アニメ『獣の奏者 エリン』ED&挿入歌のcossami(コッ..

09年最大級の大河TVアニメ『獣の奏者 エリン』 エンディング&挿入歌を歌うcossami(コッサミ)の2人が浜名孝行監督と対談!

 09年1月10日からNHK教育テレビで放送がスタートしたTVアニメ『獣の奏者 エリン』は、『精霊の守り人』などで知られる人気作家・上橋菜穂子氏の小説・『獣の奏者(そうじゃ)』をアニメ化した大河ファンタジー大作だ。リョザ神王国を舞台に、少女エリンの成長の物語を描くこの作品で、浜名孝行監督の耳にとまり、エンディング&挿入歌に起用されることになったのが、みなみさんとひろこさんによるオーガニックポップデュオ・cossami(コッサミ)だ。

 高校時代に出会いバンドを結成、その後進学、就職と違う道を歩むも、音楽への想いから再びユニットを結成した2人。独自のやわらかさを持つサウンドはイマジネーション豊かで、聴く者の心に癒しをもたらしてくれる。
 今回、cossamiの2人と浜名監督の対談が実現。cossami、監督それぞれの『エリン』との出会いや、アニメの観どころはもちろん、驚き(?)のcossami誕生秘話まで、余すところなく語ってもらった――

【cossami プロフィール】
みなみとひろこによるユニット。高校在学中に2人は出会いバンドを結成。その後、ひろこは就職、みなみは美大に進学。06年夏、cossamiを結成。都内のライヴハウス、クラブ、カフェでライブ活動中。

cossami(左:みなみさん 右:ひろこさん)

cossami(左:みなみさん 右:ひろこさん)


●楽曲とアニメの世界観がマッチしていた「After the rain」

――監督がcossamiさんのお二人を知ることになったきっかけは?

浜名監督:BMG JAPANさんから、候補のアーティストの音をいくつか聴かせていただいて、そのなかにcossamiさんの音があったんです。


――監督はcossamiさんの音のどこにひかれたのでしょうか?

浜名監督:すごく純粋で、エリンの世界に声も音もはまっている感じがしました。EDのデモだったと思うんですが、英語の歌詞で、わりとスーッと心に入ってきた感じでした。


――では「After the rain」という曲自体は、その段階で存在していたんですね?

みなみさん:『エリン』のお話があったときに、一緒にライブもしているmitsubaco(ミツバコ)さんの曲のイメージが沸いて、この曲がいいんじゃないかな?と思いました。

――監督の耳にとまったということをcossamiさんのお二人が耳にしたとき、どうお感じになりましたか?

みなみさん:私たちがお話を聞いたときは、声が物語のイメージに合っていると、お聞きしたので、ものすごく嬉しかったです。原作も、2人ですぐ読んで夢中になり、ぜひED曲を歌いたいと思っていたので、大感激でした。


――原作にお読みになられたときの、最初の印象はいかがでしたか?

みなみさん:まず主人公が魅力的だなと思いました。エリンは幼いのに、試練を背負っていて、それでいて生き物に対して、何があっても目を輝かせているところや、独特の言葉などが出てくる世界観にも魅了されました。

ひろこさん:闘蛇のシーンとかも、読んでいると情景が浮かんできて、最初から最後まで飽きることなく一気に読めました。


――cossamiさんは、挿入歌も担当していますが、監督の方から楽曲についてのリクエストは?

浜名監督:発注の時には「挿入歌を作ってください」と。お母さんが歌う子守唄のようなイメージの曲をお願いして、最初1曲お願いしたんですが、2曲あげていただいて、2曲とも、ものすごく良かったので「2曲ともください」とお話しました。デモの段階で“これで完成形なんじゃないか”って思うぐらいの完成度でしたね。


――cossamiさんは挿入歌を依頼された際に、まずどんな曲を作ろうと思われたんですか?

みなみさん:監督が今おっしゃったように、子守唄と聞いていたので、最初は子守唄に寄ったものを作ったんです。(2/25にリリースされるシングルに収録される)3曲のうち「ララリラ ラリラ」という曲が、その子守唄として出来上がったものなんですが、歌詞の内容を最初は子守唄に寄せていたんです。でも、童謡などでも、歌詞では違う内容を歌っているのに、眠りを誘うような曲調のものってありますよね?だから「ララリラ ラリラ」は、風景だったり、エリンと王獣の関係だったりとかを歌詞で書けたらいいなと思って、子守唄に寄り過ぎないように作りました。


――もう1曲の「青い星」という楽曲についてはどんなきっかけで……?

みなみさん:こちらは友人の土屋文彦(踊り場ソウル)さんという方が歌詞を書いてくださったのですが、これもエリンが1人で小高い丘にたたずんでいるようなイメージや、夜の星や景色が浮かんできて、聴けば聴くほど好きになる曲ですね。曲も書いてもらったんですけど、詞がのったときに、物語とすごくリンクして、今後、物語を盛り上げていってくれるんじゃないかなって思います。


――EDへの起用が決まった段階では「After the rain」の歌詞について、まだ完成していなかったということですが、お二人から歌詞にリクエストなどはしたんですか?

みなみさん:「After the rain」の歌詞を書いてくれたmitsubacoの、作詞担当の方が最初に書いていた歌詞が、『エリン』の物語にすごくあっていて、彼が書いた世界観を、私たちが一回飲み込んで歌ってみるとすごくいいんじゃないかと思ったので、歌詞については彼にお任せしました。

浜名監督:♪悲しみは消えないからこっそり楽しい思い出にまぜよう……♪という歌詞があるんですが、そこがエリンの、お母さんを亡くしてそれを乗り越えながら生きていく、というところにすごくあっている気がします。


●アニメの闘蛇は上橋先生の絵が原案!?

――『エリン』って、内容はすごく重いですよね

浜名監督:はい。


――そういった物語の重い世界観と、cossamiさんが今まで歌われてきた楽曲の世界を、どうすり合わせていこうと考えましたか?

みなみさん:たしかに内容はすごく重いんですけど、エリン自身は純粋というか、彼女は本能に忠実な娘だなと思っていて、共感できる部分が物語にあったので、そこから物語に近づいていけそうだなと思って制作していました。


――監督が最初に『エリン』をお読みになったのはいつ頃だったんですか?アニメの企画が立ち上がった経緯からお聞きできればと思います

浜名監督:おととしの暮れに最初に話を聞きました。僕の場合は、アニメにするという前提で原作を読んだので、純粋に楽しめなかったんですよ。どうやって30分のアニメを1年間作るか、という視点で読んでいかなきゃならないわけで。TVシリーズとして作るのは大変そうだなと(笑)。子供番組としてファンタジー世界をちゃんと作りたかったので、原作にはすごくリアルな描写などもあるんですが、アニメの絵の雰囲気なども含めて、心情としてはリアルなんですが、絵はことさら緻密にしようとは思いませんでした。


――では、キャラクターや美術のテイストは、意識的に現在のタッチになさったのですか?

浜名監督:イメージボード担当の方に、世界観のイメージを、100枚程書いていただいたんですよ。それがたたきになって、TVではあまり書き込まず、リアルさを感じつつもほのぼのしている映像を目指しました。


――cossamiさんはアニメの画を見ていかがでしたか?

みなみさん:最初にキャラクター設定画をいただいて、それを見たときに絵柄がすごくかわいくて……。

浜名監督:エリン?

みなみさん:はい。“いいな”と思ったのが第一印象で、先ほどおっしゃられていたように、意図的にそうしているんだなと思いますが、観ていくうちにクセになるというか、独特のオリジナリティがありますよね。


――特に好きなキャラクターなどは?

ひろこさん:私はジョウンが好きです(笑)。想像通りのデザインで、活躍がすごく楽しみです。蜂のシーン(9話)がすごく楽しみです。

みなみさん:原作を読んでアニメのキャラクターデザインを見たときに、ギャップがあまりなかったというか、私たちのなかのイメージとすごくあっていました。あと子供たちが……。

浜名監督:サジュ?

みなみさん:サジュがすごくかわいくて、その絡みがすごく好きなんですよ(笑)。

ひろこさん:まだ出てきていませんが、王獣もすごく気になります。闘蛇も、みんなで想像しながら絵を描いてみたんですが(笑)ぜんぜん上手く描けなくて……。


――みんなで闘蛇を描いてみたんですね

ひろこさん:手と足があるって書いてあったのに、それを忘れてて、ただの太い蛇みたいのを描いちゃって(笑)。小説には龍に近いって書いてあったんですけどね。

みなみさん:でも蛇にしちゃって(笑)。

ひろこさん:描いてくうちに、真っ黒な塊みたいになっちゃって(笑)。

浜名監督:蛇って字だから。


――そうですよね。水の中に居て“龍”って書いてあると、蛇っぽいイメージになりますよね

みなみさん:あと闘蛇の赤ちゃんが衝撃的にかわいくて、周りの友達からも「闘蛇ってかわいいんだね」って言われて。


――監督は闘蛇や王獣を演出するにあたって、どんなイメージでいこうとお考えですか?

浜名監督:闘蛇や王獣に関しては、上橋先生にガッツリと入ってもらって、先生の描かれた絵が元になって、それがアニメのデザインには反映されています。

みなみさん:先生が絵を描かれたんですね。

浜名監督:上手でしたよ。


●8話ではEDがフルで、9話では挿入歌が2曲とも流れます!

――先生の画も見てみたいですね

浜名監督:さっき話が出たジョウンですが、8話で登場します。9話では、cossamiさんの挿入歌が2曲とも流れるんですよ。流れてからエンディングという……。

ひろこさん:3曲も使っていただけるなんて(笑)。楽しみです。


――9話をご覧になるとcossamiさんの歌が存分に聴けるということで……

浜名監督:8話ではエンディングがフルバージョンで流れるんですよ。

2人:えっ!?

浜名監督:ジョウンが出てくる回ですね。ぜひご覧になってください。

2人:絶対観ます!

みなみさん:毎回楽しみにしていますから。


――監督は以前、挿入歌をエリンの心情にあわせて使っていくとおっしゃっていましたが、どう使い分けようとお考えですか?

浜名監督:エリンだけではないんですけど、エリンを思っているジョウンにのせてなど、基本的には劇伴として使っているんですよ。


●6話、7話は最初の山場。結末は原作とは異なるものになる可能性も

――8、9話はcossamiさんのファンも番組のファンも注目ですね。そこでアニメ本編なんですが、今後の展開で原作と変わっていく部分はあるのでしょうか?

浜名監督:基本は原作通りに話が展開していくので、大きくは変わりませんが、原作で描かれない部分や、出てこないキャラクターが出てきたりはします。結末がみえてしまうとそこで終わっちゃうというか、つまらない作業になってしまうんで、あと半年、ラストにむけて1話1話、楽しみながら作っていって、最後は、今思っている結末とはぜんぜん違うものにしたいなと漠然と思っています。

みなみさん:知らないキャラクターが出てくるというのも、やっぱりアニメーションならではだと思いますし、そのキャラクターがどう関わってくるのか気になります。終わり方も原作では、はっきりとした終わり方じゃないんで、今後の展開にわくわくします。


――cossamiさんのなかで、物語で一番の名場面だと思うのはどこですか?

みなみさん:アニメの6話は最初の山場だと思います。

ひろこさん:6、7話は2人とも泣いてしまいました。

みなみさん:本当に結構きつかったですね。

ひろこさん:でも目が離せなかったです。

みなみさん:結構残酷な話なんですが、(原作を読んでそれが)起こることはわかっていたので、どきどきしながら観ていました。ソヨンが娘のエリンを戒律を破って逃がして、ソヨンに闘蛇が集まってくるシーンは、かなり物語に入り込んで、観て泣いてしまいました。


――監督としては、原作全体のどこを盛り上げて、全体を構成していこうとお考えですか?

浜名監督:基本はエリンの成長物語なんですが、エリンを好きになってもらえないと飽きられちゃうかなと思います。エリンを大事にていねいに描くことが大事だと思っています。


――お二人は今後の展開で期待するところはありますか?

みなみさん:今、監督さんがお話になったエリンの成長の部分なんですけど、今後どうなっていくのか、本当に楽しみに毎回観させてもらっています。自分たちの歌が流れていることも忘れさせてくれる演出というか、それほどに物語の世界に集中させてもらえて、監督さんやスタッフさんに感謝しています。


●2人の音楽の原点はビートルズとマイケル!?

――話は変わりますが、cossamiさんのお二人が音楽に目覚めたきっかけは何だったんでしょう?

ひろこさん:私が一番影響を受けたアーティストはマイケル・ジャクソンなんですけど、幼稚園の頃に『ムーンウォーカー』という映画を家で何度も観ていて好きになって、そこからいろんな曲を聴くようになりました。中学の頃にギターを買いまして、高校でみなみと出会って、大好きな曲をカバーするバンドをはじめました。


――『ムーンウォーカー』はマイケルが巨大ロボに変形する映画ですよね(笑)。高校でバンドを始めてからは?

ひろこさん:その時は5人組のギャルバンドで、ビートルズとかをカバーしていました。


――みなみさんは?

みなみさん:小さい頃から歌うことが大好きでした。お母さんも私を寝かせるときに子守唄なのに、“ジャカジャカジャン”とか歌ってきたり(笑)……。


――お母さん、ポップだったんですね

みなみさん:はい(笑)。歌がコミュニケーションになっていて、物心ついたときはビートルズなどが家で流れているのが普通で、ごく自然に生活のなかに音楽があった感じです。


――cossamiとしての活動はいつから始まったのでしょう?

みなみさん:卒業して2人とも音楽とは関係ない道を歩み出して、ひろこは就職し、私は美大目指して浪人していて。でも、卒業してからのほうがひろこと会う機会が増え、音楽から離れたせいか逆に会うたびに音楽の話をするようになり、ちょうど卒業して2年くらい経ってからなんですが、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」という曲があって、2人ともその曲がいいよねということを話しているなかで、2人でギターを持って弾き語りで歌おうと……。

ひろこさん:しかもエレキギターのツインギターで(笑)……。

みなみさん:エレキで弾き語りをやろうと盛り上がったんですよ(笑)。


――エレキでツインギターで弾き語り、なかなか斬新な(笑)

みなみさん:でもやっぱりそういう音色(ノラ・ジョーンズ)には、アコースティックが合いますよね(笑)。ノラの歌をふたりでハモったときに、「あっ、私はひろこと演奏したら、“1+1=2”にとどまらないすごいことになるんじゃないかな」と思って、心を決めました。

ひろこさん:ぜんぜん違う道に行ったのに、不思議とタイミングが上手く合いました。


●3月には大舞台でパフォーマンスするかも。ご期待ください!

――お二人は今後、どんなアーティストを目指したいなど、目標はありますか?

みなみさん:今はパソコンで音楽を作ることができるし、誰でもクリエイターになれるチャンスがある時代ですが、そんななかで、cossamiならではの独自の人間味というか、テープレコーダーに録音してみたり、詞は手書きで書くとか、曲作りも手作り感あふれていて、今の時代に合っていないかもしれないですが、暖かさが伝わる曲を作っていきたいなと思います。

ひろこさん:直近では3月20日に東京ビッグサイトで行われる、「東京国際アニメフェア2009」のNHKブースでパフォーマンスする予定です。


――それでは最後に読者の方へのメッセージをお願いします

浜名監督:毎週観ていただきたいなというのと、そして最後まで観てもらえたらと思います。いったん2月21日放送の7話でエリンに大きな出来事があって、新しい道にエリンが進むので、村から出たエリンがどうなるのか最後まで見守ってください。挿入歌も今後、ジョウンの歌などたくさん出てきます。こちらも期待してください。

ひろこさん:『エリン』でcossamiを知っていただいた方も多いと思うんですが、こんなに素晴らしいアニメの力と一緒になって、みなさんに歌を届けられるのはとても嬉しい事です。今後もよろしくお願いします。

みなみさん:監督さんが今おっしゃったように、6、7話を経てエリンがますます盛り上がっていく予感を感じます。歌で作品に参加していますが、いち視聴者としても毎回観ているので、ファンの気持ちも持ちつつ力添えができればと思います。アニメも楽曲もよろしくお願いします。


「After the rain」/cossami
2009年2月25日発売
1,260円(税込)
発売:BMG JAPAN

TVアニメ『獣の奏者 エリン』
NHK教育テレビで毎週土曜18時25分から放送中

<スタッフ>
原作・アニメーション監修:上橋菜穂子
監督:浜名孝行
キャラクターデザイン:後藤隆幸
シリーズ構成:藤咲淳一
総作画監督:高橋成之
美術監督:鈴木 朗
撮影監督:だいけんいち
音響監督:平光琢也
音楽:坂本昌之
アニメーションプロデューサー:和田丈嗣
制作統括:柏木敦子、松本寿子
制作会社:プロダクションI.G/トランス・アーツ
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK

<キャスト>
エリン:星井七瀬
ソヨン:平田絵里子
真王(しんおう):谷 育子
セィミヤ:高橋美佳子
ダミヤ:石田 彰
大公(たいこう):楠 大典
シュナン:花輪英司
ヌガン:川本 成

<B>「After the rain」/cossami</B><BR>2009年2月25日発売<BR>1260円(税込)<BR>発売:BMG JAPAN

「After the rain」/cossami
2009年2月25日発売
1260円(税込)
発売:BMG JAPAN

(C)上橋菜穂子・講談社 / NHK・NEP

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