初音ミクは、家族のような存在 DECO*27と初音ミクとの出会い

『初音ミクは、家族のような存在』。「愛言葉」や「ゴーストルール」の作曲者DECO*27さんに初音ミクとの出会いについてお話を聞いてみた

東京オリンピックに向けて、日本の文化の魅力を国内外に発信していくプログラムの一環として行われる「This is NIPPON プレミアムシアター」。

日本の伝統的な和の音、バーチャルシンガーとして世界に広がっている初音ミク。この2つの音がスペシャルライブ『初音ミク×KODO』として世界へ発信されていきます。

今回は本ライブでも披露される楽曲「ゴーストルール」の楽曲制作者 DECO*27さんにインタビューを行いました。

DECO*27さんは「思春期の恋」や、「男女の微妙な距離感」を絶妙に音楽と歌詞で表現しファンを魅了。音楽の幅も広く「愛言葉」「ラヴゲイザー」のようなポップミュージックから、「二息歩行」「愛迷エレジー」などのロックサウンド、また2016年に投稿された「ゴーストルール」ではミクスチャーを取り入れたサウンドでボカロシーンに於いて近年稀に見る大ヒットソングとなりました。

さらにDECO*27さんは中川翔子さん、柴咲コウさん、KOTOKOさんなどの様々なアーティストへの楽曲提供や、プロデュースワークも多く、ボーカロイド以外でも活躍の幅を広げています。そんなDECO*27さんの「ボーカロイド」との出会いや魅力をお伺いしましたよ! 早速ご覧ください。

情熱を与えてくれた初音ミクの「声」

━━本日はよろしくお願いいたします。それではまずDECO*27さんとボーカロイドと出会いの話を聞かせてください。

DECO*27さん(以下、DECO*27):2007年にニコニコ動画を友人に教えてもらって、そこで初めて初音ミクを知りました。その時にすごく良い声だなと感動して、自分も曲を発表する側に回りたいなと思ったんです。

━━やはり初めて初音ミクの曲を聞いた時は衝撃的でしたか?

DECO*27:そうですね。実は初音ミクの曲はソフトを使って作っていたということを知らなかったんですよ。あとで調べたら「あぁ、これはソフトだったんだ!」と思ってそこにも衝撃を受けました。

今まではMTR(マルチトラックレコーダー)というものを使って曲を作っていたんですけど、初音ミクはパソコンがないと動かないと知ったので、僕にDTMとの出逢いのキッカケにもなっているんです。

━━ボーカロイドの魅力ってなんだと思いますか?

DECO*27:魅力!よく使うボーカロイドが初音ミクなんですが、 やっぱり初音ミクは声が好きです。自分が制作していく上で初音ミクの声はすごくテンションが上がるのはもちろんですが、キー、音域も人間のそれを超えて出せますし、ブレス(息継ぎ)のことも考えなくていいんです。

そういった制限がないので、自分が思い描いている通りに作ることができるのが魅力だと思います。なので、曲を制作することに対する情熱が湧き出ていくというのもありますね。

━━今回の初音ミク×鼓童でも使用される「39」、「ゴーストルール」について、それぞれどんなメッセージが込められているのか教えてください。

DECO*27:「39」は初音ミク5周年記念の時に、sasakure.UKさんと共作で作ったんですけど、今まで初音ミクを聞いてきてくれた人やボーカロイドシーンを支えてきてくれた人に対する初音ミクからの感謝だったり、僕やsasakure.UKさんからの感謝だったり、そういったものを込めた曲になっています。

「ゴーストルール」は嘘をテーマにしていて、嘘をついた主人公がどんどん自分を嘘で塗り固めていき、結局は最初に自分がついた嘘に足元をすくわれるというストーリーになっていますね。

━━どうしてそのようなストーリーを?

DECO*27:テレビのニュースとかを見ていて、自分の中で反面教師になるような事柄がたくさんあるなぁと感じていたんです。そういうのを歌に出来ないかなぁと思ったのがきっかけですね。

━━「39」と「ゴーストルール」は共にミリオンを達成していますが、その要因はなんだと思いますか?

DECO*27:「39」に関しては初音ミクのライブでやってくださっているので、ライブの思い出とリンクしてたくさん見てくれているのかなと思っています。「ゴーストルール」はイラストの力が大きいのかなと思っています。自分がイラストレーターの方にお願いして、でき上がったものを見たときにも「これはクリックしたくなるな」って感じましたね。

もちろん曲も全力で書きましたけど、曲を聞く前の入り口として、サムネイルをポチっとしたくなる魅力が、イラストにあるんじゃないかなと。

━━イラストレーターはDECO*27さん自身が探してお願いしているんですか?

DECO*27:はい。「ゴーストルール」のイラストを描いてくれた方は、僕が2013年に書いた曲のファンアートを描いてくれた方なんです。それがすごく気に入って、ファンアートだけじゃなくてオリジナルとして一緒に作品を作りたいなという思いがあって、それがきかっけでお願いしました。

初音ミクが与えてくれた「感動」

━━では続いて、今回のライブプログラムについて、プロ和太鼓集団「鼓童」とのコラボが実現しましたが、和太鼓と初音ミクが共演するということに対してどう感じますか?

DECO*27:そうですねぇ…字面だけじゃあんまりイメージできないんですけど、初音ミクは和風の曲も多いので相性はすごく良いと思います。太鼓って迫力や気迫みたいなものが訴えかけてきますけど、ミクは実体がない存在ですから、そこをどうステージングしていくのか、混ぜ込んでいくのか。興味がありますね。

━━2008年から活動をはじめ、今でもボカロPとして曲を投稿し続けるDECO*27さんには、大きな日本の文化に成長した「ボーカロイド」はどのように写っていますか?

DECO*27:うーん……。僕が2007年に初音ミクを聞いて感じた感動というのは僕だけのものじゃなかったんだなと、みんなにもすごく魅力的な存在として捉えられているんだなと思っています。

そういうのは今の状況を見て思いますし、とても嬉しく思います。この10年の間に色んな作り手の人が素晴らしい作品を作ったり、ライブやイベントだったりいろんな要素があってここまで続いていると思うんです。そして、今後はまだ初音ミクを知らない人がそうした文化と出会って、また新しいものが作られて続いていくんだろうなぁと思います。

━━今回の『初音ミク×KODO』は日本文化として世界に発信することを目的としたプログラムとなっています。「世界に広がっていったボーカロイド」の1シーンを担いだDECO*27さんですが、その中の一人となったお気持ちをお聞かせ下さい。

DECO*27:とにかく最初は「作る側に回りたい」っていう気持ちで曲を書いていたんですけど、同時に「たくさんの人に聞いて欲しいな」って思いもありました。自分の曲が今現在たくさんの人に再生してもらっている状況というのは、はじめた当初に夢見たことなので、すごく嬉しく思っています。

━━ボーカロイドの曲を制作していたときと、ご自身のユニットやプロデュースで音楽を作り上げていく感覚の違うところ、共通していることなどはありますか?

DECO*27:やっぱり考えることは一緒で、歌っていただく人の声が一番活きるように曲を作れるかという点です。それがボーカリストなのかボーカロイドなのかが違うだけかなと。姿勢ややり方はそう変わらないと思います。明確に違うのはブレスをどうするかとか、そういった点ですね。

━━どの曲も声を主体に考えられているんですね。

DECO*27:そうですね。歌詞があって歌がのる音楽に関しては、声を一番に考えるべきだと僕は思っているので。

初音ミクと出会って、人生が変わった

━━ボーカロイドを通じて、自分の価値観や音楽観などが変化した部分はありますか?

DECO*27:自分がボーカロイドを使う側に回るまではそんなにたくさんのジャンルの曲を聞いてきたわけでは無いんですよ。でも初音ミクをきっかけに、自分の知らないジャンルやアーティストを幅広く聞いてみるようになりましたね。

機材やシンセサイザーも、初音ミクを活かすためのものを選ぶようになっていました。あとは歌詞も、ミクに歌わせるとなると刺激的で印象的なフレーズを使いたいので、テレビや本といった日常生活で自分が触れるものの中に何かヒントがないか、いつもアンテナを張るようになりました。日常で拾ったものは、同じ日常を過ごす人に刺さるかなって。

━━ボーカロイドと楽器の違いってなんだと思いますか?

DECO*27:歌詞を届けられるかどうかかなと、思っています。ギターじゃメロディーは届けられても歌詞は届けられないので。ボーカロイドは歌詞を言葉にして届けることが出来るので、そこは楽器との大きな違いかなと思います。

━━もしボーカロイドが無かったら、今どんなことをされていたと思いますか?

DECO*27:何やってるかなぁ…。一つは焼鳥屋で働いてる可能性があり(笑)、あとゲームが好きなので配信とかしてたかもしれないですね。音楽は多分やってなかったと思います。元々は楽しいから音楽やろうって姿勢だったんですけど、初音ミクと出会ってからちゃんと音楽と向き合おうっていう気持ちになったので。

━━音楽を聞く=CDという時代から、webでも簡単にピックできるようになった今、ボーカロイドの何がユーザーを惹きつけていると思いますか?

DECO*27:うーん、そうですね。二次創作ができる、しかも二次創作で自分が作ったものを公開して発信できる文化も一緒に育っていったのが初音ミクの面白いところかなぁと思います。カラオケにいって歌を歌うというのとはまた違った面白さが初音ミクやニコニコ動画にはあるんじゃないかなと。そこで二次創作って面白いよねっていう文化が醸成されていって、ミク側も二次創作側も両方盛り上がっていったんじゃないかなと。

━━ボーカロイドの世界は今後どう進化していくと思いますか?

DECO*27:ボーカロイドの性能ももちろん、ソフト上でできることもどんどん増えていくと思います。あと、実際にもう出てきているんですけど、僕が2010年頃に投稿した曲を聞いて、音楽や動画を作ってる人たちが今いるんですけど、そういう人たちの作品をもっともっと見てみたいですね。刺激をもらいつつ、こちらからも刺激を与え続けて、お互いに高めあえる雰囲気になればと。

━━ボーカロイドという存在はDECO*27さんにとってどんなものですか?

DECO*27:…思い返せば人生の1/3を初音ミクと一緒に過ごしているので、もう家族と呼んでもいいような存在ですね。自分の人生において本当に大きなウェイトを占めています。人生を変えてくれた存在ですね。

━━今後のDECO*27さんの活動告知や投稿予定があれば教えて下さい。

DECO*27:まだ言えるものはないんですけど、来年の10月でDECO*27として10周年になるので、曲もそれに合わせて発表していきたいと思っています。アルバムとか諸々良いものを作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

━━では最後に、読者に向けて一言など。

DECO*27:初音ミク、ボーカロイドを知らない方。名前知ってるけど曲は聞いたことがないという方。これをきっかけにDECO*27の曲でもいいですし他にも素晴らしい曲がたくさんあるので、ぜひ1回お試し感覚でも聞いてもらえたらいいなと思います。

公演情報

2017年3月4日(土)
開場 午後6時 / 開演 午後7時

2017年3月5日(日)
開場 正午 / 開演 午後1時

2017年3月5日(日)追加公演決定
開場 午後6時 / 開演 午後7時
場所:NHKホール

初音ミク×鼓童 スペシャルライブ | This is NIPPON プレミアムシアター
URL:http://kodo-miku.com/

初音ミク×鼓童 アニメイトタイムズ特設応援サイト
https://www.animatetimes.com/miku-kodo/

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