
『学園アイドルマスター』目指すべき道を絞らない有村麻央に見る守破離──可愛い×カッコイイ=無敵なのは既にお聞き及びのこととは存じますが【担当アイドルへ愛を叫ぶレビュー&考察】
無敵たる所以
有村麻央が提示する「可愛い×カッコイイ=無敵」という等式は、単なるビジュアルのギャップ萌えに留まらない。相反する魅力が相互にエネルギーを供給し合う、いわば増幅装置としての機能が、その中核を担っている。
ただカッコいいだけの存在は時に近寄りがたい威圧感を生み、ただ可愛いだけの存在は時に幼さの枠に閉じ込められがちである。しかし麻央の場合、小柄で可憐な外見があるからこそ、舞台上で見せる鋭利な眼差しや低音の効いた伸びやかな歌声が圧倒的なカタルシスを生み出す。同時に、成人男性を制圧できる格闘技の腕前や頼れる寮長としての騎士道精神があるからこそ、ふとした瞬間に見せる照れや年相応の幼さが無上の愛おしさへと転換される。
互いの属性が互いの輪郭をより鮮烈に際立たせ、引力を無限に増殖させる相乗構造が成立している。
つらつらと小難しい言葉を並べてカッコつけているが、言っちゃえば可愛くてカッコいいなら喜びも2倍であって、嬉しい!というそれだけの話である。その嬉しい!を引き出す魅力が高次元過ぎて困っちゃうんですけど……。
境界を砕く蛍石の結晶
有村麻央というアイドルの歩みは、世間や環境が押し付けてくる「分かりやすい記号」に対する、気高くも誠実な抵抗の物語である。
「女の子だから」「背が高くないから」「可愛いアイドルになりなさい」という周囲の声にただ従っていれば、彼女がこれほどまでに苦悩することはなかったかもしれない。しかし彼女は、幼い日に抱いた王子様への憧れを安易に切り捨てる道を選ばなかった。一方で、王子様であるために女の子らしい自分を呪い続けるという閉じた檻の中に留まり続けることもしなかった。
彼女が成し遂げたのは既存の境界線を破壊し、新たな道を自らの足で切り拓く開拓劇である。目指すべき道を一本に絞らず、自らを構成するすべての要素のすべてを引き連れて前進することを選んだ。
守るべき型を知り、その型を打ち破る痛みに耐え、やがて型という概念そのものを解き放って本質に到達した有村麻央。変化を恐れず、混ざり合いながら多彩な光を放つその姿は、まさしく暗闇の中で輝くフローライトであった。
誰かに憧れる少女の季節は終わりを告げた。今、光り輝くステージの真ん中に立っているのは、世界中の誰でもない、ゆえに世界中の誰もが憧れずにはいられない、無敵で最高にカッコよくて可愛い初星学園の王子様である。
【文:西澤駿太郎】































