原さん(選曲担当の茅原万起子さん)に曲を出していただいて。その回は歌だけで13曲もやったりしましたね。
芝田:歌合戦の回ってそんなに多かったんだ。
梶本:あと、茅原さんといえば「ヨコセヨデパート」のテーマソング。「ヨコセヨデパート」の回は曲よりもアフレコが先だったんですよ。そこで小野坂さんが歌っちゃったもんだから、茅原さんがシンセサイザーで後から伴奏をつけてくださったんですけど、ものすごい大変だったらしくて。
芝田:僕がアフレコ現場で「こんな感じで歌ってください」って言ったのを、小野坂さんがその場で歌ったものに後から伴奏を付けるスゴ技でしたね。
梶本:その回のオンエア後、小野坂さんが「伴奏ついてた!」とおっしゃっていたので、嬉しかったんだなと(笑)。
──シリーズ全体に歌が散りばめられていましたが、スポッティングや作詞は慣れてくるものですか?
門:スポッティングに関しては、ノウハウというかやり方がかなりわかってきましたね。
芝田:アフレコを止めてやると大変だから、歌がある回はセリフを収録した後に、歌をまとめて録るようにしたりもして。
──それら全てを記録するスクリプターも苦労が多かったとは思いますが、その中でやりがいを感じたところ挙げるとしたら?
梶本:編集作業の時に、編集さんが作業しやすいように私がセリフを全部裏で読むんですけど、無口でちょっと怖い感じの編集さんが私の読んだセリフで少し笑ってくれたりして、それがすごい嬉しかった(笑)。
芝田:梶本さんの読み上げは、ちゃんとキャラクターに合わせて声色を変えたりして、めちゃくちゃ上手いんですよ。
──アニメの『ボーボボ』はテンポ感が全然ダレてないのもすごいですよね。視聴者が見ながらギリギリ咀嚼できた瞬間に次のボケが来たりしていて、そこが絶妙だと思いました。
芝田:その辺は編集の時もちょっと気にはしていました。捲し立てるセリフなのに、ゆったりめの尺で演出している時は、編集で間を詰めて捲し立てる感じを強調させるみたいな配慮はしていました。

































