『イヴの時間劇場版』劇場＆ニコ生同時上映、監督はニコ動派!?

　2012年2月25日（土）、ニコニコ生放送で『“映画館Ｘニコ生”同時上映！アニメ「イヴの時間　劇場版」/ ニコニコ映画【特別】上映会』が行われた。

　これはユナイテッド・シネマ豊洲とニコ生のコラボレーションイベント。劇場とニコ生で同時に『イヴの時間劇場版』を上映し、実際の劇場スクリーンにもニコニコ生放送のユーザーコメントを流すというもの。さらに今回は、特別に劇場内でPCや携帯電話を用いてニコ生にコメントを書き込むことが許可され、劇場内からのコメントが、イベントのために開発された画面下の特別欄に流れるという仕組みになっている。

　また、本編前のトークショーには吉浦康裕監督と、小説版『イヴの時間　another act』の著者である水市恵氏、声優の佐藤利奈さん、MCの氷川竜介氏らが登壇し、『イヴの時間劇場版』についてだけでなく吉浦監督の次回作となる『サカサマのパテマ』についてのトークを行った。

　トークでMCを務めたアニメ研究家の氷川氏は、中国4大都市で『イヴの時間』をテーマに講演を行ったことに触れ、「『イヴの時間』は日本を代表すべき作品」と絶賛。今回のニコ生のようなネットサービスと連携して人気となってきたことについては、「IT系サービスとリンクして育っている。今、デジタルコンテンツはコピーされて終わりみたいなことが多くなってきたが、その中で
『イヴの時間』のように周りを巻き込んでいくというのはすごく大事」と語り、これに吉浦監督は「（ファンと）相互に育て合いながら長く愛されているなと。リアルのイベントと関わるのがポイント。こうやって場を作れるのが嬉しいし、それが作品の寿命の長さにつながる」とロングヒットしていることについての見解を述べた。

　ここで『イヴの時間』でナギを演じた佐藤利奈さんが登壇。iPhoneアプリとしてリリースされている『イヴの時間 atc0X』の台本の一部を朗読するファンサービスを行い、これに視聴者と会場コメントからは大量のコメントが寄せられてスクリーンを流れていった。

　その様子を見た吉浦監督が「ニコニコ動画(β)から見てるヘビーユーザーです。こうやって関われるとは」と喜ぶと、水市氏も「コメントがこんな大画面で見えるなんて。目で追えるか心配だったけど意外と目に優しい」と述べ、その後はしらばく登壇者と視聴者のコメントを通してのやりとりが行われていた。

　トークショーの後は、『イヴの時間劇場版』の劇場・ニコ生同時上映が開始。ニコ生から書き込まれたコメントが劇場スクリーンに反映されるのはもちろん、今回は特別に会場内でPCや携帯電話からニコ生にコメントを書き込むことが許可されていたため、会場には微かにPCのタイプ音が響き、液晶画面の明かりが灯るという、通常の映画上映とは少し違った雰囲気での上映となった。

　また上映中は吉浦監督と水市氏によるコメンタリーも流れ、各シーンごとのこだわりや制作秘話などがたっぷりと語られるなど、視聴者、観客、監督の三者がコメントを通してコミュニケーションを図る“世界初”の上映イベントとなった。

　上映終了後のトークでは、吉浦監督の新作『サカサマのパテマ』についても新情報が発表された。まず『ビッグガンガン』（スクウェア・エニックス刊）の3月25日発売号から、作品のアナザーサイドが漫画で連載されることが明らかになった。また映画の本編の序章にあたる1日を描く『サカサマのパテマ　Beginning of the Day』の第1話がニコ生で配信されると発表。吉浦監督は「今回はたまねぎみたいに一個一個むくごとに新しいものが見える作品。イヴは店の中での話が多かったんだけど今度は外での話にしたい」と述べ、『イヴの時間』についても「まだまだ描けてないところもあるので、これから描いていこうと思います」と今後の展開に意欲を示した。

『サカサマのパテマ』
2012年全国劇場公開
原作・脚本・監督：吉浦康裕
アニメーション制作：パープルカウスタジオジャパン
配給：アスミック･エース

ニコニコ生放送
 映画『サカサマのパテマ』オフィシャルサイト