豪華客演陣を迎えた劇団史上最高の第20回公演『八つ墓村』リポート！ 関智一さん率いる劇団ヘロヘロQカムパニーが横溝正史ワールドに挑戦！

関智一さんが座長を務め、長沢美樹さん、小西克幸さんなどが所属する劇団ヘロヘロQカムパニーの第20回公演『八つ墓村』が12月10～14日、東京・前進座劇場にて行われた。

『八つ墓村』はミステリー小説の大家、横溝正史さん原作で、名探偵・金田一耕助が難解な謎を解く人気シリーズの一作。これまで数多く映像化されてきたが、本格的な舞台化は初めて。関さんが劇団創設時から上演したいと考えていた原作のひとつで、今回は関さん自身が脚本と演出を手掛けたが、「500ページ以上にも渡る長編小説のため、舞台のための脚本にする作業が難航した」らしい。

また客演に中博史さん、辻親八さん、中尾隆聖さん、三石琴乃さん、沢城みゆきさんなどを迎え、劇団史上最高規模の舞台になる。名探偵・金田一耕助役も演じる関さんは「注目度も高く、プレッシャーも大きかった」と語っていた。これまでアクションや感動的なストーリーを上演してきたヘロQがどんな『八つ墓地村』を見せてくれるのだろうか？

ミステリー巨編をどう料理するのか？注目の舞台『八つ墓村』

舞台はある小さな村。戦国時代に流れついた8人の落武者を、財宝と報奨金目当てで村人達が惨殺してしまう。その時に大将がいまわの際に「この村を末代までも祟ってやる」の言葉を残すと、村では奇怪な事件が頻発。そこで野ざらしとなっていた8人の落武者の遺体を手厚く葬ったことからその村は「八つ墓村」と呼ばれるようになった。

そして大正時代。村で有数の名家・田治見家の当主で落武者狩りの首謀者であった庄左衛門の子孫、要蔵が突如発狂し、村人32人を惨殺するという事件が起こる。

それから26年後、田治見家の跡取り、寺田辰弥が村に呼び戻されると、またも田治見家にゆかりのある人物が次々と殺される。果たして落武者の祟りなのか、それとも……。名探偵・金田一耕助が難解な事件に挑んでいく……。

冒頭の落武者狩りや村人が殺されていく場面、次々と起こる連続殺人など衝撃的なシーンだけでなく、登場人物達の細かい心理描写やはかなくも美しい愛憎劇などが特徴の横溝正史ワールドが丁寧に描かれていた。そして前半のセンセーショナルなシーンの連続に息をのみ、スリルを味わいつつ、大きな見せ場ともいえる謎解きでのドキドキ感、そしてせつなくもホッとするラストシーンなど、ジャンルは違えどもヘロQらしいエンターテイメントに仕上がっていた。

アニメでは見られない生の演技の迫力！関さんの金田一耕助に魅了

関さんはユーモラスな雰囲気を漂わせつつ、舞台や花道を全力疾走し、推理するところでは理知的な面も見せ、魅力的な金田一耕助を演じ切り、客演陣の熱が入った演技も見事だった。総勢50人近くの出演者のパフォーマンスに加え、素晴らしい音楽、美術など『八つ墓村』の世界を構築し、劇団としても記念すべき20回公演を締めくくった。「金田一シリーズのうち、一番大変な作品を選んでしまったかもしれません（笑）。でもいつかまた金田一耕助を演じられたらいいですね」と関さんも語っていた。ぜひ関版金田一耕助の新たな冒険に期待したい。なお、本公演のDVDは今春発売予定、主題歌、関さんが歌う「黄金の花」を収録したCD『ヘロQ歌の大行進！～ボーカル集～』は好評発売中。

次回公演は2009年6月3～7日に、東京・全労済ホール/スペースゼロにて行われる予定。2007年末に山田太一さん原作の『異人たちの夏』、2008年夏の東京ドームスカイシアター公演、そして今回と意欲的な挑戦が続くヘロQは2009年も爆走する。

DVD『八つ墓村』商品情報

2009年4月中旬発売予定
6,000円（税込）

CD『ヘロQ歌の大行進！～ボーカル集～』商品情報

2008年12月10日発売
2,800円（税込）