映画
『ゴジラ-0.0』山崎貴監督インタビュー前編

「あのとき見たかった絵が自分で作れる」キングギドラ登場の裏側――『ゴジラ-0.0』監督・脚本・VFX 山崎貴さんインタビュー前編

世界中を熱狂させた『ゴジラ-1.0』のその先へ――映画『ゴジラ-0.0』(ゴジラマイナスゼロ)が2026年11月3日(火・祝)より全国で公開中。

主人公・敷島浩一(演:神木隆之介)や敷島典子(演:浜辺美波)ら前作を生き抜いた面々が続投するほか、天才気象予報官・青山眞琴(演:長澤まさみ)をはじめとした新たなキャラクターも登場。ゴジラ襲撃から2年が経過した1949年の日本を舞台に、もがき苦しみながら復興を遂げようとする日常へ、新たな絶望が襲いかかります。

アニメイトタイムズでは、前作に引き続き監督・脚本・VFXを務める山崎貴さんのインタビューをお届け。数々の賞に輝いた前作という“巨大な壁”にどう立ち向かったのか。キングギドラ登場の裏側や「ゴジラだからこそ描けた」と語る今作のテーマについて伺いました。

 

 

単純にキングギドラが好きなんです(笑)

──まずは映画が完成した今のお気持ちからお願いします。

監督・脚本・VFX・山崎貴さん(以下、山崎):やっと終わったという感じですね。前作も相当ハードでしたけど、今回はそれ以上にハードな日々でした。大変だったのは僕というよりは、白組のスタッフの方ですが……。みんな欲張りすぎて、(VFXの)情報量を多くしすぎて、なかなかレンダリングが終わらないとか、シミュレーションが終わらないとか……。なんとか映画が完成して、今はほっとしています。

──続編の企画は、いつごろから動き出したのですか?

山崎:「ゴジラ-1.0」の初号試写の際に、観た方の反応がとても良かったんです。当時は全く念頭に置いていませんでしたが、「この続きを見たい」という声が多かったので、続編を検討し始めました。そこから1か月後くらいに今作『ゴジラ-0.0』のファーストプロットを出して、『ゴジラ-1.0』の公開日初日に正式に続編をやろうと決まりました。

──キングギドラを登場させようと思ったきっかけは?

山崎:単純にキングギドラが好きなんです(笑)。首が3つもあるところがとにかく好きでした。 僕は1964年の辰年生まれなのですが、キングギドラが映画(『三大怪獣 地球最大の決戦』)で初登場したのも同じ1964年なので親しみがありますし、おそらく辰年だったから竜の怪獣だったのではないでしょうか。

加えて、僕は松本出身なのですが、小学校3〜4年生の頃に『三大怪獣 地球最大の決戦』のリバイバル上映が地元であって。ポスターの下部分に貼ってある一色刷りの紙に「キングギドラ松本に来襲!」と書いてあったんですよ。そこで僕は親と取引しまして、「これから先、一切映画に連れていってくれなくていいから、この映画が見たい!」と言って、連れて行ってもらったんです。すごく楽しみにして観たら、キングギドラは確かに松本に来たんですが、松本城の上をビューっと通り過ぎて、お城の瓦がぱらぱらって落ちただけで終わったんですよ! 「このために僕は、将来映画に連れて行ってもらう権利をすべて放棄したのか」と思ったら、もう悔しくて、せつなくて。ずっと根に持っていました。大人になって改めて観たら、面白いし、好きな映画なんですけど。

今回の続編の話をいただいたときに、単独ゴジラ作品でもいいですが、今まで見たことがないような、怪獣同士の死闘も作ってみたかったので、敵怪獣を出そうと。何にしようかと考えたときに、当時の思いがよみがえってきたんです。もともとキングギドラは好きだし、「あのとき見たかった絵が自分で作れる!」と。当時の自分に「これだろ、見たかったのは!」といえる映画が作れる千載一遇のチャンスがやってきたと思って。個人的な敵討ちの気持ちで、キングギドラを選びました。別に故郷をことさら押したいわけではないんですが、キングギドラはアルプス山中から現れる設定なので、ごく自然に松本も出せるのもいいなと思ったんです。

──キングギドラが松本城を壊すシーンがありますね。

山崎:あれが子供のころ見たかった絵です。当時、映画を観に行ったとき、キングギドラが松本城を壊すものだと思っていたんですよ。怪獣映画にお城が出てくれば、怪獣は当然それを壊すのがお約束ですから。

──あのシーンが完成したときはどういうお気持ちでしたか?

山崎:55年間追い続け、探し続けてきた敵をようやく見つけた感じです。55年越しぐらいに夢が叶った瞬間ですから、なかなか執念深いですよね(笑)。

小学生のときの思いを成就できるチャンスって中々ないと思いますが、そういうチャンスを与えてもらえるポジションにいることに対しても感謝しています。そもそも、ゴジラ映画を作るということ自体が夢だったので、人生をかけて、子どものころに思ったことを成就できている幸せをかみしめなければいけない。更に言えば、今回のようにもっと細分化された、具体的なことが実現できているのは非常に幸せなことです。仕事なので大変だと思ってしまうこともありますが、「大変とか言ってる場合じゃないだろ! 松本城を壊すんだぞ!観たかったシーンを作るんだ!」と自分を鼓舞して(笑)。できあがった映像を見て、「やったよ!」という気持ちです。

──二式大艇を出した理由も教えてください。

山崎:僕が人生で最初に作ったプラモデルはおそらく「二式大艇」なので、思い入れがものすごく強くて。 昔、船の科学館に展示されていた二式大艇を見に行ったことがあるんですが、かなりぼろぼろの機体にペンキを塗った感じで、コクピット周りも全然再現されてなくて、すごく残念だった思い出があるんです。劇中に登場する、「化け物並みに改造した二式大艇」は、アンテナがたくさんついていますが、あれは僕の好きなフォルムで、エンジンもB-29のパワフルなものを積んでいます。極限性能を持った実験機としての二式大艇が出せて嬉しかったです。

 

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