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- わたなべみきこ
- 出産を機にライターになる。『シャーマンキング』『鋼の錬金術師』『アイドリッシュセブン』と好きなジャンルは様々。

ジャンルを問わず日頃から様々なアニメを楽しんでいる筆者は、ここ数年で急にキャストクレジットでよくお見かけするようになったと感じる方がいます。永瀬アンナさんです。
最初の頃は主人公ではないものの、物語の重要人物的なポジションのキャラクターを演じられていましたが、徐々に主人公やヒロインといったよりメインとなる役どころを務められるようになってきました。
クレジットで名前を見かけるたびに、どんどん永瀬さんへの関心が高まる私。さらに出演作を調べて実際に見てみると彼女のお芝居のすごさに舌を巻くばかり。
そこで本稿では、永瀬アンナさんの出演作品を紹介しつつ、僭越ながら私が感じたお芝居のすごさを語らせていただきたいと思います!
永瀬アンナさんは東京都出身の3月31日生まれ。2020年4月に声優事務所・81プロデュースに所属し、アニメ作品には翌年から出演されています。
2022年に『サマータイムレンダ』の小船潮役で初めてのヒロイン役を務め、その翌年には『呪術廻戦 懐玉・玉折』に作中の重要人物である天内理子役で出演。
さらに、2026年には『あかね噺』の桜咲朱音役、『氷の城壁』氷川小雪役と主役を務める作品が立て続けに放送されました。
今ご紹介した4人は全員が中高校生であるという共通点があるのですが、正直私は全部永瀬さんが演じられているとはわかりませんでした。頭ではわかっていても、同じ人の声に聞こえないのです。
よくよく聞いてみると、声質そのものは大きく違うわけではありません。ではなぜ同じ人の声に思えないのか考えてみたところ、声がまとう雰囲気がキャラクターごとに全然違っており、それによって同じ人の声だと認識するのが難しいのだという結論に至りました。
ここからは各作品ごとの注目ポイントやキャラクターの違いをご紹介していきます。
今年の春に放送された『あかね噺』。永瀬さん演じる桜咲朱音が落語家を目指す物語です。永瀬さんは朱音を演じるにあたり、およそ1年間に及ぶ落語の稽古をつけてもらっているのですが、稽古期間もさることながらその本気度が並大抵のものではありません。
稽古の様子がYouTubeで公開されているのですが、本当に1から落語を学んでいるのです。作中で登場する演目だけを練習するのではなく、最初は尺の短い「つる」という演目で落語の基礎を固め、そこから作中で登場する演目を習得していっています。
さらに、アニメ関係者数十人を相手に実際に高座も披露しており、その出来栄えはたった半年で身に着けたものだとは思えないほど。他の仕事もあるだろう永瀬さんが寸暇を惜しんで稽古に打ち込んだのだろうことがうかがえます。
しかも、永瀬さん本人がただ落語をやるだけではなく、桜咲朱音として落語をやらなければなりません。日常パートでのお芝居では明るく溌溂とした性格と落語への強い思いを持った朱音をしっかり演じられており、落語パートに入ってもその人柄がきちんとベースとして感じられます。
本作の中で朱音が落語を披露する場面は何度も出てくるのですが、中でもクライマックスで披露された「寿限無」が本当に圧巻でした。「寿限無」の肝となる長すぎる名前の言い立てが本当に見事で口の中どうなってるんだ……と困惑してしまいます。
さらに、会話劇である落語には老若男女の全く違うタイプの登場人物が複数出てきます。朱音を演じながら落語の中の登場人物も演じ分けられていることがはっきりわかり、“芸”とはこういうものなのだと心から思いました。
永瀬さんが積み上げた稽古の成果と声優としての高い技術がたっぷり味わえる『あかね噺』。YouTubeで公開されている「落語稽古篇」とともにぜひ見ていただきたい作品です!
現在第2期が放送されている『氷の城壁』は、過去の経験から心を閉ざしている氷川小雪が少しずつ周囲の人と関わりながら変化・成長していく物語です。
小雪は先ほどの朱音とは全く違う人柄の女子高生。人と関わることが苦手で一見するとクールな印象ですが、実際は繊細な心の持ち主であり、周囲とのかかわりが増えていくにつれて表情も豊かになり本来の人柄が表れるようになります。
春に放送されていた第1期の序盤では、幼馴染の美姫以外とは打ち解けていなかったため、他者との会話はかなり冷淡な印象。ですが、美姫と話すときは声色が柔らかくまるで違う印象を受けます。
さらに、小雪はコミュニケーションが苦手なためオドオドすることも多いのですが、怖がったり困惑したりするお芝居も不自然さが一切ありません。現時点で永瀬さんがオドオドキャラを演じている作品はあまりないので、他キャラとは全く違ったお芝居を楽しめるのも『氷の城壁』のいいところですね。
そして第2期まで話が進むと、恋愛事情が複雑に絡み合って苦しい展開に。モノローグの多い小雪の心情をしっかり汲み取って表現されており、見ているこちらまでつらさが伝わり胸に迫る思いがします。
何か大きな出来事が起こるわけではなく、高校生たちの関わり合いで生じる小さな感情の変化が魅力の『氷の城壁』。感情の機微を的確に表現する永瀬さんのお芝居は本作の要だと言っても過言ではないでしょう。
私が永瀬さんのお名前をはっきり認識したのは『呪術廻戦 懐玉・玉折』の天内理子でした。
理子は作中世界(呪術界)の要である「天元」と同化して初期化を担う「星漿体」という特殊な体質を持った少女で、生まれた時から天元と同化する宿命を背負い育ってきた人物。同化を果たすと大切な人とは一生会うがことができなくなってしまいます。
特殊な能力は持っておらず、星漿体であること以外は普通の女子中学生である理子。身内には尊大にふるまうお嬢様気質なところがあるものの、学校には仲の良い友達もいます。ですが、彼女には同化以外の未来はありません。
その宿命を覚悟している理子。普段は明るくはつらつとしており、悲壮感はまったく感じられません。そんな彼女を永瀬さんは「普段のはつらつとした明るさは、「まだみんなといたい」、「もっと生きていたい」という本音を押さえつけるためなんじゃないかな」と分析し、誰よりも元気に、突き抜ける明るさを意識して演じたとインタビューで語っています。
理子が同化直前で胸の内に秘めた本音を打ち明けるシーンが際立ったのは、それまでの突き抜けた明るさのお芝居とのギャップがあったからに違いありません。
14歳の少女が自分の役目を果たすために本音を必死で押さえていたことが痛いほどに感じられ、彼女が泣きながら「もっとみんなといっしょにいたい」と吐露するシーンは胸が締め付けられる思いがします。
その直後に心を粉々に砕く展開が待っているわけですが、そうなるのも初めて本心を見せた彼女の未来が少し明るくなったように感じさせる声のお芝居があるからこそ。
あの「……うん!」の一言は本当に素晴らしく、何度も聞きたくなるのですがそうするとそのあとの鬱展開もセットでついてくるのがしんどいところです……。
元気ではつらつとした姿から、悲運を受け入れる覚悟がありつつも年相応の女の子らしい本心を打ち明けるところまで感情の振り幅が大きい天内理子。こんな複雑な役柄を演じた当時、永瀬さんは17歳だったというから驚きです……!
永瀬さんは『サマータイムレンダ』の小船潮役で初めてヒロイン役を務めます。この時の彼女はなんと16歳。
年齢だけではなく役作りも驚きで、潮のデフォルトの服であるスクール水着を家で着てみたり、物語の舞台のモデルとなった島・和歌山県の友ヶ島にも実際に足を運ぶなど役への追及の仕方が半端ではありません。
本作は和歌山県のとある島で起こる不気味な怪事件に主人公・網代慎平がタイムリープしながら立ち向かっていく物語。
潮は明るく溌溂としているという点では、朱音や理子と通ずる部分があるのですが、それに加えてとても実直な性格でちょっとアホな一面も持ち合わせており、周りまで明るくするムードメーカー的な存在でもあります。
潮はいわば作品の太陽ともいうべき存在だと私は感じているのですが、その一方で作品自体は大切な人たちの生死がかかったSFサスペンス。シリアスなシーンや絶望的な状況もたびたび登場します。
そのため感情の振り幅はこれまで紹介してきたキャラクターたちの中で随一。潮のアホな行動に慎平が突っ込むほのぼのしたギャグ調のシーンでの軽い口調と絶体絶命のピンチや今まさに大切な人が目の前で殺されようとしているシーンでの悲痛な絶叫の落差たるや。
さらに、慎平との恋模様も描かれるため、照れや恥じらいを見せることも。その全てを見事に演じきっており、この役で声優アワード新人賞を受賞したのも納得です。
他にも数々の作品に出演している永瀬さん。ここからは紹介しきれなかった他の作品の一部をピックアップしていきます。
声優として活動し始めて6年という短い間でこれだけの活躍を見せている永瀬さんですが、出演作品を見てみるとどのキャラクターも素晴らしいお芝居で、この快進撃にも納得するばかり。
まだまだお若いですし、これからたくさんの経験を積まれてさらに力のある声優さんになられることでしょう。今後の彼女の出演作を追いかけていくのもとても面白そうです。いちアニメファンとして、永瀬アンナさんのさらなる活躍に期待せずにはいられません!
