
25周年の節目を経て魅せる「暁の星」での新たな挑戦と、変化し続ける歌の現在地|水樹奈々さん 44thシングル「暁の星」ロングインタビュー
一聴き惚れから生まれた異例の主題歌提案! 未知の世界へ飛び込んだ初のコンテンポラリーダンス
── そして、今回の『LIVE GRACE』でも披露された新曲「暁の星」ですが、MCでもお話しされていた通り、作品サイドからのリクエストとは違う方向性の楽曲を水樹さんからアプローチされたそうですね。
水樹:そうなんです(笑)。リクエストに対して違う角度の楽曲を提案したのは初めてでした。いつもは作品サイドからのリクエスト通りに作って提出するのですが、今回はもう、この曲にひと聴き惚れしてしまって! 曲が流れた瞬間に『天は赤い河のほとり』の世界が頭の中に広がって、「もうこれしか考えられない!」という気持ちになってしまったんです。
それで、ダメ元でアニメ制作チームの皆さんに「すみません! リクエストいただいた激しいマイナーアップ調の曲ではないのですが……いかがでしょうか?」と提出させていただきました。審議がなされましたが(笑)、OKをいただけて本当に感謝しています。
── 水樹さんとしては楽曲のどういった要素に惹かれたのでしょうか?
水樹:シンプルな構成なのですが、一度始まったら止まらないめくるめく展開と変拍子の構成が、夕梨(ユーリ)の心の動きととてもシンクロするように感じて、もうこれ以外に考えられなかったんです。
オリエンタルな雰囲気もしっかり入っていますし、何と言っても私らしい歌謡曲メロがしっかり取り入れられていて。ドラマチックなメロディー展開の中にリフレインがたくさんあって、一度聴くと頭の中をずっと回るループ感が、時代を超え、葛藤しながら模索している夕梨(ユーリ)の姿と重なりました。
── 特に間奏にそのオリエンタルな空気を感じられて素敵ですよね。
水樹:そうなんです! 間奏はベースソロなのがとても良くて、広大な砂漠の景色が浮かんで幻想的で……すごく素敵なんです。
── レコーディングではどのようなアプローチをされましたか?
水樹:これだけシンプルな構成なので、ボーカルの表現でかなり世界観や印象が変わる曲なんです。だから何度も歌っては聴いてを繰り返して、どれが一番この曲にマッチする温度なのかを探りながら録っていきました。
最初はポツリポツリと独白するように始まり、思いを言葉にしたことによって、自分の中で眠っていた気持ちが堰を切って溢れ出してしまうような流れでサビに持っていけたらいいなとイメージしながら歌っていました。
短い曲の中にめくるめくドラマが展開していて、一つのミュージカルを見ているかのような感覚があるんですよね。最初は戸惑っていた夕梨(ユーリ)が少しずつ覚悟を決めて、「この世界でこの国の人たちを救って、カイルと共に歩んでいくんだ」と心が決まっていく様が歌詞の中でしっかり描かれているので、歌声もそれに合わせて徐々に力強くなっていくようなイメージで歌いました。
── また、『LIVE GRACE』MCでもおっしゃられていましたが、MUSIC CLIPでは体当たりでコンテンポラリーダンスに初挑戦されたそうですね。
水樹:一度もやったことがないのに、監督のLuCYさんから「今回はリップシンクなしで、歌をコンテンポラリーダンスで表現してください」と言われて、「私、経験ないんですけど大丈夫でしょうか!?」ってビックリしました(笑)。
事前の企画書では2パターン用意されていて。A案がコンテンポラリーダンス、B案がバーのステージでバンドを背負って歌うというものでしたが、今回ならではのチャレンジとしてはやっぱりコンテンポラリーダンスだと直感的に惹かれて選びました……が、「本当にできるんだろうか?」という不安があって(笑)。
── なぜ水樹さんにコンテンポラリーダンスを提案されたのでしょうか?
水樹:LuCYさん曰く、私がライブの時に振り付けがない曲で自由に手を差し出したりして表現している姿や、以前「ダブルシャッフル」を歌った時にアドリブでステップを踏んで踊っていたのを見て、「いける!」と思ったらしく(笑)。
でも「LuCYさん、あれはライブですから! ライブ空間が私をそうさせたんです!」「撮影という無機質なカメラを向けられた状態で果たしてできるんでしょうか!(笑)」とハワハワしていたら、「絶対にできると思うから、まずはリハーサルをやりましょう」と、初めて撮影前にリハーサルをすることになりました(笑)。
リハーサルにはコンテンポラリーダンスの先生も来てくださったのですが、最初に「では、まずは水樹さんの思う『暁の星』をどうぞ!」って言われて!
── オーディションみたいな(笑)。
水樹:そうなんですよ!(笑)「私、こんなところで失態を晒すんでしょうか……!」「コンテンポラリーじゃないって言われちゃったらどうしよう!」と思いつつでしたが、「まずは当たって砕けろ。やらなければ始まらない!」と自由に動いてみたんです。そうしたら先生からも、まずまずの評価をいただけて。
「ずっと動いてばかりだと一本調子になってしまうので、逆にただ止まっているだけとか、少し手を差し出すだけとか、歌と同じく静と動のメリハリをつけることでより伝わるものになりますよ」とアドバイスをいただきました。
また、影響を受けそうなのが怖かったんですが、一応先生のお手本動画を見たら、めちゃくちゃカッコよくて、「もう先生の振り付けでいいんじゃないですか!?」って(笑)。
── (笑)。
水樹:でもすごく勉強になったので、そこからもヒントをいただきつつイメトレしながら、自分なりに噛み砕いて当日に臨みました。本番の撮影ではワンカットで回すシーンもあって、決まった振り付けがないのでカメラマンさんとの息を合わせるのも大変で……!
傘を持っているシーンは、近づきすぎると振り上げたときにカメラにぶつかってしまうかもしれないですし、カメラマンさんも私がどのタイミングで動くのかも分からないので、トライアンドエラーの繰り返しでした(笑)。
あと、発煙筒のシーンでは、本数に限りがあるので「3テイクしか撮れません!」と言われて、失敗できない緊張感もあって(笑)。
── 体力とメンタルの勝負ですね……。ロケーションもまたダイナミックな場所ですね。
水樹:実はここ、ライブでよく使われる会場の駐車場なんです!
── え!?
水樹:そうなんです、スプリンクラーのシーンは屋内の駐車場なんですけど、外が映っているカットは駐車場から少し出た、首都高が見えるような場所で撮っていました。タイミング的にも暑い時期にならないよう体調を考慮して選んでくださって。「CRIMSON BULLET」のMUSIC CLIPを撮ってすぐ、「暁の星」の撮影を行いました。
── そのハードな環境でも素敵なMUSIC CLIPに仕上がったわけで……!
水樹:経験者の方が見たらとても粗削りかもしれませんが、初めてだからこその体当たりなパフォーマンスが、夕梨(ユーリ)の「何が起こるか分からない未知の世界の中で、体当たりで立ち向かっていく」という気持ちとリンクしているのかなと思います。温かい目で見ていただけたら嬉しいです(笑)。
── そんな水樹さんがハードルを飛び越える姿を周りの方が見て、さらにハードルを上げていき(笑)。
水樹:そうなんですよ~! でも、私の知らない世界がまだまだいっぱいあるんだなとワクワクしました。アーティストデビュー25周年を迎えてもなお、初めての経験をさせてもらえることに幸せを感じつつ、もっと頑張らなきゃなと痛感しました(笑)。































