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春アニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』監督×演出スタッフ鼎談【連載03】

アニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』監督・境宗久さん×演出・佐藤 威さん×岡本泰知さん鼎談|監督が第2期で描こうとしたテーマ、そして演出スタッフ二人が今作から感じた印象とは【SAGA_R:03】

 

『ゾンビランドサガ』が他作品と違うのは作り手の熱さ。遊び心などオリジナルだからできる要素も!?

――佐藤さんの『ゾンビランドサガ』についての印象をお聞かせください。

佐藤:いろいろな作品に携わってきましたが、『ゾンビランドサガ』が違うなと思うのは、作り手側の熱さですね。

シナリオを読んだ時に感じる熱量をコンテにして、演出していく中で感じる熱さや興奮度は高めだなと。あとはコメディだと思わせつつ、熱血な方向に行ったりなど、急に壁を飛び越えて、気持ちよくなる特殊な感覚がある作品だなと思います。

――キャストの皆さんもスタッフさんの熱さや画面の隅々まで細かい描写や仕掛けがあることを魅力として挙げる方も多いです。

境:「これ気付くかな?」とか「これとこれが繋がっているのがわかるかな?」という遊び心が端々にあって。話に関係ないところで遊んでみたり。オリジナル作品だからやれる部分もありますね。だからこそ何度でも見てほしいし、そういう作品にしたいなという想いもあって。そのためには自分たちが楽しんでいかないといけないと思っています。

岡本:1期はいち視聴者として見ていたので、普通のアイドルものなのか、本格的なゾンビ作品なのか、わからないまま、見始めましたが、おもしろい中でも、もやもや感が残る印象があって。ただ笑っているだけではなく、泣けるし、感動できるし、感情を無茶苦茶にされたけど、どんどんハマっていきました。


――1期といえば、印象深いのはやはり1話ですが、絵コンテを境監督、演出を境監督と佐藤さんが担当されていますが、どのように演出されていったのでしょうか?

境:1話では、まず僕がレイアウトや原画をチェックしてから威君が演出補佐みたいな感じで入ってもらって、設定まわりなど細かくチェックしてもらう形でした。その後1人で演出してもらう予定だったので、世界観を含めて理解してもらうために、連携を取りながらやってました。

でも、こちらも1話ということで、探り探りなところもありましたが、(キャラクターデザインの)深川(可純)さんも「この表情がいい」とか修正を入れてくれたりして。5話の時ほどはっちゃけてはいないけど(笑)、あまりやり過ぎて、視聴者の方をおいてきぼりにするのもちょっとなと思っていました。と言いつつも、おいてきぼりにしちゃったかなとは思いますけど(笑)。

佐藤:コンテが上がる前の段階でシナリオを読ませていただいた時、今までうちでやっていた作品とはまったく違っていて。「こんなにボケ倒すのか」とビックリしました(笑)。今まで見たことがない作品で、どっきり企画のために作ったシナリオじゃないのかなと思ったくらい、突飛な印象でしたね(笑)。

境:「ドッキリだよ! 作るわけないじゃん! こんなの!?」って?(笑)

一同:(爆笑)

佐藤:だから「どんなコンテになるんだろう?」と思いながら境さんのコンテを待っていた気がします。


 

MAPPA社内でも1話を見てだまされた人多数!?

――1話放送前のキービジュアルや宮野さんの実写PVは本格的なゾンビものというミスリードを誘っていたことで、より大きな驚きとギャップを感じました。

境:あの宣伝は後々、決まっていったので、僕らも心配にはなりました。「だましてしまっているのかな? いや、ウソは言ってない」と(笑)。

岡本:最初のシリアスな表情のキービジュアルのポスターが社内に貼ってあって、女の子たちが主人公のカッコいい作品なんだろうなと思っていて、本編を見てみたら「あれ? 何か違うな」と。僕も視聴者としてだまされました(笑)。でもおもしろかったので、結局、全話見ちゃいました。

――MAPPAの社内の人がだまされるほどだから我々がだまされるのもしょうがないですね(笑)。

境:そもそも企画を立ち上げたり、シナリオを作っている段階では、社内でも「あの人たち、何やっているんだろう?」と訝しげな反応で(笑)。それに1話のAパートとBパートでもテンションがまるで変わるし。あそこの切り替えどころが難しかったし、「皆さん、ちゃんとついてきてくれるかな?」と。本格的なゾンビものを期待していた方にはガッカリさせたかもしれませんけど。

――1話を見た方はきっと動揺して、平常心では見られなかったと思います。

境:流れの中でとんでもない展開になって、さくらが翻弄されて、オロオロしているところは視聴者の方の感情とリンクできたかもしてませんね。


 

境監督が『ゾンビランドサガ リベンジ』で描こうとしたテーマとは?

――境監督が『ゾンビランドサガ リベンジ』で描こうとしたことやテーマはありますか?

境:1期でアイドルものとしての成長物語はやり切った感じがするので、この先、フランシュシュがどうすべきなのかを含めて考えた時、更なる立ちはだかる壁を設定してあげないといけないかなと思ったんです。

そこで大きな失敗をして、そこからどう戦っていくのかを描こうと。フランシュシュの子たちは抗って生きていかないといけないかなと思ったので、1つ大きなハンデを設けて、それを乗り越えて突き進んでいくのかをおもしろ、おかしく描けたらいいなと思っています。

――『ソンビランドサガ』は2クールを想定していたため、1期後のストーリーのイメージもあったという話も?

境:僕だけではなく、みんなで1期の話を作る時、いろいろなアイデア出しをしていく中で、1期で描けなかったアイデアもありました。

でも、それを『リベンジ』でそのままやったというわけではなく、『リベンジ』として大きなテーマを作りつつ、1期で考えていたアイデアを当てはめたり、発展させて1つのドラマに仕立てています。

――佐藤さんと岡本さんが感じる2期『ゾンビランドサガ リベンジ』の印象をお聞かせください。

佐藤:シナリオが決定稿として上がるたびに楽しみすぎて、次から次へと新しい話数を読んでいます(笑)。1期よりもパワーアップ、バージョンアップしている感覚があるし、やっぱり2期までやるべきだった作品だったんだなと改めて実感しました。

岡本:「こんなにやるんだ。大変だな」と(笑)。だからこそ、おもしろいものになるだろうなと思ったし、実際にすごいものができたなと。

境:シナリオが濃いよね。火傷しそうなくらい(笑)。

佐藤:毎回、シナリオを書かれる方が視聴者を驚かせてやろうと狙っているんだろうなと感じますね。


――その熱量が高いシナリオを、うまく映像化しなくてはいけないというプレッシャーはあったのでしょうか?

佐藤:プレッシャーよりも楽しさがほうが強いのかもしれません。

境:むしろ「どう画面にしてやろうか?」とか、そういうワクワクのほうが勝っちゃうよね。

佐藤:そのワクワクが強い分、変なプレッシャーもないし、シナリオの時点で「こういうものが作りたいんだ」というイメージが共有できている気がして。

岡本:佐藤さんは1期も経験されていますが、僕は2期からの参加だったのでプレッシャーはありましたね。「世界観を崩さないようにしないと」と最初は考えていたけど、1期のコンテや、2期の他の方のコンテを見て、「そんなこと気にせず、ただおもしろいことしようとしているだけだな」と気付けて(笑)。そこから僕も「よし、楽しもう!」と切り替えてやれるようになりました。

(C)ゾンビランドサガ製作委員会
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会
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