
「好き」は最強の感情──バスケを愛した夢佳と千夏を想う大喜、二人の“好き”が胸に刺さる『アオのハコ』Season2第29話振り返りレビュー
2026年10月4日より、毎週日曜ごご4時30分から放送中のTVアニメ『アオのハコ』Season2。2クールにわたって放送されたアニメSeason1に続き、中高一貫のスポーツ強豪校・栄明高校で、部活に恋に奮闘する高校生たちが描かれます。
第29話では、バスケが大好きだった夢佳が「好き」を失うまでの日々が語られました。そしていよいよ、千夏のウィンターカップもスタート。
揺れる夢佳の想いと観戦チケットの行方は……? 本稿では第29話「好きは最強の感情」を振り返ります。
目次
夢佳の原点
第29話は、夢佳の幼少期からスタートします。彼女は幼いころから、お父さんとバスケをするのが日常だったようです。
真剣ながら楽しそうにバスケをする夢佳。このときの夢佳にとって、バスケは練習するものではなく遊びのひとつだったのではないでしょうか。同時に、お父さんと過ごすかけがえのない時間でもあったはずです。
シュートを決めれば「さすが俺の娘」と褒めてくれて、軽口を言い合いながらも愛を伝えてくれる。その中心にあったのが、バスケなのです。
バスケが好きかと聞かれ「とーぜんでしょ!」と笑顔で答える夢佳。お父さんは、その気持ちを大切にするように教えました。「好きって気持ちは最強な感情」だと。バスケや家族が大好きだった幼少期の夢佳は、間違いなく“最強”だったのですね。
最強の感情を失って
第28話で、夢佳は胸にしまっていた想いを千夏に打ち明けました。千夏と別れたあと、夢佳は過去を思い出します。
小学校では敵なしだったのに、中学では通用しなかったこと。それでも周囲の期待に応えようと努力を重ねたこと。ひたすら練習しているのに、やっぱり敵わない相手がいること。
試合に出られることは誇らしい反面、結果も求められるもの。うまくいったことは今後も当たり前にできるように、できなかったことは次に改善できるように練習します。ただ漫然と同じメニューをこなしているわけではないのです。
それなのに同じような場面で相手にボールを取られてしまったときのやるせなさは、元バスケ部の筆者も痛いほどよくわかります。「あんなに練習したのに、なんでできないの?」と自分を責めたくなります。同じことが続けばなおさら、試合も練習も嫌になっていきます。
調子を落としている夢佳に追い打ちをかけるように、両親が不仲に。幼いころは「夢佳もお母さんも大好き」だと言ってくれたお父さんとは、一緒にバスケをすることも、調子が悪いと相談することもできなくなってしまいました。
部活で全国大会を逃し、両親から離婚を告げられたところで、夢佳は気づいてしまいます。家族が大好きだと言ってくれたお父さんも、バスケが好きだと迷いなく言えた自分も、もういないことに。
好きだったものを嫌いになってしまうことは、試合に負けるよりもずっと悲しいはず。そのうえ、隣にはひたむきに練習を続ける千夏がいます。バスケを好きでいられず、前向きに練習する気力も残っていない自分と比較してしまうのも無理はありません。
夢佳は自分も周りもよく見えてしまう賢さゆえに苦しんだのでしょう。単に挫折したから辞めたのではなく、たくさん考えて努力もしたうえで「バスケが好き」という最大の原動力を失ってしまったのです。
「ただ楽しくバスケをしたい」。それは筆者もよく感じていたことです。しかし勝負の世界は厳しく、結果を求められれば余計に「競技を楽しむ」ということが難しくなってしまいます。
そのうえ「試合に勝つと楽しい」のもまぎれもない事実で、勝ち負けがつかないと案外モチベーションが上がらないことも。自分の過去を重ねて胸が痛みつつ、シンプルにスポーツを楽しむ難しさを考えさせられる夢佳の過去でした。
































