新作ドラマCD『マリア様がみてる　ロザリオの滴／黄薔薇注意報』収録レポート。植田佳奈さん、伊藤美紀さん、池澤春菜さん、能登麻美子さん、清水香里さん、佐藤利奈さんが、聴き所を大紹介！

　2009年5月9日、都内スタジオでドラマCD『マリア様がみてる　ロザリオの滴／黄薔薇注意報』の収録が行われた。

　本作は、集英社コバルト文庫『マリア様がみてる　レイニーブルー』（原作・今野緒雪さん、イラスト・ひびき玲音さん）に収録された「ロザリオの滴」「黄薔薇注意報」を忠実にドラマ化したもの。

　この日は、アニメシリーズ『マリア様がみてる』同様、主人公・福沢祐巳を演じる植田佳奈さんをはじめ、伊藤美紀さん（小笠原祥子役）、池澤春菜さん（島津由乃役）、能登麻美子さん（藤堂志摩子役）、清水香里さん（二条乃梨子役）、佐藤利奈さん（武嶋蔦子役）達が熱演してくれた。前作ドラマCD『マリア様がみてる　チェリーブロッサム』（2007年12月14日発売）から、久しぶりの収録であったが、役者陣は「楽しかった」と満足そうであった。

　『マリア様がみてる』は、祐巳達が通うカトリック系お嬢さま学校・私立リリアン女学園の学園生活を描いた大人気作。この高等部には「姉妹（ス―ル）」と呼ばれる学生独自のシステムがあり、先輩が“姉”となり、“妹”となる後輩を指導していく。清く正しい学園生活を導くため、そして淑女としての躾をつけるためだ。これは姉から妹へロザリオを授受する“姉妹の契り"によって成立する。１年生の祐巳もまた、憧れの２年生・小笠原祥子とスールになり、学園生活を謳歌していくのだった。

　今作の「ロザリオの滴」「黄薔薇注意報」 は、祐巳が２年に進級した頃の物語。祐巳の同級生・志摩子と１年生の乃梨子を中心に物語が展開。２人はスールになるきっかけを掴めないまま、ギクシャクした日々が続いていく。ある日、リリアンの制度に馴染めていなかった乃梨子は、山百合会（＝生徒会）幹部となった祥子と衝突してしまうのだった。

そして「黄薔薇注意報」では、同じく祐巳の同級生・由乃と、そのお姉さま・支倉令（声・伊藤静さん）に焦点を当てている。手術を経て健康な身体を手に入れた由乃が、令の所属する剣道部に入部したいと言いだすが、令は大反対。２人の仲は険悪になり、ついに令が「姉妹の関係を考え直すべきかもしれない」と言うまでに発展しまう。

　更にこの２作は、物語が所々リンクしているので、聴き比べると面白いぞ。

　今回は、収録を終えたばかりの出演陣にインタビューを敢行したので、その模様を以下にお伝えしよう。

――今回の収録を終えての感想をお願いします。

清水香里さん（二条乃梨子役）：乃梨子はこの間のアニメシリーズで、やっと山百合会に入って、“だいぶ成長してきたな”って感じになったところだったので、今回、まだスールになる前の初々しい時期のシーンを演じるのが、不安でしょうがなかったです（笑）。アニメに途中参加した頃は余裕が無かったんですが、今回は同じシーンを演じていても、いい意味で変われたかなって思います。

植田佳奈さん（福沢祐巳役）：前作のドラマCD『～チェリーブロッサム』から、すごく久しぶりの収録なので、今日はすごく楽しみでした。祐巳は、アニメの最後（※TVアニメ『マリア様がみてる』4thシーズン）で、妹ができるかもってウキウキしたところで終わっているんですが、今日のドラマCDでは、お姉さまとのスール関係がこじれかけていて、一番暗いところから始まっていたんです。いつも元気な祐巳の元気が無くて、なんか演じていて不思議な感じがしました（笑）。

伊藤美紀さん（小笠原祥子役）：（アニメ版は物語が進んでいるので）“あっ、こんな時代もあったなあ”って、思いながら演じました。久々に、恐い祥子さまができて、ちょっとスッキリしています（笑）。アニメでは、できなかった小さなエピソードが幾つもあったんですが、今回こういう形でフォローできたので作品も広がりますね。是非、このまま続けていきたいです。

池澤春菜さん（島津由乃役）：今日、支倉令さま役の伊藤静さんが、（スケジュールの都合で）ご不在で、ほぼ全ての会話が令ちゃんとのかけ合いだったにも関わらず、１人だったんです。でもまあ、今迄にも演じたシーンだったので、なんとなく、演じている時に頭の中で……。

伊藤さん：ごめん由乃……（←伊藤静さんの声真似で）

池澤さん：（笑）。気が付いたらそれが、支倉令さまが、伊藤美紀さんのモノマネにすり替わっていて……。

伊藤さん：もう、令ちゃん役は私のものです（笑）。

池澤さん：結構混乱しました。さびしかったんですが、最後に雨降って地固まるという言葉もありますし、こういうのも含めて黄薔薇（令と由乃）なんだなって思いました。でも、令ちゃんのバカ（笑）。

能登麻美子さん（藤堂志摩子役）：「ロザリオの滴」では、ひたすらモノローグで話してる感じで、緊張しました。そのモノローグが、わりと重い台詞が多くて、少し複雑な気持ちでした（笑）。

佐藤利奈さん（武嶋蔦子役）：蔦子はいつも通り、ひょうひょうとした感じでいたんですけども、台詞で、“カメラを通してみんなの心の中まで写したい”っていうのがあって、それがすごく好きな台詞なので、また言えたのは、とても嬉しい事でした。白薔薇さま達（志摩子と乃梨子）は、長年連れ添ったご夫婦のような、ご隠居の様な感じだったので、あっ、こんな波瀾万丈な事があったんだっていうのを改めて思いました。そしてピリッとした祥子さまがですね、非常に私、好きなんです。今日、ちょっとトキメキました。いいですね、ちょっとなじられたい。

伊藤さん：いつでも叱りますよー。

佐藤さん：（笑）。皆さんもちょっと、ドキっとして下さい。


――楽しみにしているファンの皆さんに、お勧めのシーン等を教えて下さい。

清水さん：個人的には、乃梨子が１年生にして、祥子さまとやり合ったのが（笑）。自分の中学や高校の頃は、なかなか上級生にたてつくなんてことは出来なかったので、ちょっとウキウキしながら演じました（笑）。ただ志摩子さんがちょっと心配になるぐらい、落ち込んでいって……。改めて、志摩子には乃梨子がついていなきゃと実感しました。

植田さん：由乃さんと（田沼）ちさとさんの会話のシーンが好きです。一時期、けんかしてた２人でしたが、今回はちょっとツンツンしてるんだけど、令さまを挟んで、恋人を取り合ったみたいな感じで（笑）。最終的に女の友情が生まれたみたいな感じが出てるので、すごく好きです。

伊藤さん：今回、紅薔薇（祥子と祐巳）は、特にエピソードが無かったので、白と黄色に主役を譲りました（笑）。で、乃梨子ちゃんと結構、言いたいこと言い合って、祥子は先輩として、“１年生はこうあるべきじゃない？”っていうような助言をさせていただきましたが、乃梨子ちゃんは非常に賢い子なので、私が、憎くてやってるんじゃないってちゃんと、分かってくれてたんですよね。これからが楽しみですね（ウフフ）。

池澤さん：わりとのほほんとしたイメージの志摩子さんが、こんなにもダウナーになるのも、ちょっと珍しかったです。そして普段は、赤信号でも青だって言い張って渡っていくような由乃が、実は青だって言い切るまでに、ものすごく色々な葛藤を抱えて、自分が意地を張っちゃってることとか、素直になれない事とか、色んな事を分かっていながら、それでも、どうしようもない、そういう性格なんだからって、後悔してるんだよっていう内面の吐露も随分描いていただきました。ちょっとずつ意外な、黄薔薇と白薔薇を楽しんでいただきたいなと思います。

能登さん：今回、２つのお話の時間やシーンがシンクロしていて、由乃さんの側からと、志摩子の側からと、ちょっと違う風に、同じ時間軸を楽しめるっていうのが、すごく面白いかなって思います。個人的に「黄薔薇注意報」の最後で、志摩子さんと令さまのいたわり合うシーンがすごく好きで、あれは完成したら、是非とも聴いてみたいなって思います。「ロザリオの滴」では、分かってないのは志摩子だけで、周りはみんな、分かってて……。志摩子も、もうちょっと周りに委ねてもいいんじゃないかなって、私も暗い気持ちになりましたね（笑）。でも、周りに皆さんが、志摩子へ働きかける（アプローチ）部分は、聴きどころじゃないかなと思います。

佐藤さん：「ロザリオの滴」では、志摩子さんの弱さと、乃梨子ちゃんの意外な強さが印象的でした。もし私が、祥子さまにあんなこと言われても、「私を仲間として……」なんて言えないなって。ホントに芯から、真っ直ぐ上を向いて育ってる子なんだなって思いました。そして祥子さまも、ああは言っても結構優しい……。

伊藤さん：いや、そうでもないんですよ（笑）。

佐藤さん：（笑）。そのお姉さまの包容力みたいなのも、あったりして、そこは是非聴いていただきたいなと思います。

＜発売情報＞
ドラマCD■『マリア様がみてる　ロザリオの滴／黄薔薇注意報』
発売日；2009年7月24日
価格：2,940円（税込）
発売元：フロンティアワークス／ディーライツ
販売元：フロンティアワークス
販売協力：ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

※ジャケットイラストは中嶋敦子さん描き下ろし

＜初回特典＞
ボーナストラック（出演声優のアフレコ感想コメント）

＜CAST＞
福沢祐巳：植田佳奈
小笠原祥子：伊藤美紀
島津由乃：池澤春菜
支倉 令：伊藤 静
藤堂志摩子：能登麻美子
二条乃梨子：清水香里
松平瞳子：釘宮理恵
武嶋蔦子：佐藤利奈

他