
「ボーボボ じゃんけん占い」は女性層を獲得のため!? 歌ネタには仮歌があった!? アニメ『ボボボーボ・ボーボボ』製作スタッフが当時を振り返る|「ボーボボ展」開催記念インタビュー
アニメ・マンガの歴史の中で燦然と輝き、現在も語り継がれる不条理なギャグマンガ。それが澤井啓夫先生原作の『ボボボーボ・ボーボボ(以下、ボーボボ)』。そのアニメは幾多の困難にさらされるも、放送当時からジワジワと支持を広げ続け、現在では芸能人もファンであることを公言する人気コンテンツとなっています。
そんな『ボーボボ』の展覧会「ボボボーボ・ボーボボ展 DIVE INTO THE BO-BOBO WORLD(以下、ボーボボ展)」が、2026年9月30日(水)より、東京・大阪の2都市で開催!
そこでアニメイトタイムズでは、当時のアニメ製作スタッフであるシリーズディレクター・芝田浩樹さん、演出・門 由利子さん、スクリプター・梶本みのりさんによるスペシャルインタビューを実施。
アニメ放送から20年以上経ったからこそ話せる当時の製作の裏側を、1万字超の大ボリュームでお届けしたいと思います!
あなたにとって「ハジケ」とはなんですか……?
目次
- 監督も人気の秘密がわからない作品
- 「ジャンケン占い」はどうして始まった?
- 今だから話せるアニメ『ボーボボ』の歌ネタの裏話
- 「放送して大丈夫かと思ったのは毎回ですよね(笑)」
- 『ボーボボ』のアニメを見ることで、心のガス抜ができる癒しの一瞬になっているのかもしれません
- 「ボボボーボ・ボーボボ展 DIVE INTO THE BO-BOBO WORLD」概要
- 作品情報
監督も人気の秘密がわからない作品
▲左から、門 由利子さん、芝田浩樹さん、梶本みのりさん
──TVアニメ『ボーボボ』の放送終了から20年以上経ちますが、ここ数年でも舞台化や新規グッズの展開など、新たなムーブメントが起きているのを感じます。アニメを手掛けられたスタッフの皆さんから見て、今の『ボーボボ』を取り巻く状況はどのように感じていますか?
演出・門 由利子さん(以下、門):放送当時はSNSも無かったから、どれくらい人気があるのか、あまりわかりませんでしたよね。
スプリクター・梶本みのりさん(以下、梶本):当時は子ども向けとしては少し刺激的な番組とも言われていましたけど、今も好きでいてくださる方は、そうした声がある中でも見ていてくださったんですね。
シリーズディレクター・芝田浩樹さん(以下、芝田):「放送終了からこんなに時間が経っているのに何で?」と不思議な感覚ですが、刺激の強いものを見た記憶がどこかに残っていて、それで大人になってから見返してくれているのかなと思ったりしています。
僕も子供の時に『ピュンピュン丸』という結構シュールなアニメを見ていたんですけど、大人になっても「なんかあれ面白かったなあ」と思い返すことがあります。それと似たようなことが『ボーボボ』でも起こっているかもしれないけど、実際のところはよくわからない(笑)。
──監督も人気の秘密がわからない作品という(笑)。
門:最近は、うち(東映アニメーション)でもこんな作品はないですし、頭を空っぽにして笑う作品が珍しくなってきたんですかね。
梶本:最近のアニメは重い内容のものも多いから、こういうギャグに振り切った作風が恋しくて思い出す感じなのかもしれません。
──そんな『ボーボボ』という作品のアニメ化のオファーを受けたときのことは覚えていますか?
芝田:前回のインタビューでも話したかもしれませんが、僕はこの作品を全く知らなかったんです。お話を頂いてから原作を読んでみたけど、すごいシュールな内容で「これを普通のテレビシリーズにできるのか?」と不安で。どうアレンジしてゴールデンタイムに流せるアニメにするか、悩みながら製作を始めたんです。
原作の澤井先生が『ドラゴンボール』が好きだと言っていたので、とりあえず「少年漫画風のアクション」があると引きになるんじゃないかと思ったり、その雰囲気で視聴者を捕まえてから原作のテイストを全開にしていけば良いかなとか色々と考えていました。
でも、門さんが担当した第2話が、原作の雰囲気をテンポ良く演出してくれてすごく面白かったんです。それで、変に小細工しなくても原作のテンポや雰囲気を活かせば面白くなるのが段々わかってきて、あのアニメの形になりましたね。
──当時、門さんはどんな風に考えて第2話を演出されたんですか?
門:私が演出になりたての頃だったので、全体的に経験値が少なくて、しかもナンセンスギャグみたいなアニメは演出助手時代にもやったことがなかったんです。とりあえず原作を読んだんですけど全然わからなくて(笑)。でも、読み進めるうちに5巻目くらいで何となく理解できてくるんですよね。
そんな時に芝田さんが「ただのギャグアニメではなく、ドラゴンボールや北斗の拳のように、ちゃんとヒーロー的な見せ方もするんだ」といったことを全体会議で言われたんです。
でも、『ドラゴンボール』や『北斗の拳』も自分の引き出しには無くて、しかも第2話だと他の方が演出されたものを見られないうちに製作に入るしかなかったんです。だから、『すごいよ!!マサルさん(セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん)』とかを参考にしながらギャグのテンポ感とかを探ったりして。悩みながら努力してあの第2話ができあがりました。
──梶本さんは「スクリプター」というアニメ製作では珍しいポジションですが、まずはどういったお仕事されているかをお伺いしてもいいですか?
梶本:台本の発注とか、編集やアフレコに立ち会って進行のサポートをしたり、他の会社だと製作進行がやる仕事を代わりに担当するような、うちの会社にしかないポジションですね。
芝田:編集とか音響周りの人に、彼女を通して演出プランを伝えてもらったりもしているんです。
梶本:声の加工や効果音ってオーディオディレクターの担当だと思うんですけど、うちの会社はオーディオディレクターではなく、私のようなスクリプターが間に入って連絡したりしています。
芝田:シリーズディレクターと同じようにスクリプターも全話に携わっているので、実写映画やドラマの現場にいるスクリプターみたいに前後の話数で作画や設定の違いがあったら彼女が教えてくれるんです。あと、その回の演出がキャラクターの言葉遣いや台詞回しをちゃんと理解しないで変えていたら指摘してくれたりと、作品全体の統一感を作ってくれるポジションですね。
──業務内容を聞くとなおのことアニメ『ボーボボ』の現場は大変そうです……。
梶本:セリフが多い作品なんですけど、そのテンポ感を出すために、音楽も他作品の倍くらいの曲数を使っているんです。一般的なアニメは1話に対して20曲前後なのが、アニメ『ボーボボ』は40曲くらい使っていて、それに加えて効果音もかなり多かったのが印象に残っています。
──当時のアニメ製作現場の雰囲気はどんな感じだったんですか?
芝田:最初は手探りだったのが「これは作りながら楽しんでいい作品なんだ」とわかってくると、コンテを描いてても面白いしアニメーターにカットを描いてもらってても楽しい作品でした。アフレコに行ってもみんなハチャメチャで、声優さんが演じているショーを見ているような、仕事なんだけど一緒に楽しみながら作っている感覚の製作現場でしたね。
門:割と自由な雰囲気でしたよね。
芝田:これから力を伸ばしていくタイプの若手の演出も多かったので、「鼻毛真拳」や「ボーボボ劇場」のバンクや決め事を使ってもらえたら、あとは各自の裁量に任せて好きにやってもらいました。
もちろん地上波の放送的にまずいようなことが起こりそうだったら、僕が口を挟んで調整しましたが、基本的には各演出の好きなようにやってもらっていました。
──『ボーボボ』は枠におさまらない作品というか、枠におさめてしまうとハジケられない作品ですからね。
芝田:原作にあるパロディ要素も、毎回その元ネタを澤井先生に確認するわけにいかないので。そこは各話の演出の解釈に任せていました。
梶本:原作はゴールデンの時間帯のテレビ番組のパロディが割と多いんですけど、作っている私たちはその時間帯にテレビを見られない仕事をしているので(笑)、読んでいて元ネタがわからないパロディも多かったですよね。原作に合わせて作っていたら「これはダメなんじゃない?」って周りから言われて初めて気付いたりして。
芝田:実は第1話のサブタイトル【「毛魂」と書いて「スパークリング」と読ませたい…】も現在のものに決まる前は「スパークリング」の箇所に、「バーニング」って単語が入っていたんです。でも、とある偉いプロデューサーから似たような名前の会社があるから変えてください」と言われて、驚きながらアフレコ当日に変えたこともあります。
──今回、ハジケリストたちから皆さんへの質問を募集したのですが、そんなギャグやパロディに関するものも幾つか届いていました。
(MaedaBaisonさん)
──原作だと獄殺3兄弟がマシンガンを乱射し、対抗するボーボボたちがボンタンを投げつけて反撃するするシーンも、アニメではマシンガンがレーザービームに、ボンタンがスポンジたわしに変更になるアレンジもありました。
芝田:その辺りはプロデューサーがすごく気にしていたんです。食べ物を粗末にする系のネタをテレビでやると、結構クレームが来るんですよ。それでボンタンを投げるのをやめようとなって代わりを考えた時に「スポンジたわしを投げたら面白いかな」と思って(笑)。
──あとは、原作ではソフトンの「ナスカ」という技に対して、すかさずボーボボが「ナス、カと見せかけて花のあすか組!」と言うパロディがあったのが、アニメでは全く違う演出になっていたりと色々と印象に残っていますね。
芝田:『花のあすか組!』は『ボーボボ』のプロデューサーの梅澤淳稔さんが監督した作品だから、そこはわかって止めたんだろうね。
あとは「サービスマン」はあまりにも某オバケみたいなキャラクターだったから、あれはプロデューサーとも話して全く違う感じに変えたりして。
──アレンジ周りだと、オープニングに関しての質問も頂いています。
(MaedaBaisonさん)
芝田:面白そうで個性的なキャラをバンバン出していくというのがオープニングの王道の演出なので、あんまり後先考えないで入れたのが大きいですね(苦笑)。見た目のインパクトがあるキャラだったので登場させただけで、当時はあまり敵味方とかは考えていなかったかもしれません。
あと、少年マンガの王道パターンに「敵として登場しても最後には仲間になる」というのがあるので、連載中だった原作もそうなるかもしれないと推測して入れていたのかもしれないです。

































