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『ホタルの嫁入り』ネタバレあらすじ&考察解説

愛が重い殺し屋×華族令嬢が織りなす――契約結婚ラブサスペンス漫画『ホタルの嫁入り』あらすじ・考察・魅力を紹介!【ネタバレあり】

2023年1月1日より、コミックアプリ「マンガワン」とWEBコミックサイト「裏サンデー」にて連載が開始した橘オレコ先生最新作『ホタルの嫁入り』。

第3巻までで驚異の100万部突破(2024年2月現在)、「全国書店員が選んだおすすめコミック」第1位、「電子コミック大賞2024」大賞と話題沸騰中の本作は愛が重い殺し屋×華族令嬢が織りなす契約結婚ラブサスペンスが描かれています。

そこで本稿では、単行本最新巻までのあらすじや考察、魅力をご紹介します!

※本稿は作品のネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

第1巻〜第3巻のあらすじを紹介【詳細なネタバレあり】

紗都子の病、迫り来る脅威

由緒正しき華族・桐ヶ谷家の紗都子は心臓の病に脅かされるヒロイン。母は幼い頃に他界し、現在は父、義母、(義母との間に生まれた)妹とお屋敷に暮らしています。

義母&妹との関係は芳しくなく、家での味方は父のみでした。結婚すること、ひいては“家柄の良い男性と結婚すること”が女の幸せであるということが作中の節々に描かれており、紗都子もまたこれを信じてやみません。

そして慕っている父の願いは自身が結婚して幸せになること。愛娘ですから、病のことを受け入れてくれて、共に歩んでくれるパートナーを見つけて欲しいという願いは自然なことだと思います。

 
紗都子はその容姿の美しさから縁談は引く手数多でしたが、やはり病が気がかりなのか結婚には後向きな姿勢も見られました。どちらかというと、父の願いに応えたくて、父に恩返ししたいから家柄の良い男性と結婚しなくてはという意識の方が強いのでしょう。

そんな日常の中で、突如訪れた誘拐事件。護衛と町へ出かけている最中、不審な人物たちに攫われ、監禁され、さらには殺されそうになるのです。

進平との出会い

監禁されていた中で登場したのが殺し屋・後藤進平です。最初の進平は誘拐犯たちに雇われていたため、「9時になったら紗都子を殺す」役目も任されていました。

しかし、紗都子は殺されることを回避すべく、桐ヶ谷家という家名を武器に(この場を脱出するための方便で)「私たち結婚しましょう!」と唐突に進平に提案しました。面白いことを言う、と進平も笑いながら全く信用していませんでしたが「結婚」というものに興味を示します。

監禁部屋から連れ出し、追っての誘拐犯たちを次々っと斬っていく進平の姿は人ならざる冷たい存在にも感じてしまうのですが、血塗られた進平に口づけをし自身の病のことを明かすと今度は進平の方から「結婚しよう」との言葉が出てきました。

人を斬った(殺した)後に接吻してくれるなんて最高だと、運命の相手だと、出会った当初とは打って変わって紗都子に好意を寄せる進平。「俺ちょっと愛が重いけど 幸せにするよ」と、このシーンより​​愛が重い殺し屋×華族令嬢のラブサスペンスが始まります。

天女島での遊女生活

天女島とは、法律の埒外の場所(だから進平が刀を所持していても問題ではない)。外部へ自由に出入りが出来ないけれど、遊女になって裕福な客に見受けしてもらうことができれば天女島から出ることが可能です。

客層は政治家や警察官など立場ある男たちで、皆お忍びでこの島を訪れます。

紗都子が務めることとなった遊女屋「いせ吉」は最下級の店。ここで暮らすにつれ、紗都子は進平がこの島一帯の遊女たちを守る用心棒を担っていることを知ります。

遊女たちの中には進平に憧れ慕う者もいて、女の嫉妬、陰湿ないじめなどが紗都子に襲い掛かります。また、1番最初の客・新渡戸栄進は警視総監の息子で、身の上を正直に話すや否や出会って早々に身請け話を提示されます。

警視総監の息子、家柄的にも申し分ない(父もきっと喜ぶ)。そう思う一方で、ここまで助けてくれた進平を裏切ることへの罪悪感にも似た感情がよぎります。

しかしそんな場面で、他の遊女たちの悪戯で誤って酒を飲んでしまった新渡戸の態度が一変(二重人格が登場)。紗都子を押し倒し乱暴をしようとします。衣服がはだけると鎖骨下から腹部にかけた大きな手術痕が露わになり、ギョッとする新渡戸。

「女として致命的」と言い放つも顔と家名の良さから身請け話は生かしてやろうと。しかし、紗都子は身請け話を断るのです。そして逆上した新渡戸が紗都子の首を絞めた瞬間、進平が刀を振りかざしながら登場します。

時間は経ち、酒が抜けると新渡戸の人格は元に戻り島を後にするのですが、その際に紗都子から不可侵の島に囚われている旨の伝言を預かっています。

天女島からの脱出計画

3巻では、進平の取り計らいで秘密裏に天女島を出ることになります。しかし、誘拐犯のひとり・三枝率いる連中たちが行く手を阻み、紗都子を守りながらの争いだったため進平は重傷を負ってしまいます。

結局、脱出は失敗に終わり遊女屋で進平の看病をする紗都子。死んでしまう可能性の方が高いという事実を知り、力無い様子で進平に健気に寄り添い、看病していました。

 
進平が目を覚ますと、紗都子が涙を流しながら訴えかけるのですが、このシーンから徐々に紗都子の進平へ対する態度が表面化していったように思います。元々、他の遊女と密着している進平を見てモヤモヤするシーンなどもありましたが、3巻の紗都子には「愛」を感じるし、紗都子の感情の揺れ動きを知ることができることでしょう。

そんな紗都子の様子を見て「これが愛か…」と進平が必要以上に「愛」と言う言葉を連呼する場面もあり、2人の関係も以前よりフランクになりました。

そして3巻の終わりにはついに、あの時紗都子を護ることが出来なかった桐ヶ谷家の従者(護衛)・小川康太郎が天女島の紗都子がいる遊女屋を訪れます。未だに明かされていない誘拐事件の真相にもグッと近づく4巻に期待が高まります。

タイトル「ホタルの嫁入り」の伏線

2巻第9話では寝込んでいた紗都子のもとに進平がホタルを捕ってくるシーンがあります。部屋から出ることができない紗都子に対し、ホタルを室内へ放って、これで外も同然だと「どこにいたって俺が紗都子を自由にしてあげる」という場面は名シーンとも言えるのではないでしょうか。

また、室内で美しく輝くホタルを見て、ホタルという生き物は地上で生きられる時間が短く、すぐに死んでしまうと進平が話すと紗都子が自身にホタルの生涯を重ねるような描写もありました。

このことを踏まえるとタイトルにもあるホタル=紗都子であり、「嫁入り」の言葉から最終的に進平と結婚することを示唆しているとも捉えられます。とはいえ、本作の第1話ではホタルが光る場所で謎の老人(紗都子の父または進平?)が紗都子(と思わしき人物)からの手紙を読みながら、涙を流すシーンが強調するかのように描かれています。

手紙には「愛してはいけない人を愛してしまいました。私はとても幸せでした。」と綴られており、紗都子の病を考えると紗都子が先立ってしまった(または駆け落ちした)とも受け取れるシーンなので、この冒頭部分が今後のストーリーにどう関係していくのか注目です。

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