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『百花繚乱 サムライガールズ』KOBUN監督インタビュー

『百花繚乱 サムライガールズ』特別企画――第2弾はKOBUN監督インタビュー「こんなに“セクシー”なのに美少女アニメ、実は初挑戦なんです……」

 『百花繚乱 サムライガールズ』は、2010年10月より放送中のTVアニメ。ホビージャパンの40周年を記念したメディアミックス作品で、“徳川幕府が現代まで続いていたら?”という設定の元、魅力的な美少女剣士たちがこれでもか!と登場する。墨で描いた水墨画のような独特の背景・世界の中で繰り広げられる本格的なアクションと魅力的なキャラクター、盛りだくさんな嬉しいサービスカットの数々も魅力の作品だ。今回、監督を担当するKOBUN氏にお話を伺うことができたので紹介しよう。

<b>『百花繚乱サムライガールズ』第一巻</b><br>2010年11月25日(木)発売<br>Blu-ray:7140円(税込)<br>DVD:5775円(税込)<br>発売・販売:ショウゲート/メディアファクトリー

『百花繚乱サムライガールズ』第一巻
2010年11月25日(木)発売
Blu-ray:7140円(税込)
DVD:5775円(税込)
発売・販売:ショウゲート/メディアファクトリー

──『百花繚乱 サムライガールズ』の企画が動き出した時期はいつ頃ですか?

KOBUN監督:去年の終わりぐらいだったと思います。10月か、11月ぐらいかな。アニメの企画がある程度決まっていて、シナリオの構成を行なう段階から参加しています。


──制作にあたってのこだわりやコンセプトなどはありましたか?

KOBUN監督:元になる世界観があるのでその雰囲気を壊さないようにとは思っていたんですが、いざ動き出してしまうと自分はあまり気遣いができないというか、好きなようにやってしまう性分なんですね。その結果が、今のフィルムになっているのではないかと思います。こだわりという意味では、"こだわらないこと"がこだわりでしょうか。色々な助言をもらい、それを受け入れてひとつにまとめていければと思っています。


──スタッフの方などの意見をかなり取り入れられているんですね。

KOBUN監督:シナリオから絵コンテまでたくさんの方の意見が入っています。それから声優さんの演技に関してもなるべくダメ出しをしない方向で行ってキャラクターを育ててもらおうと考えています。美術に関しても基礎になる部分は描きましたが、そこからは全部イースターさん(背景美術会社のスタジオイースター)にお任せしているので。


──背景美術や画面全体から受ける印象が独特ですが、監督のスタイルや色が出ているのでしょうか。

KOBUN監督:自分はスタイルは持ちたくないと思っていて、その時に思ったことをやってみて、作品に適したものに合わせてこんな感じかなと思ってやっています。その上で駄目だったら変えていくんですが、この作品に関しては皆さん受け入れてくれて、あんな感じに仕上がっています。最初の絵作りの段階で、水墨画の中で戦わせようよってキャラクターデザイン・総作画監督の宮澤努さんに伝えました。デザイナーさんによっては、自分の描いたキャラクターが撮影加工されるのを、嫌がる人もいるんですが、宮澤さんは「監督がやりたい方向ならそれでいきましょう」と直ぐに受け入れてくれました。


──水墨画的表現と美少女キャラクターはすぐにフィットしましたか、それともかなり試行錯誤した感じでしょうか。

KOBUN監督:実は自分は美少女物というものをほとんどやったことがなかったんです。以前から宮澤さんに、監督をやってほしいという話は頂いていたんですが、美少女ヒロインが登場する作品をやっていないのに無理だろうと思っていて…。全く経験がないのに受けてしまうのは失礼だと思い、まず違うタイトル(に関わって)で勉強してきました。実際にやってみて、やはり自分は向いてないなと(笑)。なので美少女やセクシーのことはあまり考えずに、自分のやり方でやろうと決めました。


──しかし作品は出色の美少女物に仕上がっていると思います。

KOBUN監督:そこは長年やっているアームスさん(制作スタジオ)のおかげですよ。シナリオの金月さんも非常に頑張ってくれていて……僕にはわからない単語や展開もあるんですが、シナリオを読んでもこれが美少女アニメの手法、やり方なんだなと勉強になります。絵に関しても、僕のコンテなんて全然えっちじゃないですからね。宮澤さんがカメラのアングルを下げてパンチラさせてくれたり、走っているシーンで胸がゆれているのがわかるようにキャラクターをずらして描いたり、非常に頑張ってくれています。僕だけでは絶対に今の形にはなっていないと思います。


これが初回特典のNiθ氏描き下ろしのイラスト3巻収納BOXだ!

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こちらはBlu-ray版初回特典のピローカバー

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これが初回特典のサムライガールズミニスタンディー!

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──最近放送された4話のお風呂のシーンも面白かったです。

KOBUN監督:あれは最初に門田さんという方がシナリオを書いて、それを金月さんがまとめて、4話担当の方が絵コンテを切って、セクシーだったり絵的な面白い味ってのは最後に宮澤さんが加えてくれて。みんなで作っている作品です。それから面白さという意味では声優さんの演技ですね。4話くらいになると皆さん、かなりぶっ飛んだ芝居をしてくれて、そういうのを聞いた刺激がその後のキャラクター像に影響を与えていたり、いい形になっていると思います。


──声優さんによるキャラクターのアレンジやアドリブも結構あるんですか?

KOBUN監督:音響監督の(明田川)仁さんもかなりノリノリで、もうちょっとこうしたらって言うと声優さんもかなり遊んでくれる感じですね。皆さん非常に上手いなと思います。自分は芸能人の方に演じてもらう作品が多かったので、やっぱりプロの声優さんは違うなと感じました。


──いわゆる美少女物では主人公がヘタレ的だったりすることが多いですが、宗朗はまっすぐにかっこいい主人公に仕上がっている気がします。

KOBUN監督:そこは僕がそうしちゃってる面もあるかもしれませんね。僕が見て育ってきた主人公ってマシンガンぶっぱなすような、『ダイハード』とか『ランボー』とかそういうキャラクターなので(笑)。やっぱり主人公はかっこよく強いっていうのが前提にあって、ストーリーも主人公が引っ張っていかなきゃいけないと。元のシナリオとはちょっと違うかもしれないんですが、僕はそういうラインしか考えられないので。わからないものを無理にやるよりは、自分の知っているラインでやったほうがいいんだろうなと。だからあえて狙っているわけではありません。


──修正やアクションの、墨汁を散らしたような特徴的な表現はどこから生まれたんですか?

KOBUN監督:最新のプラグインを使えば面白い画面効果が出るのはわかっていたので、それを取り入れたい。でも最新のCG表現をアニメに取り入れるのは、やはり予算の関係で難しい。そこでもうちょっと軽くやれる方法はないか……というところから始まりました。最初こういった効果やプラグインを、と提案した際は予算の折り合いがつかなかったんですが、撮影監督の浅川さんが非常に優秀な方で、それに似た効果をこんな風に出せますよ、というのを見せてくれまして。ではそれでやりましょうという形になりました。宮澤さんと最初考えていたイメージボードだともう少し荒々しい感じだったんですが、それだと美少女とマッチしない部分もあったかもしれないので、撮影監督さんの意見を聞いておいてよかったなと思います。


──サービスカットのいわゆる隠し表現も、この種の表現の中では自然に収まっていると思います。

KOBUN監督:色指定の阿部さんが女の子の肌の質感や目の輝きとかをいいバランスで調整してくれているので、そっち方向を期待している方にもギリギリ許してもらえるラインにはなっていると思います。さらにDVDやブルーレイにはおまけのフィルムがつくんですが、そちらでは質感や髪の毛の色、輪郭なんかもセクシー方面を押し出したものになっているので、セクシー系をお求めの方はぜひそちらを見てください(笑)。


──アクション描写でも衝撃や動きの流れを墨的な線で表現していて、最近の格闘ゲームなどを連想しました。

KOBUN監督:いざやろうと思ったときに一番いいなと思ったのは『ムーラン』『カンフーパンダ』の冒頭のアニメーションとかですね。僕はハリウッド映画かぶれなので、立ち上げの時点ではそちらの影響が大きかったんですが、実際に始まってから、宮澤さんがこんなのもあるよって『ストリートファイター』を見せてくれました。最新のCGは、自分が取り入れたかった三次元上の流体の墨とかが使われていたんですが、ここまではお金かけらんないなと。


第1話より(以下全て)

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──昔の日本映画の影絵で障子に血飛沫が……といった演出にも通じる気がします。

KOBUN監督:あるかもしれないですね。アニメよりは実写に近い演出の方が自分の体に染み付いているので、出ているかもしれません。


──ちなみにこれまで監督が関わってきたのはどういったジャンルが中心なんですか?

KOBUN監督:筋肉ムキムキの男が出てくるような作品ばかりですね。だから今回この作品をやって本当によかったのかなと思ってます(笑)。


──初めての経験もあったと思いますが、制作上で一番苦労したのはどのあたりですか?

KOBUN監督:苦労はどうなんだろう。今一番大変な時期ではあるんですが(笑)。自分は仕事をやっていてつらいとか苦しいとか思うことはないんですね。楽しくなければたぶんやっていないので。すごく楽しんでやれています。今は制作が佳境なので、スケジュールはもちろん大変です。そろそろ遊びに行きたいですね。


──描いていて楽しいシーンや、動かしやすいキャラクターはいますか?

KOBUN監督:兼続ですね。どんなシリアスなシーンでも重たくなりすぎないようにしましょう、というのがこの作品のカラーなのですが、彼女は重たくなりかけた場で馬鹿っぽいことをやって重くならないようにしてくれるので、いいんじゃないかな。描いていて楽しいキャラクターです。


──今後の注目ポイントや見所を教えてください。

KOBUN監督:これから本格的に作品がアクションに寄って、明確にこいつが敵だ、味方だ、こいつが強い、弱いといったものが見えてきます。ここまでは単発でも楽しめたと思うのですが、今後はすべてが繋がって、ストーリー的にもより面白くなっていくと思います。シリーズ構成の金月さんも頑張ってくれているので。


──読者の皆さんにメッセージをお願いします。

KOBUN監督:作品の魅力に関しては作った僕から語るより、見てくださった方が面白いと思ってくれたらいい、面白くなかったら駄目なのかなと思います。出来上がったフィルムが全てなので後から言うことはないのですが、いいスタッフが集まって一生懸命作っているので、ヒットしてくれたらいいなと思っています。ぜひ買ってください(笑)。

<取材・文:中里キリ>

>>TVアニメ『百花繚乱 サムライガールズ』公式サイト
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