声優
森久保祥太郎さんが語る、少女漫画の胸キュンセリフのコツとは?

声優・森久保祥太郎さんが語る、少女漫画の胸キュンセリフのコツとは? ムービーコミック『せいせいするほど、愛してる』インタビュー

 国内外の映画やドラマはもちろん、音楽やシアター(演劇、落語ほか)、カラオケなど、多彩なコンテンツを楽しめる映像配信サービス「dTV」。アニメラインナップも非常に充実し、会員数は今や500万人を突破した本サービスですが、実はコンテンツの一つに「マンガ」があることをご存知でしょうか? 「dTV」におけるマンガは「ムービーコミック」と呼ばれ、1コマずつコマ割りして動かして声優がセリフを吹き込み、さらにSEやBGMが加わって動画で楽しめる大人気ジャンルとなっています。

 現在、鳥海浩輔さん主演『PとJK』や、梶裕貴さん主演『兄に愛されすぎて困ってます』など、豪華声優陣による作品が配信されていますが、この度、2016年にドラマ化もされた『せいせいするほど、愛してる』がムービーコミック化!

 主人公のOL・栗原未亜を大地葉さん、未亜が恋する副社長・三好海里を森久保祥太郎さんが務め、リアリティのある大人の恋愛が描かれます。本稿では、三好海里役の森久保祥太郎さんにインタビュー! 作品の魅力や仕事におけるこだわり、胸キュンセリフのコツなどをお伺いしました!

 

恋愛は障害があった方が面白い
――本作はドラマ化もされた人気コミックになりますが、ご覧になっていかがでしたか?

三好海里役・森久保祥太郎さん(以下、森久保):武井咲さんと滝沢秀明さん主演のドラマが放送されていた頃に、本作のタイトルを初めて知りました。そして今回、演じるにあたって原作を読ませていただきましたが、ページをめくる度に先の展開が気になって、男の僕でも楽しめるような内容でした。


――演じられる三好海里は、すべてを持っているようなエリートですが、森久保さんから見た印象をお聞かせください。

森久保:彼には背負うものがあって、自分の想いに蓋をしてしまう部分もありますし、思うように恋愛をできない状況にありますので、大変な人生を歩んでいるんだなと感じました。でも会社のために責任を全うするところや、何より仕事がバリバリできるエリートでクールなところは「すごいな」「かっこいいな」と思います。僕には彼みたいな要素が全然ありませんからね(笑)。

 
――第1話で元カレから未亜を庇うため、急にキスしたシーンは衝撃的でしたし、カッコ良かったですよね。

森久保:今の世の中は、こういう恋愛で溢れているんですかね?(笑) でも、恋愛は障害があった方が面白いと思います。僕もですが、若いときは平穏無事に進んでいく恋愛の楽しさより、何かしらの弊害や障害があった方が「恋愛してるぜ!」と感じるんでしょうね。だから本作でも、誰もが進まなきゃいいなと思う方向に進んでいるんです。ある意味、純愛だと思いますが、傷ついたり、傷つけたり、傷つけ合ったりを重ねていって、苦しい道に進んでいくことが若い時代の恋愛なのかなと。

もちろん、僕にとっても分からなくはないんですよ。そのほうが恋愛をしている実感が湧きますし、何より燃えますし。本作では、そんな現実とフィクションの狭間を描いたドラマが、いくつも展開されていると思いました。



――リアリティのあるフィクションが描かれていると。

森久保:僕も読んでいて「これはないだろ!」なんて、不思議と思わなくて。彼らは独特な成り行きの末、恋愛に発展するんですけど、その道に向かっていく気持ちが分からなくないんです。そこがドラマとリアリティの絶妙なラインを突いているんだなと、読み進めていくうちに感じました。

きっと、読んでいる方が「分からなくもないぞ」と思える、ギリギリのラインを描いているんだと思います。海里や未亜と同世代の方たちは、もっとリアリティを感じられるはずです。また、僕からすると「二十代の恋愛ってそういう感じだったよな」みたいに、思い出を振り返られて楽しいんですよね。

 
森久保さんが胸キュンシーンを演じる上でのポイントとは?
――海里というキャラクターを演じる上で、意識したポイントを教えてください。

森久保:実は、海里のようなクールでバリっとした役が僕にとっては難しいんですよね(笑)。特に少ない言葉でカッコ良く魅せるところは、とても難しかったです。基本的に、未亜のモノローグがある上で物語が進むので、大地(未亜役の大地葉さん)演じる未亜の空気感にうまいこと乗って、未亜あっての海里を作ろうと心がけました。


――刺々しさを残しつつも決して嫌味っぽくない、絶妙な塩梅で演じられている印象を受けました。

森久保:本当ですか? 本当にこういう役が難しくてですね……(笑)。


――素人目ですが、その分ニュアンスの付け方が難しそうだなと……。

森久保:そうですね。だんだんドラマが進み、未亜との距離感も縮まって気持ちを吐露するようになると、よりキャラクターに深みが増しました。今まで一面や二面しか表情の出せなかったものが、海里のバックボーンが明らかになるにつれて、より演じやすくなった印象があるので。だから、最初の方はとても難しかったですね(笑)。

また、台本として漫画原作を手に持って演じているので、大地の未亜を聞いていると、まさに絵が喋っているような感覚になりました。事務所の後輩なんですけど、乗っかって演じさせてもらいました。


――やはりムービーコミックは、アニメやドラマCDなどと演じ方が違うのでしょうか?

森久保:ドラマCDは感情が伝わるように、モノローグとセリフが順序立ててあるので、その通りに収録していきます。ムービーコミックも原稿通りに進めて行きますが、セリフの上にモノローグがかぶっていることがあるんです。なので、一回セリフを録った後に、同じシーンでモノローグに戻ったり、気持ちが巻き戻されるようなことが多々あります(笑)。

でも、漫画で表情が直に見られるということは、キャラクター同士の距離感を把握しやすく、役にのめり込みやすいんです。ちなみに本作……特に未亜に至っては圧倒的にセリフ量が多いですし、漫画ならではの手書きのセリフも拾っているので、役によっては大変だと思いますね。ただ、慣れると世界観に入り込みやすいのは、ムービーコミックならではだと思います。

 
――今まで収録してきた中で印象的なシーンはありますか?

森久保:未亜のお母さんと未亜のシーンは印象的でしたね。彼女は真面目と言いますか、仕事に対しても真っ直ぐですし、めげてもすぐに立ち直るところも素敵で、何より自分に正直なんです。だから、自分自身と正直に向き合って戦うようなシーンが各所に散りばめられていて、彼女の魅力の一つだと思います。

そんな彼女の前にお母さんが出てきたエピソードでは、喧嘩のようなことが起こって、未亜の色々なものが崩れてしまうんです。それを解決した後の、母と娘のワンシーンが読んでいて心に残りました。


――本作は未亜と海里だけでなく、他のキャラクターも魅力的ですよね。

森久保:役柄的にも、海里と未亜の関係性を中心に追って考えているんですけど、実はもう一方で別の恋愛も展開していて……そっちの方が気になって仕方ない!(笑) 海里はそっちの恋愛をあまり知らないし、あまり関与していないんですけど、僕としては「そっちの恋愛大丈夫か!?」と(笑)

それこそ海里は多くを語らないキャラクターなので。未亜は翻弄されることが多いんですけど、海里がふとした時、最後にかける言葉がズルいくらいに優しく刺さるんですよね。カッコイイというかズルいですし、うまく決まったら女性はキュンだろうなと(笑)。作中には、そんなシーンがたくさん出てくるんです。彼は自然とそんなセリフを投げかけますが、僕はそれが本心だと信じて演じています。


――たしかに、海里は去り際にカッコいい一言を残していきますよね。そんな女性が思わず胸キュンするようなセリフを読む上でのポイントを教えてください。

森久保:既に狙いが定められている女性向けゲームのような甘いセリフと、今回の少女漫画では、同じように演じられないんですよ。こういう世界観の場合、狙いをつけて演じるのは良くないと思うんです。自然な相手との関係性があって、ポロッと出ちゃう一言が一番刺さるんじゃないかなと。

だから、できるだけ素直に演じるように心がけています。歌で例えると「はいサビが来ました!」「サビだから盛り上がりましょう!」のような作りで芝居をすると、クサくなると思うんです。特にムービーコミックは、原作の絵と一緒にお芝居をしていくので、必要以上のニュアンスをつけなくてもいいと僕は考えています。

 
仕事のこだわりは、「協調性と個性」のバランス!
――第1話で海里は、未亜の仕事のミスに気が付いて的確にアドバイスしたりと仕事に対するこだわりが見えますが、森久保さんご自身の仕事に対するこだわりはありますか?

森久保:基本的に想定内より、想定外のことが楽しいと思っています。「これできます?」と聞かれると「できます!」と言ってしまうタイプといいますか。やったことがないものに少しでもチャレンジしたいですし、成長できるものなら少しでも成長したい、と思いながらお仕事をやらせていただいています。

また、協調性と個性、この二つのバランスも考えていますね。今の僕らの職業は、色々なジャンルで色々なお仕事をいただいてるので、それぞれの現場でやり方が違ってくるんです。


――協調性と個性……と言いますと?

森久保:例えば本作のように原作ありきのお仕事は、色々な方が作り上げてきた作品やキャラクターに、僕らの声をあてさせていただくじゃないですか。もちろん役者として、自分なりにセリフや感情のニュアンスを作っていきますが、自分の我を通すだけではなく、全体で一番バランスのいいところを掴んで演じるのが、アニメーションやドラマCDにおける声優の仕事だと思います。


――それが協調性にあたるわけですね。では、個性は?

森久保:僕の場合だと音楽活動です。こちらは、ゼロからどれだけ作り上げて自分にしか出せないものを作るか、自分のこだわりを色濃く出せるようにしています。もちろん、僕だけじゃ世の中に出せないので、支えてくださるみなさんとの擦り合わせも行いつつですが。ただ、この場合は誰が作ったのか分からないものではなく、自己責任の意味も込めて「自分が作っています」と言える物を作れるように心がけています。

なので、大きく分けると個性と協調性、その二極が僕の中にはあって、どちらも大事にしているんです。二つのバランスをとって、毎日楽しく仕事をしています(笑)。

 
――最後になりますが、本作を楽しみにしている方へのメッセージをお願いします。

森久保:この先どうなっていくのか、シーソーゲームのような、ジェットコースターのような……いい意味で落ち着かせてくれない展開が盛りだくさんです。もちろん、未亜に気持ちを寄せながら見てもいいと思いますし、彼女たち以外のキャラクターにも様々なドラマがあるので、ぜひ楽しんでいただければと思います。


――ありがとうございました。

[取材・文/鳥谷部宏平]

>>dtv『せいせいするほど、愛してる』配信サイト

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