
『学園アイドルマスター』目指すべき道を絞らない有村麻央に見る守破離──可愛い×カッコイイ=無敵なのは既にお聞き及びのこととは存じますが【担当アイドルへ愛を叫ぶレビュー&考察】
麻央の破
子役から活躍し、理想の王子様となるべくスキルを磨き上げた麻央。そして自分だけでは突破できそうもない巨大な壁に出会ってしまった麻央。そんな彼女に様々な意味での「破」を提案したのは、紛れもない我々プロデューサーである。
カッコよさとは外見で左右されるものなのか、と真っ直ぐに突きつけ提示した方針は「可愛くて、カッコイイ、無敵の王子様系アイドル」を目指すという未知の開拓であった。
「カッコいい」にこだわってきた麻央にとって、半ばタブー視していた「可愛さ」を受け入れる試みは我々の予想よりも過酷な挑戦だったと思う。しかし彼女の強さであり、本当にカッコよさとはここだった。逃げ出さず、他者の視点を取り入れながら既存の枠組みを次々と破り始めたのである。
後輩である藤田ことねの助言をもとに前髪を下ろしたヘアスタイル。引き締まりながらも可憐な衣装。これまで自身が拒絶してきた柔らかな表情の中に、確かな魅力が宿っている事実と対面することになった。
さらに表現手法においても大胆な実験を重ねていく。可愛さの極致を学ぶためのメイドカフェへの視察で「可愛い」を咀嚼していく。そこで理不尽な客に遭遇した際、反射的に身体が動いて放った「格闘技を嗜んでいるので」には、プロデューサー全員が「そうそう、これこれェ!」ってなったことだろう。
彼女の芯にある騎士道精神という本質は決して揺らがず、完全な足し算でもって可愛さが乗っかっていく。守で得た魅力を捨てることなく基礎とし、破で自身を鼓舞していく様は、時折笑いの片鱗を見せながらも確実に我々Pの涙腺を刺激することとなった。
麻央の離
型を守り、その型を意図的に破る葛藤の果てに、有村麻央は「離」の境地へと到達する。それは「カッコいい」を捨てることでも「可愛い」に迎合することでもない。外的な枠組みへの執着を完全に手放し、自己の内なる二面性を統合し、時には切り離すという一見矛盾した新たなアイデンティティの確立であった。
そう、プリンス麻央イリュージョンである。本人からは不評なネーミングだが、麻央を最高に光り輝かせる最強の作戦である。名前はダサいけど。
Pの作戦と麻央の本質的な魅力が完全に合致し、N.I.Aを勝ち進む。3年という学生から見ると果てしなく長い時間くすぶり続けた彼女の輝きが、ようやく世界に届いた瞬間であった。筆者はこの時点で泣きそうだった。
彼女の「離」とは、自分を愛し、自分を応援してくれる存在を真に愛せるようになったことだと思う。
そして実力者であり、麻央の過去を知る難敵・白草四音に言い放った「見せてあげるよ」「可愛くて、カッコイイ、──無敵のボクを」という言葉で我々Pはダバダバと涙のダムを決壊させることになったのだ。



























