
秋アニメ『マジカル★エクスプローラー』島﨑信長、加隈亜衣、大西沙織インタビュー|瀧音幸助はヒロインたちを助けたい、幸せにしたい、その気持ちが前提にある熱いキャラクター
こういう作品は照れずに一生懸命お芝居をすればいい!?
――加隈さんと大西さんにはご自身が演じられるキャラクターの印象もお願いしたいです。
加隈:リュディは皇女として生活しているので、身の回りにいる人がずっと変わらないんです。だから立ち居振る舞いや自分の生まれを大事にすることを課せられているのですが、幸助と喋る時はその枷が外れます。信頼があってのことですが、そうやって普通の女の子らしい表情を見せられるところが素敵だなって思うんです。食べ物への執着が強めなところをはじめ、「ここはわかるな」って共感できるところもありましたし。
ただ、演じていて下品にならないようにという点は気を付けていました。物語が進むにつれてリュディ以外にも色々な女の子たちが登場するのですが、それぞれ憧れを持たせてくれるような子たちの中でも、リュディはより上品さを出したかったんです。そんな上品さが崩れる時はギャップがあるといいますか、ちょっと雑さが出てくるのですが、そうなってなお可愛らしく見せるためにも向き合わなきゃならない子だと思っていました。
そのためにはどうしたらいいんだろうと悩むことがありましたが、この作品自体が演者も含めて演出やその熱量の方向性の示され方を見ても、手を抜いたら振り落とされるような感覚がありました。だから、その方向性で臨ませていただけたのはありがたかったです。
大西:雪音は風紀会の副隊長を務めるような実力者で、ゲームの中でもかなり戦闘に特化した強いキャラクターという設定です。演じる上で特に考えたところは正直なく……本当に真っ直ぐ過ぎるぐらい真っ直ぐな女の子なので、私も変なことは考えず強く、幸助[隼佐2.1]をサポートすることに全力を注ぐように演じていました。
――島﨑さんはおふたりが演じられるキャラクターについて、どんな印象を持たれていますか?
島﨑:リュディも雪音先輩もいてほしいところにいてくれる感覚があります。リュディは『マジエク』のパッケージ1番手のヒロインで、きっとゲームの攻略順も最初から解禁されている。隠しルートや別ルートで真相に迫ったり、特定のヒロインを攻略した後でないと攻略できないようなことがないその王道感が凄く良いですし、個別ルートがあること前提のキャラクター造形だと思わせてくれるんです。
例えば外伝やIFルートがある作品は別ですが、ずっとハーレム状態で物語が進んでいくと、各々のヒロインとのエピソードはあったとしても、誰かひとりとグッと心の距離を近づけるような展開は難しかったりするじゃないですか。
この作品は世界観の基になったゲームが存在していて、それが美少女ゲームだという性質上、ひとりひとりのヒロインにしっかり人生や人柄があって、色々な掘り下げがなされている。もう本当にゲームだったら、個別ルートがあるんじゃないかと考えてしまうんです。
その空気感はおふたりのお芝居からも漂っていて、例えばリュディなら高貴な人だけどちょっと世間知らず、なおかつツンデレ。こうして属性だけを並べると薄っぺらく聞こえてしまいそうですが、しっかり感情の豊かさやギャップが見えてくる。ギリギリ下品にはならないところを攻めているんですよね。
あまりにも美味しくなさそうな料理を食べることになって「おえー」と吐いてしまうシーンがあってどうしたらいいかと思っていたら、ここはしっかりやろうとなったことがあります。でも、加隈さんが演じればドン引きするようなエグいものにはならなくて、キャラクターの魅力や引き出しに繋がりました。それをみんなが理解しているので、リュディはテンプレっぽいツンデレキャラクターかのように見えて、王道らしい広がりがある味わい深い子だという印象を持ちました。
――雪音についてはいかがですか?
島﨑:雪音先輩は一見王道っぽいのですが、ぶっ飛び具合が凄まじい。例えるならゲーム本編ではなくて、ファンディスクのお遊び部分ではっちゃけたところをちょっとだけ見せてくれるイメージです。この人、放っておくとどんどん面白いことになっちゃうぞとファンのみなさんも思ってくれるはずです。
真面目も行き過ぎると、こんなにも面白くなるんだっていうところがあるんです。そんな雪音先輩を大西さんが思いっきり演じてくれるので凄く楽しい。あとは作中での描かれ方的に、雪音先輩は幸助が前世でゲームの『マジエク』を遊んでいた頃から推していたキャラクターなのですが、中でも抜群の戦闘力を誇っているので随所でそれが対応の仕方にも現れています。
ちゃんと実力者だし、そのために積み重ねをしたことも感じられる。だからこそ、一見王道に見えて実はエッジの利いたギャップや緩急がある……けれども基本的に凄くしっかりした先輩だというところが魅力的なんです。
大西:クールでしっかりした強い先輩みたいな要素は私にはないかもしれませんが、その緩急の部分は似ているといいますか。そうやってシンクロした部分はあったかもしれません。
島﨑:それは、大西さん自身の真面目さから来ているものだと思います。やっぱり、一生懸命も真面目じゃないとやれません。さらに、そうやって一生懸命にやった結果がぶっ飛んでいたというだけの話なんですよ。そういうところも大西さんと繋がりますし、雪音先輩も真面目で良い人だなっていう一面はずっと残っているので、やっぱりお芝居って演じる人の人柄みたいなものが結構乗ってくる。それが見ていて面白いなと改めて思いました。
――アフレコ現場の雰囲気や、収録中のディレクションなどはいかがでしたか?
島﨑:ディレクションは我々が新人の頃からお世話になっているディレクターさんで、それこそ『マジエク』的な作品を平成の時代からディレクションされているところをたくさん見てきました。そこからさらに洗練された上で、今の令和の時代に立ち向かおうという雰囲気もありましたね。
だとすると僕らとしてもその要望に応えるものを出さなきゃならない。そんな考えを持ちつつ昔からお世話になってきた方に、十数年の時を経た今あらためて、こういう作品を作るのならば僕たちはこれだけやれますと見せられた感覚がありました。
特に幸助とヒロインたちが絡むシーンの中では、意図的に吐息を多めにすることで、全然そんなシーンではないのにそういう雰囲気を感じさせるシーンに仕上げたりしました。
加隈:そうじゃないんだけど、そういうシーン……みたいなね。
島﨑:僕らとしても最初はどうしようか頭を悩ませるのですが、結局その場で振り切ってやるしかないよねってなったんです。
加隈:改めて見ると、信長さんは振りきれていて凄いなって思っていました。
島﨑:そこは振りきらないと。ああいうシーンは照れたら駄目なんです。
加隈:幸助なんだけど幸助じゃなくて、なんだか男の夢が爆発しているんだろうなと思わせてくれる。そういう感動すらある印象でした。
島﨑:僕らがそうやって迷っていると、ここはこうしようってギュンと鋭いディレクションが飛んでくるんです。ここにビタビタのいい球を投げてくれ……みたいな。しかも、その内容がちょっとトリッキーだったりしました。
加隈:幸助に関してはそれが正解だとど真ん中を通っていくようなお芝居で切り抜けていましたが、雪音の息が上がっているシーンなんて、ディレクターさんから「あっす……」だよみたいな指示が飛びました。
――「あっす……」ですか? それは一体……!?
島﨑:あったあった。
加隈:大西も「あっす……」が何なのかよくわからないまま演じたのに、なぜかOKをもらってたよね。
島﨑:あれが面白いんですよ。極まった時の息だとか、それを表現するために文字にすると「あっす……」かもしれないなと。やっぱり息遣いがお芝居では大事になってくるので、たとえよくわかっていなくても、ディレクションに対する迷いはありませんでした。
そういう一見「え?どういうこと?」と驚くようなディレクションでも、信じてやったら絶対面白くなる。これは今まで関わらせていただいた作品や見てきた作品での信頼があるのが大きいかもしれません。
「あっす……って何?」と思ったとしても、そういうのが面白くなると信じて最大限の「あっす……」をやる。そういう信頼感がありましたし、みんな一生懸命でアットホームな雰囲気でやれたので凄くいい現場でした。
大西:親の前で発表会に出演する時のような、妙な緊張感がありませんでしたか? どうにかして上手に頑張らなきゃと気負ってしまいますよね。
島﨑:あるある。でも今すぐ思いっきりやるしかないとがむしゃらに頑張っていた当時の気持ちを思い出せたかもしれません。逆に上手にやろうとすると大体転んでしまう。ならもう当時と同じように一生懸命やるしかないので、緊張感から収録に入ってそうなっていったのは良いことだったと思います。
――本当に一昔前を思い出すようなお色気シーンがある作品ですが、幸助があまりにも全力なのでそういうシーンでも爽快感が先に来るような感覚がありました。
島﨑:意外と爽やかなんですよね。今はオタクカルチャーもメジャーになりましたが、その中でもサブカルに寄った作品は、今の時代、もっと過激な表現のものがむしろ多々あると思っています。
対する『マジエク』はというと、ちょっと笑えるところがあってエグくはない。今はそういう作品も出てきている印象がありますし、それはそれで面白いのは間違いありません。けれど、『マジエク』はそういう作品ではないんです。そういう作品に比べたら、別に大したことはしていない……と感じてもらえるはずです。
もちろん大したことはしているんです。だけど、今のみなさんがそういう過激な作品を知っているからこそ、溢れんばかりの平成感がそれを中和してくれている。だからこそ、僕はこの作品はおそらくいけるだろうなと思っているところがあります。
本当にこういう作品は一生懸命やればいいんです。そうすれば爽やかな空気になりますし、無理にダークな雰囲気を作ろうとしたり、余計なことをしたりしなければいいんです。そこはもう経験則なので、実際にお芝居する時はそこまで気を遣うことはないですね。
だって幸助としてはみんなを一生懸命救おうとしているだけ。もしゲーム知識を使ってハーレムを築き上げる作品だったとしたら、その時点で主人公には不純な動機があるじゃないですか。そういう作品ならその方が面白いのは間違いありませんが、『マジエク』はそうじゃない。
前提としてヒロインたちを助けたい、幸せにしたい。その気持ちがど真ん中にあるので、幸助を演じる僕もその気持ちでやればいいんです。なぜなら幸助はラッキースケベ的なことを狙ってやっていない。
偶然そういう事態に巻き込まれることは多いので、本当にビックリしたり、動揺したりすることはあるんです。ただ、本当にそんなつもりはなかったんだけど、それはそれとして喜びはしますぐらいなんです。そういうところが気持ちのいい男だなと考えて演じています。
大西:確かに、幸助が行きあうちょっとエッチなハプニングって、自分で狙って拾いにいっているものはないんだよね。
島﨑:本人的にも避けようと努力はしているんです。だけど作品の設定がもうそれなので、いたるところにそういうトラップが配置されているから回避ができない。それにハマったリュディたちを見たいがためにダンジョンに連れていくのではなくて、あくまでみんなを幸せにするために必要なアイテムがそこにあるから……というのが理由なんです。
加隈:申し訳ないっていう気持ちをちゃんと持ってくれているもんね。
大西:第3話なんて土下座しながら「すいません!」なんてお願いをしてきたよね。そこがまた不快感を感じなくて良いんです。
島﨑:どうしても必要なんですってもう必死でした。後は幸助自体が実際気持ちのいい男なので、その通りにやれば大丈夫なのかなって思っています。





































